第12話 スマホが使えない
当然だが、「霊」という言葉が
「ねえ、どうする?」
どうする、と尋ねられても、答えが見つからない。
もしも目の前のあの子が現実に存在するものだとしたなら、このまま見過ごすわけにはいかない。だが、得体の知れぬ恐怖があの子にはある。
徐々に近づくあの子から視線を逸らし、
「警察に、相談しよう」
と、直樹はズボンのポケットからスマホを取り出した。
ディスプレイの明かりが辺り一面に広がり、直樹の中に広がっていた恐怖心がほんの少し和らいだその刹那、直樹は言葉を失った。
電話もネット通信も、見事に遮断されていたのだ。
嘘だろ……。つい数時間前まで普通に使えたのに。
画面を覗き込んだ莉奈が慌てて、スカートのポケットから自身のスマホを取り出した。
「私のも使えない……」
とその時、直樹の視界に白い物体が映った。
恐る恐る目を向けると、手の届きそうな距離で女の子が立ち止まり、けたけたと笑って二人を見上げたのだった。
『見ぃぃぃつけた』
次の瞬間、直樹も莉奈もその子を追い越して、バス通りに向かって駆け出していた。
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