終わりの時間

それが私にとって何だというのでしょう。


そんなふうに言えればいいのに


こんな薄灰色の雨の日でも、大きな青い傘を差して、あなたのそばに飛んでいける


そんな女になれればよかったの?


立ち塞がる強敵を倒し、茨の株立をかき分け、めまいがするような塔を登り、やっとたどり着いた寝室で、すやすや眠るあなたに、はじめましてのキスをする。


そんなことができればよかった。


朝はベーコンをたっぷり乗せたマフィン、昼はシャキシャキキャベツのサンドイッチ、夜は滋賀県産天然ブリの照り焼き、

穏やかな喧騒の中で、このなんでもない日常を紡げればよかった。


残された人生の中で、この時間を過ごせるのは一瞬だから、


私はただ雨の音を聞く。

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