全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ
あるまん
なんだこれは
その様な絵がプリントされたTシャツをフリマで見つけた。土煙を上げながら土壁の建物や風車の様な物、農耕道具、そして逃げ惑う人々やライオンらしき肉食獣迄全て跳ね飛ばしながら進む猛牛の群れ……絵にしては物凄くリアルだ。
写真? いやこんな大惨事があったのならニュースになるし、バッファローは危険動物として全て狩り尽くされているだろう。
少し考え……多分にポリゴンか何かで精巧に作られたCGだと思いついた。格闘ゲームの超必殺技演出とか? 一応売主に聞いてみるが、知人の物らしくよく判らないとの事だった。
何故かその絵を気に入った僕はサイズが少し小さいながらそのTシャツを購入した。
帰宅して戦利品を整理して、その絵をじっくりと見る……粉塵を上げつつ山津波が如く襲ってくるバッファロー。建物はまるで童子が癇癪を起こし積み木の家を壊したが如く粉々にされ、吹き飛ばされた北米の先住民族に見える人々は手足が不自然な方向に折れ曲がり血だらけだ。迫力はあるがこんなシーンを作り上げた人物も、それをTシャツにプリントした人物も悪趣味と言わざるを得ない。買っておいてなんだがな。
だが同時に、こういう破壊願望は誰にでもあるよな、と思った。ゲームでもパワーアップをし、大口径大質量の広角兵器? を以って敵大軍を次々蹂躙するカタルシス……其の興奮は押さえ難いものだ。
無論そういう事を現実に出来るのは限られている……何だろう、苦労して並べたドミノを壊す様な? もしくはトランプタワー? いやそういうお洒落な物ではないな……砂の城や雪像を踏み潰すとか……まあそこ迄深く考えなくてもいいや、と思考を放棄した。シンプルに雑踏に爆発物を投げ込む、としなかったのは僕の良心だ(苦笑)。
実際のバッファローのスタンピードの画像や動画を見ると、自分が予想し、Tシャツの絵にもなっていた俗にいうアメリカ・バイソンではなく、より牛に近いアフリカスイギュウというものが多かった。
そもそもアメリカ・バイソンは文字通りアメリカだがライオンはアメリカには自然に居なく……そういう適当さに呆れると同時に出来の良いCGにそういうミスをする作者の人間臭さを感じた。
こういう物を好きで製作すると思えず、若しかするとどこぞのCGデザイナーがゲーム、若しくはロックミュージシャンのクライアントに絵を没にされTシャツに流用したのでは、等妄想のスタンピードが止まらなくなったのは何時もの事だ。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ あるまん @aruman00
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