俺に起こった、たった三分しかない時間はこうして終わりを告げる。

黒羽冥

第1話悲劇。

俺には三分以内にやらなければならない事があった…。

それが今の俺を余計に焦らせる。

ジリジリとその時は待ってはくれないのだ。

だが…俺は動けずにいた。

三分…たった三分しか俺に残された時間はないのだ。


思い起こせば昨日…俺はいつものように普段通りに過ごしていた。

家に帰り夕食をとり、ゆっくりとゲームをして…友人と話しいつもの様に寝たんだ。

だが今の俺にはこの時…後悔という感情…そして思い出したのが今という焦り。

どうしてもっと早く思い出さなかったのだろう。

俺がこうしてる最中…友人達は楽しそうに休み時間をおもいおもいに過ごしている。


なぜ?彼らは余裕なのだろうか。

自分はこんなに苦しみ、そして苦痛の感情に苛まれているのか。

そもそも勉学というものは何だ?

俺はそこに考えが辿り着く。


遥か遠い昔…人類は言葉というものを知らぬ間に生み出した。

きっと人類が誕生した時はウホッ!とか、あー!とか、うー!という言葉しか口にしなかったはず…ところが誰が決めたのか。

言葉を作り出し文明はそこから開拓されていったんだ。

そして人はいつしか学びというものを作り出した。

そうだ!!

そもそもここからが間違いだったんだ。

誰も学ぼうとしなければ…この現代は形成されていないのだ。


「くっ…誰だよ…こんな言葉などを考えた奴らは。」


俺がそんな事を考えてるうちに一分は過ぎていて残り二分である。

するとそこへ一人の友人が声をかけてくる。


「ねぇ!何さっきから考え込んでるの??」

「ん?あ!お前か?」

「お前ってなによ!?いきなり失礼ね!私には『美沙』っていう立派な名前があるの!!」

「知ってる。」

「何よ!人がせっかく気になって声かけたのに!!」

「うるせーな…いーんだよ!ほっとけよ!」

「なんなの?本当に!!?」


そんな事を話している時間。

そう…人との会話というのは、不思議とあっという間に過ぎてしまうもの。

俺が時計を確認すると残り一分であった!!


ヤバい!!


これは非常にヤバいぞ!!??


俺の脳内には焦りだけが湧きおこる。


「あー!ヤバい!!本当にもう時間がねぇ!いっその事、地球が今滅亡しねーかな?」


こうも焦ると人間、訳の分からない事まで考えるものだ。

もう諦めるか!?

ああ…でもこれはもうどうにもならない事を示していた。

そして俺は神に祈る事しか出来なかったのである。

緊張から次第に汗ばんでくる。

美沙はそんな俺に呆れたようでどこかに消えていた。


こうなったら、どうにかして誤魔化そうか!?

そ!そうだ!!

これから体調不良ってのはどうだ??

おお!これは我ながらナイスアイディアではないか!?

俺は立ち上がるとガラリと扉を開き先生が入ってくる。


「ああ…終わった………。」


ほんの三分前に思い出した事。


それは…この時間までにやってこなければならなかった…普段成績の悪い俺にとって進級する為に絶対やってこいよ!

と言われていたものである。

そして俺はこの後。

先生に激怒され。

そして来年の春。

同じ学年を過ごす事が決まった。


「美沙先輩っ!!!」

そう呼ばなければ…ならないのか。

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俺に起こった、たった三分しかない時間はこうして終わりを告げる。 黒羽冥 @kuroha-mei

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