俺に起こった、たった三分しかない時間はこうして終わりを告げる。
黒羽冥
第1話悲劇。
俺には三分以内にやらなければならない事があった…。
それが今の俺を余計に焦らせる。
ジリジリとその時は待ってはくれないのだ。
だが…俺は動けずにいた。
三分…たった三分しか俺に残された時間はないのだ。
思い起こせば昨日…俺はいつものように普段通りに過ごしていた。
家に帰り夕食をとり、ゆっくりとゲームをして…友人と話しいつもの様に寝たんだ。
◇
だが今の俺にはこの時…後悔という感情…そして思い出したのが今という焦り。
どうしてもっと早く思い出さなかったのだろう。
俺がこうしてる最中…友人達は楽しそうに休み時間をおもいおもいに過ごしている。
なぜ?彼らは余裕なのだろうか。
自分はこんなに苦しみ、そして苦痛の感情に苛まれているのか。
そもそも勉学というものは何だ?
俺はそこに考えが辿り着く。
遥か遠い昔…人類は言葉というものを知らぬ間に生み出した。
きっと人類が誕生した時はウホッ!とか、あー!とか、うー!という言葉しか口にしなかったはず…ところが誰が決めたのか。
言葉を作り出し文明はそこから開拓されていったんだ。
そして人はいつしか学びというものを作り出した。
そうだ!!
そもそもここからが間違いだったんだ。
誰も学ぼうとしなければ…この現代は形成されていないのだ。
「くっ…誰だよ…こんな言葉などを考えた奴らは。」
俺がそんな事を考えてるうちに一分は過ぎていて残り二分である。
するとそこへ一人の友人が声をかけてくる。
「ねぇ!何さっきから考え込んでるの??」
「ん?あ!お前か?」
「お前ってなによ!?いきなり失礼ね!私には『美沙』っていう立派な名前があるの!!」
「知ってる。」
「何よ!人がせっかく気になって声かけたのに!!」
「うるせーな…いーんだよ!ほっとけよ!」
「なんなの?本当に!!?」
そんな事を話している時間。
そう…人との会話というのは、不思議とあっという間に過ぎてしまうもの。
俺が時計を確認すると残り一分であった!!
ヤバい!!
これは非常にヤバいぞ!!??
俺の脳内には焦りだけが湧きおこる。
「あー!ヤバい!!本当にもう時間がねぇ!いっその事、地球が今滅亡しねーかな?」
こうも焦ると人間、訳の分からない事まで考えるものだ。
もう諦めるか!?
ああ…でもこれはもうどうにもならない事を示していた。
そして俺は神に祈る事しか出来なかったのである。
緊張から次第に汗ばんでくる。
美沙はそんな俺に呆れたようでどこかに消えていた。
こうなったら、どうにかして誤魔化そうか!?
そ!そうだ!!
これから体調不良ってのはどうだ??
おお!これは我ながらナイスアイディアではないか!?
俺は立ち上がるとガラリと扉を開き先生が入ってくる。
「ああ…終わった………。」
ほんの三分前に思い出した事。
それは…この時間までにやってこなければならなかった…普段成績の悪い俺にとって進級する為に絶対やってこいよ!
と言われていたものである。
◇
そして俺はこの後。
先生に激怒され。
そして来年の春。
同じ学年を過ごす事が決まった。
「美沙先輩っ!!!」
そう呼ばなければ…ならないのか。
俺に起こった、たった三分しかない時間はこうして終わりを告げる。 黒羽冥 @kuroha-mei
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