イモコの受難

@sho-pasta

イモコの受難

イモコには三分以内にやらなければならないことがあった。それは百済で失くした隋皇帝煬帝からの返書を見つけ出せと言うことだった……


「……いや、無理だろ! 」


大陸でなく日本列島にいるので無理があるし、そもそも現代において隋や百済は存在しない。


この理不尽を解決しなければならない状況に陥った理由は数日前にある。それはそれは重大な理由が、



イモコの妹曰く、

「このイベントに参加したい」


イモコ曰く、

「任せろ」



……重度のシスコンであるイモコにとってはとても重大な、妹からの「お願い」があった。


イベントのルールは簡単だった。三分以内にミッションをクリアすれば賞金が貰えるというものだった。そのミッションが大豆を箸で運ぶような、誰でも実現できるものであれば。


現実はそう甘くはなかった。漢文を現代語約しろだとか、日本語を中国語にして発音せよだとか、難しい問題が多かった。しかし、これらの問題はイモコには屁でもなかった。


中国の言語や歴史に関することは、イモコが好きな分野であった。これなら愛しき妹に恥ずかしい姿をみられることはないと安心したところに、隋皇帝の返書を探せという難問である。


イモコにとっての、いや会場の出場者たちにとっての不運はまだ続いた。


イベントの進行係曰く、

「あ、そういえばいい忘れてましたが、出場者が間違えると、出場者の家族が、『バッファローの群れ』に襲われますので注意してくださいませ~」


場は騒然とした。


すでに問題に間違えた人の顔からは生気がなくなって、会場スタッフに運ばれて行った。


「うそ、だろ」


イモコもそのほかの出場者とおなじように、顔を青くした。そして、イモコの意識はイベント進行係への強い怒りを感じながら途切れた。















イベントの進行係曰く、

「……ということで、出場者の家族の皆様には『バッファローの群れ』のぬいぐるみに襲われてもらいます。つまりはぬいぐるみの取り放題です~」


イモコの妹の笑みは深かった。

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