第14話 進撃の小人①
さて今回は、我が夫・キヨっちゃんと息子ちゃん、二人の関係性についてのお話をさせていただこうと思います。
息子ちゃんのことを『息子』というより『弟』として可愛がり(?)たいと豪語していた我が夫・キヨっちゃん。
困ったことに、あの『キ⚪︎ロちゃん誘導事件 (第11話 踊り迫る恐怖)』以降、夫は毎日のように息子ちゃんにイタズラを仕掛けるようになりました。
そんなわけで我が家は、あの日から毎日のように息子ちゃんの泣き声が聞こえるようになってしまいました。
そんなある日のこと……、あれは息子ちゃんが一歳半頃のことでした。
今日も今日とてキヨっちゃんは、息子ちゃんに新手のイタズラを仕掛けます。
「うわあぁっ、あ…あ…ガクッ……」
キヨっちゃんが突然、わざとらしい呻き声を上げたかと思うと、喉元を抑えながらゆっくりと息子ちゃんの前に倒れ込みました。
突然の出来事に硬直する息子ちゃん。
夫はそんな息子ちゃんの前で仰向けになると、殺虫剤を吹きかけられたゴ◯ブリのように、ピクピクと痙攣のマネをし始めました。
白目をむいてピクピク痙攣している夫の姿は、大人の私が見ても、ちょっと気持ち悪いです……
いやその顔はダメでしょ!? 完全にR-15指定でしょ!?
ドン引きする私と違い、息子ちゃんはおっかなびっくりとしながらも、夫の頭元に近付くと、ゆっくりとしゃがみこみ……
「パパ、だーじょぶ?」
と言いながら、その小さな可愛い手で夫の頭を、ヨシヨシとゆっくり撫で始めました。
なっ、なんて……なんて、優しくって可愛いのォォォォっ!!(親バカですが、何か?)
私は、夫の気持ち悪い表情にも負けず、一生懸命に頭を撫でるその優しい息子ちゃんの姿に感動していたのですが、そこは空気を読まないキヨっちゃん。
息子ちゃんが近付いたのをいいことに、『ばあーっ!!』っと言って、息子ちゃんを驚かせてしまいました。
こ……この野郎ぉぉぉぉぉぉ!!
その後は、『泣きじゃくる息子ちゃんをあやしながら夫を叱りつける』という、いつものパターンに突入……。
ヘラヘラ笑いながら『ごっめぇ〜ん』と言う夫……。
反省のないその態度に、どれほど怒りが湧いたことでしょうか。
しかし、夫は思ったよりもすぐに、この時の報いを受けることになるのです。
それは、数日後のことでした。
先日のイタズラに味を占めたキヨっちゃん。またしても変な呻き声を上げながら息子ちゃんの前に倒れ込むと、白目をむき、瀕死のゴキ◯リの如くピクピクと痙攣の真似事をし始めました。
まったくもう、この人は! あれだけ叱り飛ばしたのに性懲りも無くまた同じことを!
私は半ば呆れながら、『パパのことは(放っておいて)いいから、こっちにおいで』と、息子ちゃんを呼びました。
しかし、息子ちゃんはその場に佇んだまま、白目をむいたキヨっちゃんの顔をジッと見つめています。
その真剣な表情は、何かを心に決めているようにも見えました。
息子ちゃんは、キヨっちゃんの顔をしばらく見つめていたかと思うと、次の瞬間、その小さな足を精一杯高く振り上げ、白目をむいて横たわるキヨっちゃんの顔面を、思いっきり踏みつけたのでした!
「ぎゃああああーーっ!!」
不意の痛みに大声を上げながら、のたうち回るキヨっちゃん。
その横をすり抜け、脱兎の如く私の元へ逃げてくる息子ちゃん。
いや……、もうこうなったら、どっちもどっちですよね……。
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