第4話 人工関節置換術を受けるために入院した時の話
今回は、私が生まれて初めて全身麻酔を使った手術を受けた時のお話です。
あれは今から◯◯年前、結婚4年目のこと。
関節リウマチの診断を受けてはや4年 ——(詳しくは『皆様の私を見る目が変わるかもしれないエッセイ』をご覧ください) ——
急速に悪くなり始めた左膝の診察を受けていた時のことです。
医師から、『もう左膝が限界なので手術しましょう』と言われ、私は左膝人工関節置換術を受けることになりました。
リウマチを患うまでは大きな怪我など何一つしたことがなかった私。
初めて受ける手術がこんな大手術になるとは思いもしませんでした。
家のこと、まだ2歳前だった息子と離れてしまうことなど、いろいろと気になってしまいましたが、このままにしておいても治るものではありません。
仕方ありませんね……、ここは覚悟を決めてサッサと手術を受けて、最短、最速での退院を目指しましょう!
気合も十分に迎えた手術当日。ドラマでよくある『ご家族の方はここまでです』のエリアで、家族に手を握られながら『頑張れよ!』と激励を受けた後、私はストレッチャーごと手術室へと運搬されました。
当然のことながら手術室の天井には医療ドラマでよく見る丸〜い照明『無影灯』が。
おぉ、ドラマと一緒! 本物だぁ……と、静かに感動していると、私の枕元にフッと人の気配が。
視線を向けると、そこには宇宙服(のようなモノ?) に身を包んだ担当医の姿が!
『花京院さーん、分かりますかぁ〜? こんな格好ですけど驚かないでくださいね〜』
先生の説明によれば、この手術は血飛沫が凄いから、完全防御のためにこのような格好をしているんだとか。
いや、血飛沫って……。それって私の血飛沫ってことですよね?
担当医から宇宙服の説明を受けた私。
血飛沫発言を他人事のようにぼんやりと聞いていましたが、気がつけば周りの医療スタッフ全員、宇宙服の装いに変わっています。
いよいよ手術がスタートするようです。
麻酔医の手によって私の口元にガスマスク(?)が当てられました。
「はい、大きく吸ってくださ〜い」
「……むほっ、ゴホ、ゴホッ……」
麻酔医の指示に従って深呼吸を試みましたが、咽せてしまってどうにも上手く麻酔が効いてきません。
まさか、このまま手術が始まってしまうのでは……
そんな思いが頭の片隅によぎります。
ゴホゴホッと咽せるばかりで全く麻酔が効いてこず、焦りに焦っている私をよそに、医療スタッフは手際良く準備を進め……
ついに、私の左足に大量の消毒液がぶっかけられました。
(あ、あかーーん!! このままでは、生きたまま(?)解体されてしまうぅぅぅ!!)
スゥ〜〜、ハァ〜、スゥ〜〜、ハァ〜、スゥ〜〜、ハァ〜……
もう、ヤ◯キーがビニール袋のシ◯ナーを吸い込むかの如く、私は必死に深呼吸をしました。
おかげでメスを入れられる前に、何とか眠りにつくことができました……
……と思ったのも束の間、ドンッ!ガンッ!という金槌音と体に伝わってくる衝撃で、フッと意識が戻ってしまったのです。
状況から察するに『宴もたけなわ! 手術は今が最高潮!!』な模様。
きっと血飛沫も飛び散りまくっていることでしょう。
(ぎ、ぎゃあぁぁ!! は、早く
スゥ〜〜、ハァ〜、スゥ〜〜、ハァ〜、スゥ〜〜、ハァ〜……
必死に深呼吸を繰り返したことにより、無事(?)に意識を失うことができたのでした。
めでたし、めでたし。
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