花京院のなんてことない日常。

花京院 依道

第1話 親バカですが、何か?

 この度は『花京院のなんてことない日常』を覗いてくださり、誠にありがとうございます。


 こちらは、前作のエッセイ『私とキヨっちゃんのお見合い事情 〜皆様の私を見る目が変わるかもしれないエッセイ〜』のその後。

 つまり、結婚後の私の日常生活を綴ったエッセイでございます。


 日常の些細な出来事や、思い出深い過去のお話などを、私の心の赴くままに、自由に綴っていこうと思っております。


 ですので、時系列はバラバラ。

 更新のタイミングも特に決めておりません。


 なんとも気まぐれ感溢れるエッセイではありますが、どこからお読みいただいても大丈夫なように、1話読み切りにしていく予定です。

 どうかお付き合いくださいますよう、よろしくお願いいたします。


 一応、前作のリンクをこちらに貼っておきます。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330667180577032



 それでは、もう私のことを知ってくださっていると信じて、第1話目のお話を始めさせていただきます。


 これは先日、必要に迫られて、ある引き出しの片付けをした時の話です。


 普段は開けることのない引き出し。その一番奥に、ひっそりと仕舞い込まれた一枚の手紙を発見しました。

 薄っすらベージュ色に変色した巻四つ折りにされた手紙。


 ……これ、何だっけ?


 そう思いながら、私はその手紙を手に取りました。すると、フッと昔の記憶が蘇ってきました。


 そうだ! これは息子ちゃんが小学3年生の時に学校の授業で書いた『両親への感謝の手紙』だ!!

 うわぁ、懐かし〜! ええっと、どんなことが書いてあったっけ?


 文面はすっかり忘れてしまっていたので、ちょっとワクワクしながら私はその手紙を開きました。


 何々……


   * * * * * *

 わか葉の緑が色こくなってまいりました。

 そちらはお元気ですか。

 お母さん。いつも、料理や家事をしてくれて、ありがとう。いつもつかれているのに、がんばって家事をするお母さんはすごいです。ぼくは、とてもあんなに、仕事はできそうではありません。みんなのために家事をするお母さんは、大好きです。これからも家事がんばってください。

   * * * * * * 


 い、良い子やァァァ! (親バカですが、何か?)

 我には勿体無いほどの、ええ子やぁ。


 ……ただ……


【ぼくは、とてもあんなに、仕事はできそうではありません】


 ……『ものぐさ』の片鱗が垣間見られるところが若干気になる……。


 う…うむ。まあ、いいか。

 さて、気を取り直して続きを……


   * * * * * *

 お父さん。毎日、仕事をしてくれてありがとう。毎日、たいへんなのにがんばって仕事をするお父さんはかっこいいです。ぼくはお父さんを見ならっていきたいと思いました。

   * * * * * *


 ほほう……

 お父さん、『かっこいい』だって。


 今は息子ちゃんも大きくなって、もうそんな風には言ってもらえないだろうから、こうして手紙に書いてもらえててよかったねぇ。


 そう思いながら私は続きの文章を読みました。


   * * * * * *

 家族のために金をかせぐお父さんも大好きです。これからも仕事がんばってください。


 息子ちゃんより

   * * * * * *


 ブッフォッ!?

 ちょ、ちょっと待って!?

 えっ、……金……?


 『金をかせぐ』って……


 …………

 ……

 ぶっ、ふふふ!!


 『感謝の手紙』が、ここにきて急に俗っぽくなっていたので笑えました。


 この面白さは字面ではわかりにくいかと思いますが、音読するとその落差がよくわかります。


 お暇な方は、ぜひ!


 もちろんこの後、家族の前で、感情をたっぷりと込めた朗読会を開催いたしました。

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