第3話 異世界転生した4人と猫1匹



 気が付くと日本に異世界転生していたマーク。それも絶世の美少年と言われ、織田信長お気に入りの秘書だった森蘭丸にそっくりのイケメンになっていた。


 エエエエエエェエエエエエッ!これはどういう事?


 前世では何とも冴えない27歳だった筈なのに、転生した途端イケメンぶりが際立つ格好になっていたマークは今世では19歳となっていた。


 そして…何とマークは今世では「らんまる」という名だ。


 実は…蘭舞留は異世界転生したのだが、一瞬にして日本の古びた寺院に辿り着いてしまった。


 という事は森蘭丸が、織田信長に寵愛を受けていた安土桃山時代に転生したって事?


(イエイエご安心を)

 2024年2月某日の日本に異世界転生していたと、その時キツ―――イ口調のおばさん声がした。


「オイ!らんまる今度の行き先が決まった」


「どこのおばさんが話し掛けて来たんだよ。迷惑な!俺は若い女にしか興味はないんだ💢」


「何々?おばさんだと――――ッ!そこの時代錯誤も甚だしい格好の、もやし野郎が!私はまだ25歳だっつうの!」

 そこで蘭舞留は声を荒げる女の方向に目を向けた。すると……そこにいたのはボンキュッボンの絶世の美女だった。


(それにしても見た目とは違い高圧的な態度の女だ)


 一体この女は誰なのか?


 と、その時、後ろから白衣を着て試験管を持った腰の曲がった小太りでボサボサ白髪頭の、75歳くらいの博士らしきお爺さんが現れて言った。実はこのお爺さんはエリック博士。


「オオ大変じゃ!大変じゃ!かの有名な大企業『アキハラホールディングス』社長の孫娘が誘拐されて早2年の歳月が流れているらしい。『何とか孫娘の安否が知りたい。犯人を探し出して孫娘が無事だったらどんな事をしても救出して欲しい』という依頼が入った。何とかしないと……」


「あの超大企業『アキハラホールディングス』社長の孫娘だと!」

 

「それは一大事ね!」


「おうおう……こういう時こそおマル様」


 するとエリック博士が神棚の横のおマル様の前に立った。何とも仰々しい事。⛩️鳥居とお賽銭箱までが、おマル様の定位置には置かれてある。


 チャリン📀🪙💰 チャリン📀🪙💰

 

 すると猫神様とも有ろうお方がとんでもない行動をお取りあそばした。


 エエエエエエェエエエエエッ!👀


 いつもは、のろまなおマル様が一瞬で銭📀を捉えたと、その時、瞬殺で金貨目掛けて手が伸びた。

 

 その目はまさしく獲物を捕らえる目。ピカリ🌟と目が光り、待ってましたとばかりに一気に手が伸びた。その目👀は神仏に帰依する神様の目ではない。まさしくペテン師。詐欺師の顔😏。金貨を懐に納めほくそ笑んだ。

 

 一体どういう事ヨ?


 神社と言えば鳥居とお賽銭箱は切っても切れない。

 このおマル様、神仏に帰依する身でありながら、損得勘定でしか動かないとんだ金に汚い猫神様だった。

 それなので⛩️鳥居と賽銭箱までが、おマル様の定位置にはチャッカリ置かれてある。


 だが、元来の賽銭箱では銭📀銭📀銭📀が取れない😫


 猫のクセしてNO!を付きつけやがった💢

 

 それでも…誰が来客するか分からない。人目に悪いので一応見かけはお賽銭箱と寸分変わらない。実は…賽銭箱の格子部分が煎餅で作られていた。


 手を付き出すとカツオ味濡れ煎餅になって居るので2度美味しいってヤツ😁手にペタリ濡れ煎餅がくっつき、もう片方の手でお賽銭を頂くってヤツ。今どきの猫も全く抜かりが無い。


 

 お賽銭箱の前に立ったら、賽銭箱にお賽銭をそっと入れ、二拝二拍手一拝の作法をしている博士。


「おマル様孫娘恵梨香ちゃんは生きているでしょうか?」


「するとおマル様が首を縦に振った」


「オオオオオオ!それは有り難い!生存しているという事だ。それでは……犯人の居場所はどこでしょうか?」


 するとおマル様が西方向に歩いた。


「そう言う事ですか?オオありがたや……ありがたや」

 おマル様を拝み倒している。

 

 それでも…このおマル様って一体何者?


「あっ!ありがとうございます。手立てはあるらしい。そして…おマル様が西方向に御歩きあそばしたという事は、これは犯人が西方向にいるという事だ。嗚呼……それから……おマル様犯人は相当手強いでしょうか?」

 するとおマル様が手を大きく広げて「にゃんにゃん」とうなずいた。


「これは大変な事だ!手を大きく広げたという事は相当手強いという事だ」

 

 だけど……こんな胡散臭い銭📀に汚い猫の事を信じて良いのだろうか?それもたかが畜生の言う事など本当にあてになるのか?


 それも……いかにもこのおマル様を神様らしく、頭には天使の輪をのっけて、白着物まで着せて、実に胡散臭い。


 お賽銭で私腹を肥やし、どうも…妖怪村の露店で散々買い食いを繰り返しているらしい。


 チョットデブ猫なので着物がピ~ッチピチ。更には神棚の横に⛩️鳥居とお賽銭箱まで配置して、雲のクッションを置き神様の杖までがニョキっと立って居る。そして…その上がおマル様の定位置だ。


 人間に好きなように利用されておマル様も可哀想にと思いきや、チャッカリ人間を利用してやがる💢


 全く困ったものだ。これだけ仰々しくされて、神様と拝み崇拝され大切にされているというのに、不愛想極まりないな猫だ。


 銭はぼったくるわ、贅沢三昧でエサの注文は口うるさいわで、このおマル様には不満タラタラだが、それでも…おマル様の予言は高確率で当たっている。まさにおマル様々。


 

 そして…最後になったが、この中のまとめ役チーフは誰かというと、ドラキュラ伯爵と呼ばれる45歳の男だ。長身に加え無表情で青白い顔の、どうも…吸血鬼の一面もある恐ろしい男らしい。尚且つ血の匂いに敏感でドラキュラ伯爵と呼ばれているが、血は一切吸わない。


 だが、今日はどうしたというのか、この寺院にはいない。

 一体この一味は何者なのか?


 

 実は…この4人と猫1匹は全員異世界転生した者達で、更には全員が妖怪だった。

道理でこんな薄気味悪い寺院に住んでいるのだな。


 昔から、家が新しく建てられると、そこには新しい霊が宿ると信じられてきた。そして建物が古くなるほど霊は大きくなり、人前に現れ、危害を加えたり、反面恩恵をもたらすこともある。 




 

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