第2話 美剣士・・・蘭舞留の前世

 


 

 それでは異世界転生した4人と猫1匹は、前世ではどのような人生を送っていたのか?


 先ずは蘭舞留様。


 ここは、アジア諸国と酷似した異世界、マリオット諸国の一角にあるロンファという国だ。

 深夜若いカップルがドライブデートを楽しんでいる。


「フッフッフ!💛愛してるわ」


「俺もブッチュ💖💕(^ε^)-☆Chu!!」


 と、その時前方をよろよろと冴えない男が通り掛かった。


「キキキ キ—――――――――ッ!ドッカ—ングッシャン」


「キャ-キャ――――――――――――ッ!」



 ★☆

 

 実は…事故に遭ったのは身長160㎝小太りで、顏は踏み付けられたように横広く潰れた顏のブ男で、何の取り柄も無いマーク・ガルシアという男だった。こんな何の取り柄も無い男だが、唯一ハートだけはどんなに踏みにじられようが、踏みつけられようが、何とも優しい男だった。てか……?優しいというか、散々悪態をつかれて最初は抵抗したが抵抗虚しく、やがて抵抗する気力もなくなり、その内「長い物には巻かれろ」的な境地に達して、今日に至ったと言った方が正解だ。


 会社でも女子社員が避けて通るのもお構いなしに、誰かれなく迷惑も顧みず話し掛けている。


「ハ~イ受付けのナタ―シャさんどうしたんだい。今日は暗い顔して……元気出してよ。折角の可愛い顔が台無しだよ」


「嗚呼……別に……心配して下さらなくても結構……でも……でも……しょっちゅう話し掛けて下さるけど……ハッキリ言って迷惑です。私は超面食いなのよね💢」


 それでもめげずに「ハッハッハッ!そうかい?何か有ったのかと思って……心配しているのさ」

 ある時など酷い事に滑って転んだ女子社員に、駆け寄り救い上げ助けてやったのに、酷い物言いをされている。


「オオオオオオッ!大丈夫かい?」


「あっ!触らないでください。自分で立てますから……」といつもの如く冷たくあしらわれる始末。

 仕事もいつも割の悪い仕事、それも怖~いマフィアからの取り立てや、闇金業者の取り立てを押し付けられても「いいよ。俺やっとくからさぁ。ハッハッハ!」


「テメ――――何しに来やがった💢さっさと帰りやがれ――――ッ!」


「エッヘッヘッヘそう言いましても……ヘッヘッヘ……払うものは払って頂かないと……」


「テメエ💢詰めたいのか――――ッ!」


「まっまままままさか……あの……指詰め😰ひえ――――ッ!」


 エエエエエエエェエエエエエッ?指詰めって……日本だけでしょう?

 いえいえアジア諸国でも日本のヤクザや闇金業者が進出しているので、それを真似た指詰めは有るらしい。

 

 この様な事がしょっちゅうのマ-クなので帰りはいつも午前様。これでは昨今やかましく言われている労働基準法に違反しているのでは?


 今日もクタクタになり道路を横切り家路を急いでいると前方から車が・・・・・


「キキキ キ—――――――――ッ!ドッカ—ングッシャン」


そして…異世界転生した。

 


 もわん もわん もわん


 その時神様のお告げが有った。

 記憶が薄れる中、やまびこの様に声がこだました。


「今度生まれ変わるとしたら……お前様の望みを1つだけ叶えてあげましよう……叶えてあげましょう……叶えてあげましょう……叶えてあげましょう……」


「俺の望みはただ1つ、今度生まれ変わったらイケメンに生まれ変わりたいで~す」


 


 


 






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る