第3話 腋くしゅぐったいね~。我慢できないね~

 そして話は、冒頭に戻る。

 つまり現在――唯夏は黒いレースデザインの下着姿で、ベッドにうつ伏せかつX字で拘束されながら、背中に跨っている僕に、ローションまみれの腋を激しくコチョコチョくすぐられていた。


「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! もうわきはあああぁっははははははははっ!! わきは勘弁してえええぇっへへへへへへへへっ!!」

「何でやめる必要があるの? 唯夏は腋をくすぐられても平気なんだよね?」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! 弱いのおおおっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わきはほんとに弱いのおおおっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「じゃあさっきは嘘をついてたってこと?」

「あっははははははははっ!! そうですそうですうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! 嘘をついてましたあああぁっははははははははっ!!」

「そっか。ならお仕置き確定だね」


 僕は前傾姿勢になって、唯夏の肩甲骨辺りに左右の親指を添える。そして残りの8本の指で、彼女のぬるぬるの両腋に侵入し、そこをグニョグニョと揉み解した。


「ぶっはははははははははっ!! くしゅぐったいくしゅぐったいいいぃっひひひひひひひひひっ!! わき揉まないれえええぇっへへへへへへへへへっ!!」

「お客様凝ってますね~」

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! 凝ってない凝ってないいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わき凝ってないからあああぁっはははははははははっ!!」

「ここをしっかり揉み解しましょうね~」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! お願いだからあああぁっはははははははははっ!! わきからゆび離してえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 唯夏の生温かくて柔らかい腋。

 感触が気持ちよすぎて、できればずっとこうしてグニョグニョしていたい。

 そしてくすぐったさに耐え切れず、無限に笑い続けてほしい。


 僕はうつ伏せで爆笑する唯夏を横目で見ながら、ローションで馴染んだ両腋をグニョグニョと揉み続ける。


「唯夏はほんとここ弱いよね~」

「あっはははははははははっ!! わきむりわきむりわきむりいいいぃっひひひひひひひひひっ!! もうゆるしてえええぇっへへへへへへへへへっ!!」

「そんなに腋が嫌なの?」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! いやらあああぁっはははははははははっ!! もうわきいやらあああぁっはははははははははっ!!」

「じゃあ好きになるまでやろっか」

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! すきですすきですうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! だいすきですうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「そっか。じゃあもっといっぱいやってあげるね」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! なんでなんでえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! かなみのいじわるうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 どんなに笑い叫ぼうと、僕がくすぐりをやめることはない。

 そう――唯夏がセーフワードを言わない限り。

 それまでは最弱の腋を責め続ける。


 僕は8本の指によるグニョグニョ攻撃から、再び10本の指によるコチョコチョ攻撃に切り替える。


「ぶっはははははははははっ!! むりむりむりいいいぃっひひひひひひひひひっ!! こちょこちょもやらあああぁっはははははははははっ!!」

「腋くしゅぐったいね~。我慢できないね~」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! くしゅぐったいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わきくしゅぐったいのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「苦しいね~。ただのこちょこちょなのに恥ずかしいね~?」

「あっはははははははははっ!! こちょこちょらめえええぇっへへへへへへへへっ!! わきからゆびはなしてえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 あの小悪魔系の唯夏が、弱点の腋を執拗にくすぐられて、強制的に笑い悶えている。

 顔を真っ赤にして涙を流し、首をいやいやと振り回している。

 彼女には可哀想だけれど、そんな姿を見ると血がたぎるように興奮してしまう。

 もっと……もっとその先を見たいと思ってしまう。

 こんな激情に駆られるのは、やはり僕が本物のぐりだからだろう。

 物心ついた時から、こうして女の子をガッツリくすぐることでしか満たされないのだ。


「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! せめてわきだけはあああぁっはははははははははっ!! わきだけは勘弁してえええぇっへへへへへへへへへっ!!」

「そんなに辛いなら腕を下ろしてもいいんだよ? 何でずっと万歳してるの?」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ずるいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっは!! おねがいだからわき閉じさせてえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「何で自分で閉じないの? そんなに腋をくすぐってほしいの?」

「あっはははははははははっ!! ちがうのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! もうわき閉じたいのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「じゃあ閉じてもいいんだよ? それまではずっと腋をくすぐり続けるからね」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! いじわるうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わき閉じれないのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 唯夏は手首を乱暴に動かして、何とか拘束を外そうとする。

 しかし物理的にそれは不可能であり、ただガシャガシャと手枷の音が鳴るだけである。

 やっぱり精神拘束よりも、物理拘束の方が圧倒的に好きだ。

 唯夏には申し訳ないけれど、拘束されたまま弱点を延々とくすぐられ、絶望しながら笑い狂ってほしい。


「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ねえやだあああぁっはははははははははっ!! わきくしゅぐったいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「くしゅぐったいよね~。耐えられないよね~」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! やめてえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ゆび離してえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「腕を下ろせたら離してあげるね~」

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! 早くはなせえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! この変態かなみいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「へえ……そんなこと言うんだ。これはまだお仕置きが必要みたいだね」


 僕は黒く微笑むと——唯夏の腋のツボに中指を添えて、そこをグリグリと振動させた。


「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ごめんなさいごめんなさいいいぃっひひひひひひひひひっ!! それほんとむりいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「これはいま暴言を吐いた罰ね」

「あっはははははははははっ!! ごめんなさいごめんなさいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ごめんなさいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「もうあんな生意気なこと言わない?」

「あっはははははははははっ!! 言わない言わないいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! 言わないからやめてえええぇっへへへへへへへへっ!!」


 腋のツボ入れをされて、爆笑しながら許しを請う唯夏。

 こうやって弱点を色々な方法で、なおかつ集中的に壊すのが一番楽しい。

 まして唯夏の弱点は『腋』。

 控えめに言って、僕の大好きな部位である。

 こんな相性抜群の幼馴染と出会えたことに、心の底から感謝したい。


「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! むりむりむりいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! つぼむりだってばあああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「くすぐりなんて効かないんじゃなかったの?」

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! きぎますきぎますうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! よわいですうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「じゃあどこが一番弱いか自分で言ってみて?」

「あっはははははははははっ!! わぎいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わぎが一番よわいですうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「それなのに見せつけてきたの?」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ごべんなさいごべんなさいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ぼうじませんからあああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 どれだけ謝ろうが、お仕置きとしてまだやめる訳にはいかない。

 僕は唯夏の両腋の窪みで、再び全ての指をわしゃわしゃとうごめかせる。

 やっぱり肌にローションを塗ると、摩擦が軽減されて指の動きがとても滑らかになる。

 その結果――通常よりも段違いのくすぐったさに襲われる訳だ。

 この状態で腋や足裏をコチョコチョされたら、どんな強気な女性も一瞬で吹き出し、馬鹿みたいに笑ってしまう。

 くすぐりフェチにとって、ローションは拘束具についで有用なアイテムだろう。


「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ねえむりいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ぼうこちょこちょやらあああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「そうだよね~。早く指を離してほしいよね~」

「あっはははははははははっ!! はなじてえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ゆびはなじてえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「笑いながら頼まれてもね~」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! こんのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっ!! ゆびいいいぃっひひひひひひひひっ!! ゆびはなじいいいっぶっははははははははっ!!」

「あはは、また笑っちゃったね~。そんなにくすぐってほしいんだ~?」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ちがうのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ぼうこちょこちょやらのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 唯夏は髪を勢いよく振り乱し、シーツに笑い声と懇願を撒き散らす。

 それが僕をたまらなく興奮させる。

 ドロドロとした熱い感情が全身を駆け巡り、強烈なぐり欲が理性をかき乱す。


「ちゃんとくすぐられて反省しようね~」

「あっはははははははははっ!! むりむりむりいいいぃっひひひひひひひひひっ!! もうわぎがあああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わぎがこわれちゃうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「いっぱい壊れていいよ?」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! やめでえええぇっへへへへへへへへへっ!! じぬうううぅっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ほんどにじんじゃうからあああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「死なないから大丈夫だよ~」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ごべんなしゃいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ごべんなしゃいごべんなしゃいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ごべんなしゃいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「ほんとにやめてほしかったら、まだ言うことがあるよね?」

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! もっどおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ひーっひっひっひっひっひっひっ!! もっどわぎをこちょこちょしてくださいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 そう――『もっと腋をこちょこちょして下さい』。

 それが事前に決めていたセーフワード。

 しかしここですぐにやめたら、その言葉にした意味がない。

 だから唯夏には気の毒だけれど、僕は彼女の腋をもう少しコチョコチョし続ける。


「それじゃあもっといっぱいくすぐってあげるね」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! らめらめらめえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ほんとにわぎくしゅぐったいのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「ならちゃんとセーフワードを言って?」

「あっはははははははははっ!! もっどおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! もっどわぎをおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「うんうん」

「ひーっひっひっひっひっひっひっ!! もっどわぎをおおおっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わぎをこちょこちょしてくださいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「そうだよね。もっと腋をこちょこちょしてほしいんだよね?」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! なんでなんでえええぇっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ちがうのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ぼうこちょこちょらめなのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」


 これがこのワードの醍醐味。

 本人の意思とは裏腹に、何度もくすぐりを求めてしまう。

 それが終盤のプレイをさらに白熱させる。

 最初の頃はセーフワードを言った時点ですぐにやめていたけれど、何度もプレイを重ねるうちに、唯夏の方からもう少し続けてもいいという意見があったので、今では恒例のやり取りとなっている。

 どうやら彼女は、限界のちょっと先までやられるのが好きらしい。

 今後はもっとエスカレートする可能性もあるだろう。


「やめてほしいの? ならちゃんとセーフワードを言わないと」

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! もっどわぎをおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わぎをこちょこちょしてくださいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「いいよ? そんなに望むならもっとしてあげる」

「いやーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ちがうのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! こちょこちょやらのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ぼうこちょこちょやらのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「こちょこちょやらの? 腋くしゅぐったいの?」

「ひーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! くしゅぐったいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わぎくしゅぐったいのおおおっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「どれくらいくしゅぐったいの?」

「あっはははははははははっ!! じぬほどおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! おがしくなりゅくらいいいぃっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! わぎがくしゅぐったいのおおおぉっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

「……分かったよ。大分反省してるみたいだし、今日はこの辺にしてあげる」


 そうして。

 僕はようやく指を止めて、唯夏を腋の下くすぐり地獄から解放する。


「ひぃ……はぁ……はぁ……はぁ……。もうくすぐったすぎて……はぁ……はぁ……。ほんとに死んじゃうかと思った……」


 唯夏は額に汗を滲ませながら、疲れ切った表情で呼吸を整える。

 まあ激弱の腋をあれだけネチネチとくすぐられたら、そんな感想しか出てこないだろう。

 最初はここまで敏感じゃなかったけれど、何度もハードなくすぐりで壊していくうちに、今では人差し指だけで笑うようになってしまった。


 ちなみに先月のプレイでは、うつ伏せで拘束しながら足裏にローションを塗りたくって、そこを素手とヘアブラシとグローブで交互に責め続け、声が枯れるほど徹底的に壊してあげた。 

 そのせいで彼女は足裏がとても敏感になり、今では常に靴下を履いている。

 あれを思い出すだけで、不思議と足裏がムズムズするらしい。


 ともあれ――これで唯夏の分からせは完了だ。

 腋が死ぬほど弱いくせに、生意気にもあんな挑発してくるのが悪いのだ。

 僕が倍返しすることくらい、彼女だって分かっていただろうに。


「よく頑張ったね。偉い偉い」


 僕はぐったりと横たわる唯夏の髪を、いつも通り優しく撫でる。

 笑いすぎたせいか、少し汗でべたついている。

 そんな彼女も可愛くて大好きだ。


「ひぃ……はぁ……はぁ……。もう汗がやばいんだけど……」

「そうだね。このあと一緒にシャワーを浴びよっか」

「……また腋をくすぐるつもりでしょ」

「逆に何もしなくていいの?」

「…………する♡」


 こうして。

 その日は結局――お互いぐり欲とぐら欲に溺れ、大事な宿題を先延ばしする羽目になってしまった。

 まあそれもまた、夏休みの素敵な思い出ということで、僕たち2人だけの胸にしまっておこう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

くすぐりフェチの僕が彼女の死ぬほど弱い腋をローションで徹底的にくすぐって笑い狂わせた話 くらしな @summer782

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ