73:アイテム拡充
道具屋に着くとすぐに店主のトルバノがやってきた。私が装飾品の商品リストを手にしているのを目にして察したように頷き「今日はどちらをお持ちいたしましょうか?」と聞いてきたので戦士の腕輪と魔力の泉と夜鷹の目を拝見したいと応えると「かしこまりました」と言って鉄格子扉の奥へ部屋と向かっていった。
程なくしてトルバノはトレイに乗せて三つのアイテムを持ってきた。私はすぐに「情報」と念じて確認した。
-------------------
腕輪
攻撃力:5
耐久性:5
損耗率:0%
-------------------
-------------------
指輪
魔法力:50
耐久性:5
損耗率:0%
-------------------
-------------------
眼鏡
耐久性:5
損耗率:0%
【特殊能力】
夜間視力向上
-------------------
「わっ!これはすごい!」
「ホウ!タダノ様にはこれの能力が分かりますか」
おっと、情報能力があることは伏せなければ。
「ええ、何となくですがただならぬ雰囲気を感じます、あと装飾が実に見事ですね、特にこの眼鏡、フレームに施された黒い魔石がとても精工で美しいです」
とりあえずアイテムの性能が分かることは隠し、雰囲気を感じたことにしたのと、装飾技術がすごいと言ったことにした。
「はい、こちらは中央大陸北部の技術職人によって作られた品で、暗闇でも周りが見えるという大変優れた能力を持つ眼鏡でございます。中央大陸北部は腕の良いドワーフ達が多く住み、職人ギルドの一大勢力地となっております」
ドワーフ!ここの冒険者ギルドにもそれっぽい外見の人はいるが、中央大陸北部には本格的な職人ドワーフがいるのか、これは一度行ってみたい、恐らくそこにはもっとすごいアイテムがありそうだ。
「いつか行ってみたいものですね」
「私も一度行ってみたことがありますが、それはもう素晴らしい作品の数々でした、とはいえ私の財力ではそれらを持ち帰ることは出来ませんでしたが」
「そんなに高額なのですか?」
「そうですね、どれも大体数千万デンで、良いものとなると億を超えておりました」
「億ですか!うーーーん・・・」
「タダノ様ならばいずれ、それらの品も手に入れられる程の大冒険者になられることでしょう、願わくばその際には是非とも私にも拝見させていただきたいものです」
「いつになるか分かりませんが、もしもその日が来たらお見せしに参りますね」
「有難う御座います」
「では、今日は竜の涙と戦士の腕輪をいただいていきます」
「おお!毎度ありがとうございます!これは今話した事もそう遠くない日のことになりそうですな」
そうしてすぐに近くのギルドに行ってお金を卸してきて道具屋に戻って代金を支払い、早速腕輪と首飾りを装着して詳細情報を確認した。
-------------------
多田野 仁(ただの ひとし)
20歳男性
レベル:10
生命力:100(+100)
魔法力:100
持久力:100
攻撃力:10(+5)(+5)
防御力:10(+1)
素早さ:10
幸運度:10
魅力:10
魔法技能:10
異常耐性:10
【スキル】
情報
ステップワークLv10
キックLv8
槍使いLv10
【魔法】
小回復
火の玉小
火の壁小
【武器】
棒
【防具】
革靴
【装飾】
首飾り
腕輪
-------------------
-------------------
棒
攻撃力:5
耐久性:5
損耗率:0%
-------------------
-------------------
革靴
防御力:1
耐久性:1
損耗率:0%
-------------------
-------------------
首飾り(希少)
生命力:100
耐久性:10
損耗率:18%
-------------------
-------------------
腕輪
攻撃力:5
耐久性:5
損耗率:0%
-------------------
ウォーッ!と心の中で叫んでガッツポーズ。それでも顔にはその喜びが正直に出てしまった。でもこの場ではそれでヨシとしよう。
「お気に召していただき何よりでございます、そして失礼では御座いますが、私目はタダノ様のその笑顔を見るのが実に好きで御座います」
「ついつい顔に出てしまうんですよね、お恥ずかしい限りです」
「いえいえ、私共はお客様の喜ぶ顔を見るのと、私共が提供した商品が役に立ったと言ってもらえるのが一番の喜びですから、どうか恥ずかしがらずになさって下さい」
「分かりました、良い商品を有難う御座います」
「こちらこそ、本当に有難う御座いました」
そうして私はとても気持ちの良い買い物をして道具屋を後にし、もう一度冒険者ギルド建屋に入って依頼を物色することにした。
入り口側から数えて3枚目の掲示板の裏側が6等級冒険者用なのだが、また一枚依頼書が増えていた。
-------------------
【6等級冒険者向け】
~ 黒水晶の採取 ~
【内容】
北東のダリウム大洞窟奥にあると言われる
黒水晶の採取をお願いしたい
複数人での行動を推奨
洞窟奥には猛毒の黒大トカゲや
黒大サソリなどが出没するので要注意
【期限】
なし
【報酬】
持ち帰った黒水晶の大きさと個数による
参考価格
こぶし大の黒水晶で50万デン
-------------------
一目見てこれは道具屋の眼鏡を買って試してみるのには丁度良い依頼だと思った。地図で確認してみてもダリウム大洞窟まではそれほど遠い距離ではない点も良かった。
私はこの依頼書を手に取り、受付カウンターに行ってこの依頼を受けたいと申し出た。
「タダノ様お一人でいかれるのですか?」
「はい、そのつもりです」
「うーん・・・ダリウム大洞窟は非常に長い洞窟で全く光が差し込まない場所なので、複数人での行動を推奨しているのですが・・・」
「その点については道具屋で売っている貴重なアイテムに夜鷹の目という暗闇でも見える眼鏡があるのでそれを買って試してみようと思うのですが」
「なるほど、中央大陸北部の職人ドワーフが作ったアイテムですね、それならばタダノ様の腕ならば問題ないかと思います、洞窟は相当長いので保存食をかなり多めにもっていかれることをお勧めします、水は洞窟内部に雪解け水が流れているのでそれを飲むことが出来ます、かなり美味しい水ですよ」
「そうなんですね分かりました、教えていただき感謝します」
「それではこちらの依頼で承りました、ご武運をお祈り申し上げます」
私はついでに道具屋で眼鏡を買うお金を卸して、またもや道具屋へと向かって行った。
「おや、タダノ様いかがなさいましたか?」
「はい、先ほどギルドの新しい依頼で北東のダリウム大洞窟の奥にある黒水晶を取ってくることになりました、それで夜鷹の目があれば暗闇でも目が見えるので買って行こうと思ったのです」
「なるほどそうでしたか!あの眼鏡は貴重な鉱石を採掘する専門のドワーフ達も使用する程に便利で性能も保証されているものなので、今回の依頼にはまさにうってつけのアイテムです」
そうして今日二度目の道具屋訪問で、高額商品の夜鷹の目を購入したのであった。
その後飯屋で昼飯を食べ、薬屋で念のため毒消しを購入し、図書館に行って借りた本を返却し、新たに鉱石と植物と別の動物の本と歴史の本を借りて宿屋の部屋へと戻り、ポータルゲートを取り出して現実世界に帰って、時間調節も兼ねて図書館の本を写真に撮りながら鉱石や黒大トカゲなどの動物について予習することにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます