P3-doloris-


ダンジョンに戻ってすぐの事……


「……もう勘弁して下さい…レヴィさまぁ…」

「まだ満足してないから嫌だ。」


ギザに戻ると私はメーテルと共に私の私室に入った。そこは私の趣味の部屋。他人が辱められている時の顔を見るのが私の趣味。悪どい趣味だとよく言われるがそれがなんだっていうんだろうか。


そんなメーテルは今、台に括り付けられ脚を広げた状態になっている。彼の下半身はびしょびしょに濡れていた。なぜなら…



「あっ……っ……ああ!!」

「メーテル!脚を閉じようとするな!狙いがズレるだろ!……よし!ど真ん中!50点!」

「ああぁ!!……そんな事言われましても!あっ!…股間を撃たれたら誰でも動くでしょうよぉ!」


私はメーテルの股めがけて水鉄砲を連射していたからだ。なぜそんな事をするのか?面白いからに決まってる。

(でも、そろそろ飽きてきたな。メーテルもさっきより反応が鈍くなってきてつまらないし…)


「メーテル。もう飽きたからおしまいでいいよー」

「はい……もうミスはしません…うわぁ…股の所がぐちょぐちょするぅ…」

「その心意気だよ。…それはそうとさ、なんでミスをした?お前ならドロリスの軍勢を殲滅するくらい簡単だろ?」

「……ドロリスだけだったらなんとかなったんですが、他にも敵がいて油断してしまいました…」

「ダンジョンに来てた冒険者とかか?」

「いえ…その…プルトンに気を取られてしまって…」

「えっ?……プルトン?あんなただの踊る豚にやられたのか?」

「やられてはいないんですが、ドロリスに吹き飛ばされたプルトンが目の前で踊り出すので…つい見入ってしまって……その隙にドロリスに逃げられちゃいました…」

「……………ほんとに馬鹿なミスをしたな」

「はい……自分でも馬鹿だと思いました…でも豚が目の前で踊り出したら見ちゃいますよぉ」

「分からんでもないが、プルトンくらいそこら辺にいるんだから見慣れてるだろ…」

「なんかつい見ちゃって…テヘ」

「これは罰追加もありえるかな」

「え!!それは嫌です!今度はちゃんと仕留めるので許して下さい!」

「オッケー。じゃあ次も逃したら裸でスキップしてね」

「絶対仕留めます!!」



まさかプルトンでドロリスを逃す羽目になるとは思わなかったな。プルトンは雑食だからドロリスのおこぼれ目的で引っ付いてたんだろう。

(でも本当に次こそは仕留めてもらわないと、ドロリスのせいで中々気が楽にならないんだよね。訪問者って本当に面倒くさい…)



半年後……

「……リジー」

「なんでしょうか?レヴィ様」

「長くない?いつになったらドロリスは来るんだよぉ!」

「まぁ、ドロリスは計画的に動いていると言うより本能的に動いているやつですから…気長に待つしかありません。それかメーテルとの戦闘で消耗した魔獣達を生成しなおすのに時間がかかっているのかもしれませんね」

「もう待つの疲れた…ドロリス探しに行って殺した方が早くない?」

「ドロリスが地上に出てくるのは腹が減った時ですから、土の中を潜らないといけなくなりますね。行くのでしたらお召し物は汚さないようにして下さい?洗うのは私なので」

「土の中なんか潜るわけないだろ!しかも、自分の主人より服の方が大切なのか!」

「それはもちろん。可愛いレヴィ様がこの世で1番大切でございます。」

「……っ!なんなんだ急に…真顔で言うな!」



リジーはたまに爆弾を落とすから気が気じゃない。

長生きしてても褒められるとどう返していいか分からないから困る。


コンコン。

「レヴィ様。チャールズです。ドロリスが一階層に現れました。すでにメーテルが交戦中ですが出向かれますか?」

「やっと来た…。んー、一応見に行こうかな。あと、チャールズがドロリスを背後から追撃して"ミドュバール"に誘導してやれ。あそこはメーテルの"領域"だから本人も動きやすいだろ。もし、メーテルの取りこぼしがあった場合はチャールズがフォローしてくれ」

「えぇー、私がメーテルの尻拭いをするんですか?自分の尻は自分で拭って欲しいです。」

「まぁ、今回はあいつのミスでこうなったけど。今回は確実にドロリスを仕留めたいんだよね。だから1匹たりとも逃さずに頼むよ?」


行くのを渋るチャールズに笑顔で圧をかけると、渋々メーテルを手伝いに行った。


「じゃあ私たちも行こうか?リジー」

「はい」




一方、一階層では……


「…………やっと来てくれたなドロリス。お前のせいで酷い罰をうけることになっちゃったから、覚悟してくれよ?」


そんな事を言いつつ、目の前の訪問者に目を向ける。

(……プルトンはいないな。もう変なミスはできないし、もしまたミスをしたとしても今度は裸でスキップしなきゃいけなくなる!それだけはさけないと。)


レヴィから受けた屈辱(股間に水鉄砲)を胸に刻み込み、己を鼓舞するメーテル。

その瞬間、ドロリスが袋状の身体を傾け魔獣を排出し出す。


(えーー、この前は動きの鈍いバナナンだったくせに、今回はブラックキャットか…動きが速いから面倒臭いな)


ブラックキャットは6本の足のようなツタを使い俊敏に動く魔獣の為、メーテルとは少し相性が良くない。

メーテルがオルクスを振るが、命中率が低い。

(くそっ。大体は当たるけど、避けるやつも多いな。チャールズも連れてくれば良かったけど、絶対誘ったら断るからなーあいつ)



「おい。来てやったぞ!メーテル!」

「うわ!最高な女だよチャールズちゃん!ちょうど来て欲しいって思ってたんだよ」

「いや、自分の尻も拭えないやつなんか手伝いたくないけど、レヴィ様が行けって言うから来たよ」

「いちいち一言多いな。"手伝いに来たよ、メーテル"って言葉だけでいいのにさ」

「うるさいメーテル。……とりあえずドロリスをミドュバールに連れてくよ?広い方が闘いやすいでしょ?」

「あぁ。助かるよ!チャールズがドロリスを誘導してくれるのか?」

「当たり前でしょ?メーテルの武器は誘導には不向きだし。私が誘導しながら残党も片付けるから、着いたらあとはヨロシクね」

「りょーかい、チャールズちゃん」

「……ちゃん付けキモいからやめて」

「はい……」



ドロリスの背後に回ったチャールズが"ピスラム"を取り出しドロリスとブラックキャットに向けて撃ち放つ。

ピスラムは細長い銃の形をした武器であり、魔力量が通常の魔物より多いチャールズは己の魔力で魔弾を作りだしピスラムで攻撃を与える。


チャールズの猛追により、ドロリスとブラックキャットをミドュバールに送り込む事ができた。

その後はあいつの出番だ。


「ありがとうチャールズ」


ミドュバールで待ち構えていたメーテルが、オルクスをドロリスとブラックキャットに向けて振りかざす。

ドロリスの袋は裂け、大半のブラックキャットが2つに切り裂かれた。暴れ回るドロリスをメーテルが攻撃し、ブラックキャットの残党をチャールズが撃ち殺す。

訪問者であるドロリスは生命力がある為、2つにされようが生きていたがメーテルにより細切れにされ、しばらくして事切れた。



隠れて様子を見ていたレヴィがメーテル達に声をかける。

「おつかれ2人とも。メーテルは裸でスキップしなくて済んだから良かったね?」

「ほんとうに良かったです!死に物狂いでドロリスを殺しにかかりましたよ…」

「だってメーテルの目、終始バキバキだったもんね、私的には裸でスキップ見たかったけどなー」

「チャールズがすればいいだろ!その方がレヴィ様だって喜ぶはずだ!」

「はぁ?私が居たからミドュバールにドロリスを誘導できたくせしてよくそんな事が言えるな、メーテル!これでもくらえ!!」


チャールズがピスラムでメーテルの股間を撃ち抜く。

「ああぁ!!!!」


メーテルが倒れ悶絶しているがチャールズは撃つのをやめない。


「ざまぁないな!メーテル!ははっ」

「ふざけるな!チャールズ!あっ!!!ああ!!魔弾で撃つのをやめろ!」

「大丈夫だよ!どうせ再生するんだから!」



そんな2人を見ていたリジーが

「あいつらはほっといて、お部屋に戻りましょうかレヴィ様」と言うので、部屋に戻ることにした。


「2人ともじゃれ合うのはいいけど、ちゃんと仕事もしなね?」

「はい、心得ています!レヴィ様!」

「それなら良かった」

「止めて下さい…レヴィさま…」



立ち去る時にメーテルの声が聞こえたが、ニコッと笑って受け流した。



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補足説明

≪プルトン≫

威嚇する時に踊る、黒い豚。

牙は鋭いが戦闘力は低い。よく大型の魔獣についてまわりおこぼれをもらっている。


≪ブラックキャット≫

暗く湿っぽい地域に生息する、ツタの魔獣。

6本の脚のようなツタを持ち俊敏に動き回る。姿は真っ黒なので、物陰に潜んで狩りをする。


≪バナナン≫

バナナの形をした胴体とムキムキの手足を持つ植物魔獣。動きは鈍いが力があるので非力な者が攻撃を受けると骨が折れる。甘い匂いを出して獲物を誘い捕食する。


≪ピスラム≫

チャールズの武器。

銃の形をしており、エルフであるチャールズが持つからこそ威力を発揮する武器である。エルフは元々魔力量が多いがレディーズ・メイドであるチャールズは通常の何倍もの魔力量を持つ為、魔弾を絶えず造り続けられる。魔力切れを起こした場合は戦力外になるが、チャールズが魔力をきらしたのをまだ誰も見たことはない…


≪領域≫

各戦闘冥土が受け持つギザ内の部屋。

通常はそこで冒険者や侵入してきた魔獣、魔物の相手をしたりしているが暇になると別の階層に行ったりもしている。

それぞれの戦闘冥土に適した造りとなっている為、闘う時は注意が必要である。







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