第15話 誘導尋問

「本題へ進もう」

 由鷹と長谷川が席へ戻ってきてすぐに神戸は言い放った。

 手を組む高圧的な態度を、由鷹はブラックコーヒーを早くよこせと催促していると判断した。

 由鷹は神戸にそれを投げる。

 熱い缶コーヒーが宙を舞い、神戸は難なく受け取った。

「この時期はこれがいい。目も覚める」

 ぷしっといい音を立てながら缶が開いた。

 長谷川はまた尋ねる。

「熱くないのですか?」

「いんや?」

 あ、はい。長谷川は引き下がった。

 熱い黒の液体を喉に入れて、神戸は再度語る。

「そろそろ話がしたい」

 由鷹と長谷川は息をのみこむ。

「サークル設立申請をしないと、予算が出ない。部室も使えない」

「設立には部員は何名必要ですか」

「五人。外部のを入れてもいいのかもしれない。インカレみたいなものは俺は好きではない」

 由鷹と長谷川は頷く。

「君らバカップル二人と俺で三人。あと二人」

「僕に当てがあります」

 由鷹が早めに言った。

 長谷川は由鷹のほうを見る。

「おう。だろうな。頼んだ」

「はい」

 長谷川は困っている。

「私は蚊帳の外ですか」

「いんや、君には客寄せパンダしてもらえればいい」

「……」

 長谷川は口をつぐむ。

「そういった言い方はあまり僕も好きでないです。先輩」

「おお、すまんな。男のほうに任せる」

 話は終わる。

 由鷹と長谷川は飲み物の消費も、おやつすら手つかずであった。

「んじゃ、メアド教えとくわ」

「はい」

 由鷹と神戸は、スマホを取り出す。

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