第4話 壁当てみたいな会話

 しばらくの間歩きながら由鷹は犬内と話した。二人とも男子校出身だったからか、やはり気が合ってしまう。

 犬内は男子校生の習性として理系に流れたみたいだが、由鷹は文系を貫いた。こんな些細なことについても伝え合った。大分ふざけた話が続いた。

 主に犬内が話題提供。由鷹が受け取る。

 会話のキャッチボールというよりかは、一方通行に毛が生えた程度である。

 二人ともお気に入りの小説が擬古文系で共通だったのと、男子校あるあるなんかで話自体は盛り上がった。話自体は。

「それにしても、あの長谷川って人、受験の一位とかでしょ? 首席じゃん」

「たぶんね」

 犬内は天を仰いだ。彼の長い腕を上に伸ばした。

「俺もあんな感じで代表になりたかったなあ! しかもなにあの美人さん!」

「……ああ」

「やっぱし由鷹くんもそういう反応になるよな~」

「まあまあ」

「そういや、キャンパスまではどうする? 東京なんて適当に歩いてりゃ、駅にぶつかるから楽だよなあー」

「うーん、なんとかして渋谷までは行きたいね。そこからはすぐだったと思うから」

「おし! 行くか」

 二人は渋谷を目指す。道のりは長い。距離ももちろんのこと。

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