シャークライダーvs恐怖のバッファロー軍団
譚月遊生季
第39話 絶体絶命!? 全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れに挑め!
目の前に
バッファローの群れの先には、民間人の数多く暮らす街がある。既に避難誘導は済ませたが、街がバッファロー達によって破壊されてしまえば多くの人達が生活の場を奪われることになる。
鮫島が肉体改造により得た「シャークライダー」の
その三分の間に、鮫島ことシャークライダーは暴走するバッファロー達を鎮めなければならない。
緊張により乱れた呼吸をどうにか落ち着かせ、鮫島は腰のベルトに手を伸ばした。
「変身ッッッ!」
シャークエナジィィィという音声とともに、鮫島の全身を硬い
鮫島……いや、シャークライダーはバッファローの群れの先頭に立ち塞がり、腕を垂直に構えた。
途端に、鮫島の周りの空気が変わる。
「シャーク域展開」……三分間しか使えない必殺技を、鮫島は惜しむことなく解き放った。
鮫島の背後から波と共に大量のサメが押し寄せ、バッファロー達を飲み込んでいく。陸の生き物であるバッファロー達は為す術もなく押し流され、街から本来の生息地たるサバンナの方へと押し流されていく。
これで、街は救われた……と、思ったのも束の間。
「な……何ッ!?」
バッファローの群れは、彼らだけではなかった。
流されたバッファローの背後から凄まじい水しぶきを上げ、超大型バッファローが現れた。
海水の中。襲い来るサメなど虫を払い除けるかのように蹴散らし、超大型バッファローは凄まじい勢いで泳いでくる。こんなものの
「く……っ、ここまでか……!」
シャークライダーの胸のサメタイマーがサメザメ、サメザメと鳴き、限界を訴える。
鮫島が片膝をつき、変身が解除されそうになったその時……
一人の男が、颯爽と現れた。
「お……お前は!
「よぉ……情けねぇ姿だな。サメライダー」
「サメライダーじゃない、シャークライダーだ……!」
「ハッ、いちいち細けぇことにこだわる野郎だぜ」
現れたのはシャークライダーの永遠の
「ここはオレ様に任せな。ワニスーツは水陸両用なんでね……!」
シャークライダーが生み出した波に乗り、アリゲイツ・マンは颯爽と超巨大バッファローに向かっていく。
「さぁ……引きずり込んでやるぜ!」
アリゲイツ・マンは三分間、その身体を巨大化させることができる。
鋭い爪と牙が超大型バッファローの脚を次々に捕らえ、バランスを崩させて水中に引きずり込んでいく。
「アイツ……海水は苦手な癖に……」
アリゲイツ・マンの勇姿に胸を打たれ、シャークライダーは再び立ち上がる。
もはや変身状態を維持することも、サメを出すこともできないが、せめて、生み出した波だけは維持してやらねばならない。今なおバッファロー達に喰らいつく、アリゲイツ・マンのためにも……!
「ぐ……ッ、ぅう……っ」
身体に凄まじい負荷がかかり、口の中が鉄臭さで満ちる。それでも、鮫島の鋭い眼光は真っ直ぐにバッファローの群れと戦うアリゲイツ・マンを見つめていた。
シャーク域展開を発動する限界である三分間。……それをとうに超えた、十分後。
大きく抉られた地面をふらふらと歩きながら、静まり返った土地を進む人影が一つ……
「はぁ……はぁ……。おい、生きてるか。サメライダー……」
ボロボロの姿になったアリゲイツ・マンこと鰐淵が、地面に倒れ伏した鮫島の顔を覗き込む。
「……やったのか、アリゲイツ・マン」
「ああ……巨大化が解ける前に、渾身の
鮫島の横に、大の字に倒れ伏す鰐淵。
「……恩に着る。だが、まだ終わりじゃない。そうだろう?」
「ああ……あのバッファローの群れはまだ、ほんの一部だ」
鮫島の瞳が高く、蒼く澄み渡った空を仰ぎ、鰐淵の拳が荒地となった地面を打つ。
二人の遥か後方には、守るべき街が、いつもと変わらぬ姿で佇んでいる……。
「
鮫島は鰐淵の言葉に静かに頷くと、穏やかに凪いだ瞳に、静かな闘志を宿らせた。
「俺たちの戦いはこれからだ」
(完)
シャークライダーvs恐怖のバッファロー軍団 譚月遊生季 @under_moon
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