第1話 結成!ゴスロリ5 その5 変身。
「こんにちは。あなた達がそうなのね。」
「「「「「こんにちは。」」」」」
「くっ、可愛いなぁ。」
「先ずは座って頂戴。お茶はいるかしら。」
「「「「「失礼します。」」」」」
「お茶は、さっき飲んだので。」
「くううっ、可愛いなぁ。」
白衣のお姉さんが、椅子を勧めてくれる。
カジュアルなお姉さんは、なんか身もだえしている。
「初めまして。私は〈君鳥 和花奈(きみどり わかな)〉、このラボの責任者よ。」
「私は〈臼木 怜萌音(うすき れもん)〉、茶太郎君の同僚で、〈ヤット・レンジャー〉の隊員なの。」
「初めまして、私は〈暮内 茜(くれない あかね)〉です。」
「初めまして、私は〈百地 萌々(ももち もも)〉です。」
「初めまして、わたくしは〈速水・ビュクトリア・桜子(はやみ・ビュクトリア・さくらこ)〉ですわ。」
「初めまして、ボクは〈花田 葵(はなだ あおい)〉だよ。」
「初めまして、私は〈比和 あさぎ(ひわ あさぎ〉です。」
「「「「「宜しくお願いします。」」」」」」
「こちらこそ、よろしくね。」
「よろ……、くっ、かわいい!ねえ、持って帰っていい?」
レモンは鼻を押さえて、さらに身もだえしている。
「ダメに決まっているでしょう!真面目にやってよ!」
「はぁい。」
……、大丈夫だ。まだチャンスはある。
レモンはぶつぶつ呟いている。
「ワカナお姉さんとレモンお姉さんですね。」
こんな時、モモはそつが無い。
「「もう一度言って?!」」
「ええと……、」
「ワカナお姉ちゃん、と、レモンお姉ちゃん!」
アカネが元気よく答える。
「「くうう!!」」
「ワカナちゃん、ダメ、ワタシモウガマンデキナイ!」
「堪えるのよ、レモン!これは罠よ!」
「あの、それでここでは何をするんでしょうか?」
なかなか先に進まないので、アサギが切り出した。
どうやらアサギは進行役らしい。
「そ、そうね、話を進めるわね。ここでは変身について色々決めるのよ。」
「変身って、ボク達?」
「そうよ。」
「レモンお姉さんも変身するんですか?」
「勿論。〈クワレンジャー〉になるの。」
「喰われんじゃー?」
「食べられちゃうのですの?」
「食べないわよ!」
「クワって、色なんですか?桑色?」
「ええ、薄い黄色なの。」
「黄色なら〈キ○ンジャー〉で良いのでは?」
「ダメよ!その名前は使っちゃダメなヤツなの!」
「それに〈キレ○ジャー〉だと、太って服が着れないみたいじゃない!」
ええ~そこなんだ、とモモは思ったが、空気を読んで口には出さない。
「苗字が〈臼〉だしね。」
「ワカナちゃん!」
「ウスって?」
「ほら、お正月の餅つきなんかに出て来る丸い……。」
「もう、いいから、早く決めましょう!」
「そ、そうね、レモン。」
「決める事って?」
「なんかあったけ?」
「ほら、変身アイテムとか、掛け声とか、変身ポーズとか。」
「あと、変身後にどんな姿になるか。名前も決めないとね。」
「あっ、名前なら茶太郎君から聞いてるわよ?」
「えっ、なに?」
「〈新D.E.M.A戦隊 YAT SISTERS〉。」
「しんでませんたい?」
「生きてますわ。」
「やっ歳くった?」
「小4だよ?」
「却下します!」
「レモン、私もダメだと思うな。」
「え~?そうかなぁ。」
「じゃあ、まず最初にこれをの着替えて頂戴。」
「ナニコレ?」
「インナー?」
「白い……、レオタードかな。」
「そう、例え変身後がどんな格好でも、ガードしてくれるわ。」
「ガード?」
「薄くて柔らかい鎧みたいな機能があるの。あと見た目。」
「見た目?」
「そ、そうだね!重要だね!」
アカネは分っていた。
だいたい魔法少女が変身すると、服が変わる瞬間に裸になるのだ。
これは大切なお約束だ。
取り敢えず、五人の少女は着替えて、白いレオタード姿になった。
しかし、ここで問題が起こった。
起こってしまったのだ。
五人とも同じ歳、小学校四年生なので、第二次成長期の中にいる。
そして、背の高いアサギとサクラコは、もう大人の体型になってきていた。
それなのに、アカネとモモとアオイは、まだ変化が現れなかった。
個人差はあるものの、乙女にとっては重要な問題だった。
アカネとモモとアオイは思った。
公開○刑は避けねばんならぬ。
そこは譲れない、乙女にとっての大問題だった。
「へ、変身の掛け声は?」
モモがそつなく意識の方向を替える。
すかさずアカネが答える。
「スカイミラージュ トー……」
「却下!」
「ええーっ?じゃあ、エレメントスーツ、ミラクル……」
「却下!」
「ええーっ?じゃあ、ムーンプリズムパ……」
「却下!」
「ええーっ?じゃあ、ハニーフラッ……」
「却下!」
以下、10分繰り返し。
「ねえ、掛け声は後で決めない?」
「同意致しますわ。」
「ええ~!じゃあ次は……。」
「アイテムなんかいいんじゃないかな?」
「じゃあ、ティアラ!」
「却下!」
「なによう、モモちゃん、さっきっからダメばっかりじゃん!」
「だって、ティアラなんてつけて歩けないでしょう?」
「じゃあ、イヤリング!」
「却下!」
「先生方に、目を付けられちゃうよ?」
「ネックレス!」
「持ち物検査で引っかかりますわ。」
「指輪!」
「チョーカー!」
「ネイルチップ!」
10分繰り返した後、キーホルダーに決まりました。
「キーホルダーのデザインは?」
「あの、〈妖精さん〉が良いと思います!」
「そうだね、ボク達を魔法少女にしてくれるのは、〈妖精さん〉だもんね。」
五人の少女はそれぞれ、〈可憐でかわいくて美しい妖精さん〉を想像していた。
「いや、なんだ、その、あれだ、えー。」
「動物!うん、モチーフは動物なんかいいんじゃないかな?」
なぜかお姉さん二人が慌てて変更して来た。
「私はワンちゃん!」
最初にアカネが元気よく答えた。
すると、アカネの手に、アクリルのキーホルダーが現れた。
可愛らしくデフォルメされたマメシバが描いてある。
「かわいい!」
「私は猫かな。」
「わたくしは、蜘蛛で。」
「ボクは、イルカ!」
「私は、ハシビロコウ……、いや、シマエナガで!」
みんなの手の中に、それぞれのモチーフが描かれたキーホルダーが現れた。
「じゃあ、変身して見よっか?」
「どうするんですか?」
「魔法少女に変身するって、強く思えばいいのよ。」
「うん、変身!」
アカネは素早かった。
「おおっ?」
アカネは〈ドッグレッド〉に変身した。
その姿は、まるで子供番組に出て来る着ぐるみの様だ。
赤いゆるキャラだ。ご丁寧に口の中からアカネの顔がのぞいてる。
「えっ?」
モモは〈キャットピンク〉に変身した。
その姿は、頭の猫耳は可愛いが、衣装が際どいピンクのビキニだ。
布の表面積が、とても少ない。
あれ?レオタードだどこに行った?
モモは真っ赤になってその場にしゃがんでしまった。
「あらっ?」
サクラコは〈スパイダーブラック〉に変身した。
その姿は、身体の線がはっきり出る、黒いレオタードだ。
アメコミのスパ○ダーマンの様だ。
はっきり言って、小学生とは思えない程、セクシーだ。
「ほう?」
アオイは〈ベルーガブルー〉に変身した。
その姿は、ブカブカの青い潜水服だ。
体型は隠せたが。
……、ベルーガって、シロイルカじゃなかったっけ?
「はい?」
アサギは〈スワローグリーン〉に変身した。
その姿は、昔のアニメのヒロインにそっくりで、鳥型のヘルメットと緑のミニスカだ。
パンツが見えそうだ。
って、スワローは燕だろう!
「「「「「ぶーぶー!」」」」」
不評だった。
そりゃそうだろう。
「ええと、サクラコちゃん?蜘蛛はちょっと……。」
「いけないんですの?」
「ええ、オモチャのマーケティングが……、ゲフンゲフン。」
どうやら大人の事情らしい。
「蜘蛛って……。」
流石お嬢様は違う!とアカネは感心した。
「この前庭に居ましたの。両手を上げて、挨拶してくれたのですわ。」
「へ~。」
「なんて蜘蛛?」
「コータが言うには〈ハエトリグモ〉ですって。人の役に立つ益虫ですわ。つぶらな瞳が、可愛いいの。」
両手を上げて挨拶って、それはもしや威嚇していたのでは?
「あの、ウ、ウサギなんてどうかな?」
涙目になっているモモがウサギを推薦した。
バニーになって、私より恥ずかしいカッコになれ!
八つ当たりだった。
「ええ、ではウサギで。」
「ちょっと待って!」
アカネが止めた。
モモちゃんは冷静じゃないんだ!
サクラコちゃんがバニーガールになったら、大きいお友達がみんなサクラコちゃんに行ってしまう!
アカネも冷静では無かった。
「えーと……。」
こんな時、アカネの頭脳は高速回転する。
可愛くて、カッコよくて、乙女の体型がカバー出来るもの。
アカネは叫んだ。
「ゴスロリ、ゴー!」
五人はそれぞれ五色のゴシックアンドロリータになった。
〈微少女戦隊♡ゴスロリ5〉!誕生!!
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