第6話 ☆ 伊香保の日記ー3 ☆

 今度のお礼参りはうまくいった。

 白骨教授に会うのはとても懐かしかったけど、きっちり落とし前はつけなくちゃ。

 女を騙して、ただで済むとは思わないで欲しい。

 ショックだったんだから。

 立ち直れた今だからこそ、面と向かって話もできたし、殴ることもできた。

 あの人はこのことについて、特に何もコメントしなかった。息子なのに、なんか他人事だ。

 そんなことよりも、あの女!

 なんであそこにいるのよ。彼氏くんの手前、驚かないように必死だった。前回のアパートのときといい、間違いない。あの女だ。なんてことだろうか。

 あたし達は知らないうちに、あの女に監視されている。

 教授との話の途中、お手洗いと言って席を外し、知り合いに挨拶がてらこっそりあの女を捜してみると、なんと研究室で普通に仕事をしていた。

 いつの間にか、教授と契約を交わしていたようだ。いったいどこで知り合ったのだろう。


 戻ってみると、彼氏くんは教授となにやら意気投合しているような雰囲気だった。

 あたしが戻らなければ、あのままずっと話し続けていたかも。

 やめてよね、元彼と今彼が仲良くお話なんて。

 それにしてもあの彼氏くん、またしてもお説教めいたことを言ってくれた。

 どういうつもりで言ってるんだろ。

 ひょっとして、あたしのことを矯正しているつもりなのかな。

 不思議と不快ではないんだけど、……なんだかなあ。

 さて、当座の問題を解決しよう。

 幸いにして、お礼参りにも絡んでいる。偶然だけど。

 次こそは、彼氏くんに頑張ってもらおっと。

 男らしいとこ、見せてよね。

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