プロローグ 希望を

ぶつり、と命の証を切る。何度も繰り返したこの行為をこれから君も繰り返す。君の憧れた世界の現実はどこまでも残酷なものだった。

自分の無力を嘆き、悔やんだからこそ未だこの場所に立ち続けている。命をかけて守ることはこういうことだと嫌になるほど実感した。

何度も魘された。心の傷が簡単癒えないことは知っているからこそ、その罪悪感だけがいつまでも自分の中に残っている。

だが嫌なことばかりでは無かったはずだ。誰かの憧れになったことも、違う視点から真実を見極めるために動いたことも間違いでは無いはずなのだ。


守らなければいけない世界も、人も。この正義感は間違っていないと信じている。信じていなければ、こんなに焦ることなんて無かった。

この先の真実を知ることが正しいのかなんて誰も知らない。知ることを恐れるのだって正しい行為だ。好奇心で動けるほどの気持ちが無くても、誰も責めたりなんてしない。



「たすけてください」



こんな世界でも、貴方たちが守りたいと思うのなら。どうか。

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