第19話

「こんつきー」

「こんゆなー」

「こんさらー」

「3大闇チューバーの部屋にようこそー。」

「もう隠す気なくなってるじゃん。」

「まぁ、いいんじゃない?」

「事前に予告してた通り、新しいチャンネルだけど……うん…予想通りたくさんの人が集まってるねー。」

「多いね。」

「多い。」

|:隠す気ゼロ。

|:逆に吹っ切れてない?

|:3大闇チューバーて笑

|:昨日の夜のこととは

|:昨日は衝撃だった。

|:祝、初配信

「まぁ、事前にDMを送ってくれた人の悩みを聞いていこうという感じで配信していきまーす。多分、暗くなるから〜。激重になるから覚悟しといてね〜。」

|:はーい

|:月陰テンション高。

「じゃ、1つ目読み上げて。」

「ん。『私はクラスで孤立しています。よく靴を隠されたり机に落書きされます。昨日はトイレで水をかけられました。これっていじめなんでしょうか?解決策はありますか?』だって。」

「ふーん。」

「あ、そうなんだ。」

|:冷た。

|:あれ、冷凍庫にいたっけなー

「まずはいじめの定義として、

『「いじめ」とは、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とする。』文部科学省より。」

「長い。」

「いじめられたと思ったらいじめって思ってた。」

「精神的な苦痛を感じたらいじめって感じっぽいね。」

「へー。」

「いじめだって思ったらいじめっていう認識で良さそう。」

「そうだね。」

「そんな感じで。いじめられてると感じてるなら先生に言えばいいんだっけ?」

「Sara、それは少し違う。」

「え、」

「基本的にはそれが手っ取り早いんだけど、表面上の解決になりかねないから、親に言って、それから教師に言うって流れのほうが良いと思う。」

「へー」

「親がいないんですけどー」

「俺らは特殊なだけー。」

|:ふえー

|:参考になったー

|:あ、親いないんだったね

|:基本的には親がいるもんね。

|:どうしていじめはなくならないのか。

|:それな

|:なんでだろーなんでだろー

|:フザケンナ

|:いいじゃーないのー

|:ダメよ~ダメダメ

|:激おこぷんぷん丸

|:フザケンナ

「あれ?コメ欄荒れてね?…あ、いつも通りか。」

「月陰ー。いじめがなくならない理由はー?」

「自分で考えろー。と言いたいけど、一応考えてはいる。」

「聞かせて。」

「ん。……自分のほうが上だって思い込むためじゃないかな?」

「どゆこと?」

「被害者が下に見られがちでしょ。」

「あ、なるほど。」

|:ん?

|:よく分からない

|:他人をいじめて見下して、優越感に浸る。

|:あ、

|:おー。

|:なるほど?

|:難しい。

「んじゃあ次―――。」


・・・


「それで、沙紀は基本的にこの家にいるのか。」

「うん。」

「やったー沙紀ちゃんと一緒に寝れるー。」

「棒読みだね。」

「私は、翠人と一緒が良い」

「デスヨネー。」

あの後、沙紀ちゃんがここに住むと言い出した。はじめは何かの冗談だと思ってた。今日は配信を思いつきでやって、今に至る。

「本当に、バカップルなんだから」

「付き合ってないけど」

「もう付き合っちゃえ」

「…どうする?」

「翠人がいいなら」

「んじゃそういうことでー」

……え?

「おやすみ」

え?ええぇ?

「おやすみ」

朗報。ついに2人は恋人になりました。

「お、おやすみー。」

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