第8話

…朝だ…。

ついに水野月影チャンネルの登録者数が5万人を超えた。ツブヤイターに感謝の言葉でも書いとくか。

今日は土曜日だからなぁ…火龍サラマンダーと対戦でもしとくか。

『火龍さん、心剣格やりませんか?』

『いいぜ。本気で来いよ。』

『分かってますよ。』

プレイヤー0で心剣格を開く。火龍から部屋番号が送られてきた。

「対戦よろしくお願いします」


今回はもちろん剣士を使う。火龍も本気のようで、アタック型を使っている。

まずは地道にHP《ヒットポイント》を削るためにスピードを上げる。……カウンターされた。それじゃあ、新しく発見したコマンドを試してみよう。まずはディフェンスを下げ、アタックとスピードを上げる。少し離れ、コマンドを打つ。……よし、成功した。抜刀剣、それは相手に突っ込み強力な一撃を与える技。また、相手との位置を入れ替える事ができる。だいぶ削れた。ステータスをバランス型に変え、火龍からの攻撃を待つ。……来た。血迷ったのか、跳び膝蹴りだ。避けて……いや………これは違う。俺はすぐにディフェンスを上げた。これは跳び膝蹴りに見せかけ、避けた相手にすぐに近づき攻撃を与える技術だ。実は跳び膝蹴りはキャンセルすることができる。難しいコマンドを打ち込まなければならないため、使える人は少ない。反動ダメージがなくなるため、奇襲をかけるのに使える。俺は、最後の一撃を決め、勝負に勝った。


「…勝った。良かった。」

『負けました。今日はもう大丈夫です。ありがとうございました。』

『僕も少し危ない場面がありましたよ。いい練習になりました。ありがとうございました。』



……暇に戻ってしまった。

「お兄ー、いるー?」

扉の奥から声がする。

「いるけどー」

「リビングに来てくれないー?」

「分かったー。」

部屋を出て、リビングに入る。

「どうした?花梨かりん。」

「線香とろうそくが無くなりそうだからさ、買ってきてくれない?私は昼食作ってるから。」

「分かった。それじゃあ行ってくる。」

「行ってらっしゃい。」

急に買い物を頼まれるなんて……仕方ないか。

外に出ると沙紀さきが居た。

「珍しいね、外出なんて」

「そうだね。少し、散歩を…もう、限界だから、翠斗の家に、寄ろうと思って」

「そうか。遠慮なく入れよ。」

「ん。…翠斗はどうして?」

「線香とろうそくを買いに。」

「お母さんとお父さんの?」

「そうだけど。」

「行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」


・・・


家に戻ってきた。

「ただいま。」

「おかえり。」

「おかえり。」

「昼食食べてくの?」

「うん。」

「手伝ってくれたんだよ。」

「手伝った。」

「おつかれ。はい、これ。」

「チョコレートだ。」

「ありがと。」

笑った。


今日は、3人で過ごした。

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