第10話 スキルダンジョン
いきなりなんだって話だけど、死ぬかと思った。何ってスキルブックの分類の話だよ。
リストを1つずつ消化していく作業はかなり大変だった。
この能力はこういう応用がとか、こっちは許してるのにこれは駄目なの? 変な批判来ない? みたいなのを考慮しつつ許容できるもの許容して、駄目なものは駄目と分けていった。
その作業が終わったのは季節はすっかり肌寒くなったくらいだった。それでどのくらい時間が経ったのか察して欲しい。
「やっと終わりましたね」
僕と同じく死んだ目をして里楽さんがつぶやく。ほんとお世話になりました。
ちなみに里楽さんへの報酬は里楽さんが欲しいスキルを提供すること。
今度特別ダンジョンを用意して、取ってくることになっている。僕自身は無理だから、雛香に手伝ってもらうんだけどね。
まぁ、それはまた別の話。
分類はできた。じゃあいよいよスキルブックを報酬とするダンジョンを公開することに。
「とりあえず、ルールを確認しようか」
「はい」
スキルを分類していく中で色々と定めたルールがある。それを2人で改めて確認していく作業をするのだ。
「その1。スキルは1人1つまで」
このルールは最初はなかったんだけど、個別では安全なスキルでも組み合わせたらやばいことになるよね? っていうのを考慮して入れざるをえなくなった。
「その2。スキルリセットをすれば取得し直すことはできる」
1のルールに関係するんだけど、どうしてもスキルを変えたい時っていうのはあると思う。そういう時にどうするかって話。
今回はスキルリセット用のアイテムを用意して、それを使えばスキルがない状態に戻れるようにした。
これで未取得状態に戻してからだったら改めてスキルを身につけ直すことができる。
まぁ、スキルレベルはリセットになるからどうしてもって場合だけだけどね。
「その3。スキルは使えば使うほどレベルが上がっていく」
前世の頃からの仕組みそのまんまだ。ちなみに最大は100だと言われてるけど、僕自身スキルレベルが100だなんて人は見たことがない。
僕のダンジョンスキルも前世の頃は100には全然届かなかった。
「とりあえず、スキルのルールに関してはこんなところかな」
「……ですね。ダンジョン公開と同時に告知すればよろしいかと思います」
よしよし、思ったよりも決まったルールは少なかったね。
「それじゃあ、明日公開ってことで!」
これで決定。
そうして次の日、告知と新ダンジョンの公開をした。
「おー、早速潜ってるなぁ」
「掲示板の方も相変わらず凄い勢いで流れていきますね」
早速かなり話題になってるみたいだ。やっぱりスキルっていうのは魔法と対をなすくらい夢の存在だからね。
「まさしく人間の進化みたいなものですからね……しかし、やはり攻撃魔法系がないのがちょっと不満っぽい人がいるみたいですが」
それはねぇ。まぁ、使えるものなら使ってみたい気持ちはわかるけど。
「代わりに、一部、回復魔法系は対象に入れたからね。魔法を使いたい人は頑張ってそれを取得してくれってことで」
ちなみに、魔法は時間ごとに回復する個人の魔力によって行使される。魔法系スキルを入手するとMPっていう概念が生える。
魔力は地球にも漂っている魔素から身体に入って魔力になるけど、人によって扱える量が変わる感じだね。
「まぁ、それが手に入るかは運次第だけどね」
今回、新たにダンジョンを追加したわけだけど、ダンジョン自体は特に特出すべきことはない。ただ、クリアしたらスキルブックが確定で手に入るってだけのダンジョンになっている。
どんなスキルが手に入るかはランダムだから、ちょっとしたガチャみたいになってるね。
……クリア後にちょっとしたガチャみたいになっていると、出るまで繰り返したりするよね。
皆、沼のように潜ってくれ。
「そういえば、雛香さんはどうしたのですか?」
今日この場に雛香はいない。その理由はもちろん。
「雛香も当然ダンジョンに入ってるよ」
当然雛香もスキルを求めてダンジョンへ入っているからだ。
「雛香はどんなスキルを手に入れるかなぁ」
「……雛香さんなら戦闘サポート系でしょうかね?」
あー、確かに、能力アップ系のスキルとかだったら相性はいいかもね。要するにパッシブスキルって言われるやつ。
「どうせ、雛香のことだし何周もするだろうから、自分の好きなやつを選べばいいと思う」
雛香に限らず、大愛さんとか、レインさんも潜っているっぽい。知り合いがどんなスキルを選ぶのかはちょっと楽しみだね。
「ちなみに里楽さんは入らないの?」
「私の場合は、飛鳥さんにもらいますのでわざわざ潜る必要はありません」
「さいですか……」
まぁ、手伝ってくれたお礼だからね。雛香が手に入れてくれればいいけど、確率は低そうだからなぁ。
あとで、ミミにでも頼んでオークションを監視してもらおうっと。
そっちで手に入ればそっちのが楽だからね。
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