閑話 とある配信者とお嬢様?その2

 えっ? 英語? 外国人?

 ごめん、私英語まったく話せないんだけど?


 渚の方を見ると、渚も同時にこっちを見た。


「……」


「……」


 これはまずい……

 混乱する私たちの方に女の子が容赦なく寄ってくる。


「Hey there! Are you guys joining in too?(こんにちは! あなた達が一緒に入る子かな?)」


 わわっ! 話しかけられた!

 えっと……なんて言ったの?

 こういう時なんて言ったらいいんだっけ!?


『ガチのネイティブさんやんwww』

『これはまずい、速すぎて何言ってるかわからんかった』

『多分だけど、一緒に入る子たちかな? って言ってると思う』


 な、なるほど! 流石視聴者さん助かります!


「え、えっと! いえす! あいごーとぅダンジョン!」


 こんな感じでいい!?


「Okay, let's do our best together!(おっけー、一緒に頑張ろうね!)」


 なんとかなった!? なったよね!? 私頑張ったよね? もうゴールしてもいいかな?


『やりきった感出してるところ申し訳ないんだが、これから一緒に攻略するんだが?』

『ゴールどころか、始まってすらいない物語』

『俺達の物語は始まったばかりだ!』

『アオイ先生の次回作にご期待ください』


 そうだった……いや、これほんとどうしたらいいの?

 一緒に攻略なんて、どうやってコミュニケーションを取ったら……


「……渚……どうしよ……」


「どうしようたって……なんとか身振り手振りで行くしかないんじゃない? ゲームとかなら調べながらチャット打てるけどそうじゃないし」


「うぅ……」


 渚もこの調子だ……

 いや、さっきだってコミュニケーション取れたんだ! きっとなんとかなる……


「アレ? モシカシテニホンジン?」


 女の子が言った。

 あー、まずい、英語なのに日本語に聞こえて……


「そっか、じゃあ、日本語のほうがいいかな?」


 男性が言った。

 男性の言葉も日本語に……


「…………ひょっとして日本語喋れます?」


 私の言葉に、2人は大きく頷いた。



 日本語が通じるのであれば話は早い。


「ヒヨコさんとファインさんですね」


 改めてお互いに自己紹介をする。


「私はアオイ、こっちが友人のナギサです」


 中での自己紹介だから、本名じゃなくてプレイヤー名だ。

 まぁ、私たちは名前とプレイヤー名同じだけど。


「うん、よろしくー、2人も知り合い同士なの?」


「はい、リアルの友人です」


「同棲中だよ!」


「渚!?」


 初対面の人にそんな冗談……


「へー! そういう関係なんだ!」


 信じられちゃったし!


「えっと……そちらも知り合い同士なんですか?」


「うん、ひ……ヒヨコたちは従姉弟なんだよ」


 なるほど、凄い美形な家系だこと……


「ひょっとしてそちらも秘密のお付き合いだったり……とか?」


「ちょっ!? 渚!?」


 いきなり何言い出すの? いや、ちょっと私も気になってたけど!


「ははっ! 違うよ、僕らは本当に従兄弟同士」


「ヒヨコ本命のお兄ちゃんはちゃんと別にいるからね!」


 よかった笑って流してくれる人だった……


『渚ちゃんすげぇぶっこんでくるなぁwww』

『まぁ、本当に秘密の関係だったとしてもここでは答えないよね』

『本命の……お兄ちゃん?』

『美男美女のカップルは憧れるよね』


「って、あ、そうだ! すみません! 実は今生配信してまして!」


 突然の外国人に戸惑っちゃったけど、そのまま配信してた!


「えっと、一緒に攻略すると、お2人の姿も映っちゃうんですが、いいでしょうか?」


 駄目ならまた別の人を探すしかないんだけど。


「ヒヨコはいいよー、見られながら攻略するのは慣れてるし」


「僕もまぁ、問題ないかな」


 どうやら2人とも大丈夫みたいだ。


『良かったよかった』

『うん? 見られながら攻略?』

『ヒヨコちゃんも配信者だったりするのかな?』


 あ、そっかその可能性もあるのか。


「そっか、そっか、ダンジョンで配信している人もいるってお兄ちゃんが言ってたけど渚さんもそうだったんだね」


 いや、でも珍しげにカメラに手を振るその姿は配信者っぽくない。


「やっほー、ひょっとしてお兄ちゃんも見てるかな?」


 そのお兄さんが言ってた配信者が私なんて確率はかなり低いと思うけど。今は配信者も結構沢山いるし。

 ともかく、2人とも配信に関しては大丈夫そうだ。


『いきなり映るのに凄い堂々としてる』

『普通もうちょっと混乱すると思うんだけど、これが陽キャってやつか?』

『まぁ、明らかに国籍違うしなぁ』

『というか、2人とも日本語うまいなぁ』


 あ、それ私も思った。


「ヒヨコさんもファインさんも日本語上手ですね」


 全然カタコトことじゃなくて、普通に話せてるし。


「そりゃ、ヒヨコは日本人だもん」


「僕は従姉弟が日本人だからね、会話くらいは普通にできるよ」


 へぇ、日本人……


「えっ!? ヒヨコさん日本人なんですか!?」


「うん、こんな見た目だけど国籍は日本だよー」


 金髪に日本人ばなれしたスタイル……この子多分歳下だよね……それに対して私は……

 自分の胸を見下ろして……


「くっ……」


 私の成長期どこいった?

 ちなみに、ヒヨコちゃんは純粋な日本人ではなく、ハーフとのこと。

 そのハーフ成分私にくれませんか?

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