第18話 法律的な問題

 今までのダンジョンは全部1人での参加だった。

 これはダンジョン内でのトラブルとかが起こった時にどうするかっていう問題があったからだ。

 ゲームでもトラブルになるのに、相手の顔が見えている状態なら絶対トラブルになるよね。


「ただ、絶対やらなきゃいけないことではあるんだよね」


 それもわかっている。

 今後もこのあたりの問題は絶対に出てくると思う。


「……ひとまず、父やお父様に相談するのが良いのではないでしょうか?」


「うーん、まぁ、そうなるよね」


 さっき言っていた政治的な話は丸投げって感じだね。



「なるほど……」


『確かにめんどくさい問題だね』


 というわけで、早速相談することにした。

 父さんとは直接、真田さんには時間をもらってリモートでの会議だ。


「ちなみにだけど、この間見せてもらったミミさんにそのあたりを担当してもらうことはできないのかい?」


「ミミができるのはアカウントの停止くらいなんだよ」


 例えばダンジョン内で犯罪じみた行為があったとして、ミミができるのはアカウントの停止、ダンジョンへの入場禁止くらいだ。


「それを聞いた僕が通報ってこともできなくはないけど、手が足りないね」


 しかも、できるのは通報くらい。


『現状でダンジョン内での法律とかないからね』


 そうなんだよね。ダンジョン内っていうのはある意味で治外法権みたいなものだ。

 ネットやなんかでも問題になってるけど、それ以上に複雑だよね。

 だって本当に対面で相手がいるんだもん。


『例えば複数の国の人で問題を起こした時にどちらの国の法律を優先するのか……』


 そこなんだよね……


「そのあたりのルールをちゃんとすることが重要だね」


 むしろ、今までが適当過ぎただけではあるけど、改めてそのあたりを考える必要がありそうだね。


「うん、わかった。そういうことであれば、うちの会社からサポートできると思う」


「父さんの会社?」


「もともと、例のゴーストタウンの件で協力関係を発表するつもりだったから、そういう法務関連を受け持つこともできると思う」


 父さんの会社ならたしかに、世界的にもかなり大きいしダンジョンに入る人も安心できるとは思う。


『加えて、こちらで根回ししておけば安心かな、大丈夫、きちんと公平に裁判できるようにするから』


 真田さんもそんなふうに言ってくれる。


「真田さんもいいんですか?」


 いろいろな国に関係することだし、大変だと思うんだけど。


『確かに大変だろうけど、それ以上に楽しみだからね』


「楽しみですか?」


『ああ、だってこれって新しい国を作るみたいなものじゃないか?』


 まぁ、ダンジョンっていう土地の決まりを作るみたいなものだけど……


『ともかく、その辺りは任せてもらっていいよ、飛鳥くんは自由にダンジョンを作って』


「だね、政治、経営のことは大人である僕らに任せて」


「ありがとう、父さん、真田さん」


 信頼できる大人2人がそう言ってくれたなら大丈夫だろう。

 これで心置きなくダンジョンのマルチ対応に取り組むことができる。



 そんなわけで、現地ダンジョンの複数人化に対してのハードルはクリアした。

 ここからはそのマルチ対応をどうしていくかの話になる。

 再び、里楽さんと相談して今後の企画を立てていくことにした。

 ちなみに、雛香はダンジョンに行っている。結局、話についていけなかったらしい……


「現地ダンジョンでいきなりマルチ対応するんじゃなくて、やっぱり今のダンジョンにマルチ対応を組み込んでテストしたいよね」


 いきなりやって駄目だった時が心配だし、そっちで失敗すると父さんの会社にも大きな迷惑かかっちゃうからね。


「どちらにせよ、マルチ対応に必要なシステムとかもありますよね」


「基本は出口を同じにすればいいから、ダンジョンとしては簡単だけど、誰と誰が同じダンジョンに行くかみたいのは作る必要があるね」


 そういうのは、ダンジョンじゃなくてアプリ側の問題だ。


「加えて、募集用の公式掲示板などがあると良いかもですね」


「なくてもいいけど、あった方がいいのは確かかなぁ」


 あー、ほんとにネットゲームを運営しているような気分になってきたなぁ。


「スマホアプリ自体も飛鳥さんが作られているんですよね?」


「うん、そう。とは言っても、今はそんな難しいシステムでもないんだけどね」


 サーバーでユーザー管理くらい?

 あとはダンジョン側の機能だ。


「とりあえず、僕の方でシステムの作成はするから、里楽さんはダンジョンでのお披露目用のイベントの案を考えてもらえる?」


「わかりました、以前の魔道具のように、マルチだからこそできるイベントを考えてみます」


 うん、ほんと里楽さんは頼りになるね。

 これから、システムを作ってテスト……その後にイベントかぁ。忙しいことになりそうだなぁ。


 でも、ダンジョンを世の中に広めていくためだ。

 絶対に面白い体験を作り上げるぞ!


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能力をあげるアイテムに関して種と魔石のかけらがごちゃごちゃになっておりました。

現在は種を飲み込むという方式に統一いたしました。

混乱させてしまい申し訳ありません。

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