第16話 現実ダンジョン

 その日からは父さん、母さんと一緒に過ごした。

 観光に行ったり、家でゆっくりしたりと久しぶりのアメリカを堪能した。

 里楽さんも最初は緊張していたみたいだったけど、徐々に打ち解けていった。


「里楽ちゃん、うちの子なんてどう?」


「えっ……いや……」


「母さん!?」


 母さんが里楽さんのことが気に入ったのか、とんでもないことを言い出したりしてた。

 流石に里楽さんも反応に困っていたね。


 まぁ、ともかく、楽しく時間を過ごしていた。

 夏休みの間はこっちにいる予定になっているから、しばらくはこんな状況が続くはず。


 ただ、それはそれとして、ダンジョンのことを放置しているわけではない。

 ある日、父さんからダンジョンについて聞きたいと言われたので、ひとしきり能力を見せてあげた。

 映像では見せたけど、実際はこれが初めてだからね。


『飛鳥様のお手伝いをしているミミです』


「はぁ、こりゃ凄い、本当に知能を持ったAIなんだね」


 その中で、ダンジョンの管理についての話になったのでミミのことも紹介した。


「なるほどね、流石に飛鳥1人で管理をしているとは思ってなかったけど、こんな味方がいたなんてね」


 流石の父さんもミミにはびっくりしていたよ。

 まぁ、ITに詳しければ詳しいほど、ミミにはびっくりするよね。


「そうか、そういう点で何かうちの会社と連携できないかと思ってたんだけど、そういう存在がいるなら必要ないかぁ」


 あー、そういうことも考えてたのか。


「僕としては、アプリのお金周りとかサーバー周りのことだけでも十分助かってるよ」


「父親としては、もうちょっと手助けしたいんだよ」


 確かに、最初は後ろ盾になってもらおうかと思ってたんだけど、今は真田さんがそういうのを請け負ってくれてるからなぁ。


「うん、一応僕も真田さんからは逐一ご連絡もらってるから、心配はしてないんだけど」


 それはそれとして、親として何か助けられたらって気持ちなのかな?

 まぁ、何かあったら頼れる人がいるっていうのは大きいよね。


「ちなみに、飛鳥は今後はどうしていくつもりなんだい?」


「どうしていく……とは?」


「ダンジョンを世界に広めるのが目的なんだろう? 今後どうしていきたいとかはあるのかい?」


 あー、そういうことか。


「ひとまずは、今の方式でダンジョンの知名度を高めていくことが目標かなぁ」


「ひとまず? ってことは、何かやりたいことがあるのかい?」


 あー、それ聞いちゃう?


「……さっきも見せた通り、僕の能力って実際はパソコンやスマホとは本来は関係のないものなんだよね」


 今はスマホアプリを入口にしてはいるけど、本来はそんなものは必要ない。

 入口なんてものはどこにでも作れる。


「だけど、流石に今の時代、適当に入口なんてものを作ったら怒られるどころじゃないでしょ?」


 例えば、目立つようにスカイツリーのどこかに入口をなんて考えたことがあった、ただ、それをやってしまうと、世間に問題があるというか……


「その土地の権利だけじゃなくて、周りに住む人にも迷惑かかるかもしれないね。そういうところちゃんとしっかりしてくれる子で良かったよ」


 ダンジョンで人々を幸せにするって目標のために色々と検討をしたからね。


「まぁ、それはそれとしてちょっと今のゲームっぽい路線はどうにかしたいとは思ってるけどね」


 今の世間の認識は、超リアルな体感が味わえるゲームっていう感じだ。

 ダンジョンの魅力ってのはまだまだこんなもんじゃないと思うんだよ。


「なるほどね……ちなみに、飛鳥の能力だと他にどんなことができるんだい? 見せてもらったようにどこにでも入口を作れるのはわかっているけど」


「むしろダンジョンの入口を作れるなんてのは序の口で、例えばその土地を丸ごとダンジョン化なんてこともできるよ」


 例えば、さっきの例でいくとスカイツリーを丸ごと作り変えて内部をダンジョン化なんてこともできる。

 当然、その中ではモンスターも宝箱も出現させられる。

 まぁ、現実の建物の構造をそのままにするようにするから今とは作り方が変わるけどね。


「そ、そんなことまでできるんだね」


 なんか父さん引いてない?

 いや、まぁ、今の世界でやったら問題なことはわかってるから、速攻で案からは外したんだけどね。


「はぁ……自分で好き勝手できる土地とかあったらなぁ……」


 そうすればやりたかったあれこれが……


「……そんな飛鳥に朗報だよ」


「ん? どういうこと?」


「実は最近、うちの会社で土地を買ってね……正確には行政から担保代わりに押し付けられたんだけど」


「はぁ……えっ? それって……」


「今は人1人いない街、いわゆるゴーストタウンってところでね、うちの会社としても何に使うか悩んでいたんだけど……」


 まさか、えっ? まさかなんだけど?


「それをダンジョン化してみるってのはどうだろう?」


 きたぁああああああああ!!!


「えっ!? 本当に!?」


 本当にいいの!?


「まぁ、その代わり、うちの会社と提携……というか、協力関係ってことを公表する必要はあるだろうけど」


 それは、そうでもしないと会社的には納得できないよね。

 いや、でも……


「どうだい飛鳥、やる気はあるかい?」


 返事は決まっている。


「もちろん!」


 せっかくのチャンスだ! これは、やるしかないでしょう!


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今日でGW最終日です。

明日から仕事・学校だという方、憂鬱でしょう。かくいう作者も同じです。

ですが、沢山読んでいただき星もいただきましたので、作者は元気に仕事いける……はずです。

というわけで、2話投稿やりきった作者偉いと思ったかたは是非とも星さんの方をよろしくお願いいたします。

明日からは1日1話投稿に戻ります。

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