第13話 アメリカに到着
今回からアメリカ回になります。
文章上は日本語で話しているようですが、現地の言語で話していると考えてください。
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結局2人は飛行機が離陸したらすぐにダンジョンに入っていった。
ちゃんとアテンダントさんには、ずっと寝てるから声をかけないようにと言ったからいいけどね。
まぁ、僕は僕で2人の攻略の様子を眺めていたんだけどね。
僕の場合は、パソコンなんてなくてもダンジョン内を見ることができるからね。
……最近、パソコンばっかりで見てたから、その発想に行くまで少し時間かかったけど。
「ついたぁあああ!」
そんなわけで、無事にアメリカに到着した。
入国手続も済ませて、スーツケースも受け取り出口へと向かう。
「……これからどうするのですか?」
「迎えが来てるはずだから、待ち合わせ場所まで行くよ」
このあたりは、いつも同じ流れだ。
「……というか、里楽さん大丈夫?」
なんか、里楽さんさっきからフラフラしてるんだけど?
「……ご心配なく。眠いだけです」
「あー……」
そりゃ、ずっとダンジョンに潜ってたからね。
日本時間で言うと、今はド深夜だもん。眠いのは当然だよ。
「……本当に大丈夫?」
正直、心配になるくらいフラフラしている。
「……」
里楽さんは何も言わずに、ただまっすぐ前を見ている。
目は開けてるだけって感じかなぁ。
「……はぁ……里楽さん、ごめんね」
僕は里楽さんの手を握る。
流石にこのまま倒れたら心配だし連れて行くしかないよね。
「……すみません」
「まぁ、こういう時はお互いさまってね」
しかし、こうやって改めて見てみると里楽さんって美人だよなぁ……
雛香が可愛い系なら、里楽さんは美人系だ。
いや、意識するとちょっと緊張してきた。
「……むぅ、お兄ちゃん! 雛香も!」
「雛香!?」
反対側の手が急に雛香に取られた。
「里楽ちゃんだけずるいから雛香もいいよね!」
「ずるいって……なんだかなぁ」
雛香も寝てないはずなんだけどなぁ。
ぎゅっと握られる手は少し温かく感じる。
まぁ、ちょっと歩きづらいし、目立っちゃってるけど、なんか生暖かい目で見られてるだけだからいいか……
それより、あの人達はどこに……
「へい! そこの両手にフラワーのボーイ!」
「……」
後ろからなんか話しかけられた。
正直無視したい。でも無視はできないよね。知ってる声だし。
「……レインさん……なんでそんな変な日本語?」
後ろに振り返ってみると、そこには金髪の女性が満面の笑みで立っていた。
いや、満面の笑みっていうか、にやにやっていうか……
「いやね、飛鳥が英語忘れてないかなぁってね」
「忘れてないですよ」
「そうかいそうかい、それじゃあ英語で話そうか」
この人は、レインさん。アメリカに住んでいる僕の従姉妹だ。
性格はこんな感じで、おおらかで変なノリだけど、まぁ、悪い人じゃないよ。
年齢は僕よりも10個ほど歳上でしっかりと社会人をしている。
「ようこそ飛鳥。随分と久しぶりじゃないかい?」
「久しぶりってほどですか? 去年も会ってるじゃないですか」
去年の夏休みもアメリカに来たし。
「あー? そういえばそうか、ははは」
「レイン姉! 久しぶり!」
雛香が僕の手を離して、レインさんに飛びついた。
「おお! 雛香も元気そうだね! どうだい? 飛鳥は落とせそうかい?」
「もうちょっと! 頑張ってるよ!」
「ははは、そうかいそうかい! 頑張りなよ!」
「うん!」
雛香もレインさんには幼い頃からずっと懐いている。
見た目も割と近いから、こうしていると本当の姉妹に見える。
「しかし、まさか飛鳥が雛香以外の女の子を連れてくるとはね」
レインさんの視線が里楽さんへと向けられる。
「……どうも」
里楽さんの言葉は少なめ。
握っていた手が少し強まった。
眠いのもあるだろうけど、そういえば、里楽さんってかなりの人見知りだったっけ。
「そっちの子は飛鳥の彼女……うん? ひょっとして元気がないかい?」
定番のネタで僕をいじろうとしていたレインさんだったが、里楽さんの様子がおかしいことに気がついたようだ。
「里楽さんは飛行機の中であんまり眠れなかったみたいで」
「あー、そりゃよくないね。時差ボケは辛いもんな。そうと分かれば、さっさと移動するとするかね」
「はい、お願いします」
こうしてちゃんと気を使える人ではあるんだよなぁ。
レインさんがゆっくりと歩き出したのに付いていく。
「レイン姉が1人で迎えに来てくれたの?」
「うんにゃ? フィンのやつに運転させてきた」
「フィン兄も来てるんだ」
「ああ、あいつも飛鳥たちに会うのを楽しみにしてたよ」
フィンさんはレインさんの弟、つまり僕らからすると従兄弟になる。
「えっと、あいつの車は……お、来た来た」
空港から出ると、すぐに1台の車が寄ってきた。
「姉さんにしては早かったね、久しぶり飛鳥、それに雛香も」
「フィンさん久しぶり」
「フィン兄も久しぶり!」
柔和な笑顔で窓から顔を出す男性、フィンさん。
この人は僕よりも5つほど歳上で、今は大学生のはず。
「そっちの子は……うん、すぐに乗せてあげようか」
「あ、はい。お願いします」
フィンさんも気を使える人なんだよなぁ。
レインさんとフィンさん、性格はあんまり似てないんだけど、やっぱり姉弟って感じ。
「なるべく早めに行くからね」
里楽さんを車に乗せて、僕らも乗り込んだ。
「ご迷惑をおかけしま……す」
「うん、ゆっくり休んでいいからね」
そうして、僕らは空港を後にしたのだった。
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