第25話

 コメント

 :ところでまおりん、ファブさんのおねーちゃんとしては「まおちゃん」呼びは控えさせなくて良いんですか?

 :↑確かに前のファブゼロの配信で二人だけの秘密だのなんだの言ってたなそういえば


「おっ!良い質問するねぇ。これはね、私が呼んでほしいってお願いしたの。ちょっとしたアピールのためにも、ね♪」


 :なんのアピールやwww

 :ワイらに“てぇてぇ”を提供するためのアピールやろ

 :とうとう公式百合カップリング成立!?

 :“ファブ×まお”しか勝たん

 :ファンアートとかいっぱい出てほしい

 :↑まおりんは実写だし、ファブゼロはそもそも立ち絵すら無いからなぁ。ファンアートとか描きたい絵師いても難しそう

 :ファブゼロもまおりんもVTuberとか興味ないの?


「私は声を創作物上のキャラクターの命と思って吹き込むのは大好きだけど、VTuberはまたちょっと違うんだよねぇ」

「ボクは、分からないかな。とりあえず目先の目標はフォロワー数100万人かな。VTuber云々はその後になるかもしれない、と思う」


 :まおりんとか趣味でVTuberやってくれるだけでも僕らからしたら大助かり

 :そういやファブゼロのフォロワー数、今朝方90万人行ってたな

 :おっ!そういえばそうだった!おめでとう!!

 :【15,000円】90万人おめでとうございます

 :【8,888円】おめでとう!

 :【350円】少ないですが

 :【50,000円】次のファブ×まおデート代

 :ないスぺ!

 :ないスぺ!!

 :【10,000円】おめでとー

 :おめでとう!

 :888888!


「わーわー!み、みんなスペシャルチャットありがとう。でも本当に無理して送らないでね?そっちの方がボク、悲しいから」

「うっわ今の声なんかエッチじゃない?みんな」

「ま、まおちゃん!?」

「こほん。………“ボク、悲しいから”」


 :なんか違う

 :ファブゼロのはもっと萌え天使の中に嗜虐心をくすぐられるような、そんなエロさがあった

 :まおりんのはなんか大人の色っぽさが抜け切れてない

 :もはや全然ダメと言っても過言じゃない

 :なんかダメダメ


「うっわー。推しのことになると急に辛辣になるとか分かり味が深いわぁー」

「お、推しだなんて、そんな//」

「いやいやファブちゃん。今この配信に来てくれてるフォロワーさんたちは少なからずファブちゃんを推してると思うよ?ね、みんな?」


 :もちろん!

 :なんなら最推しまである


「ほらね?もっと自分に自信を持ちなよファブちゃん。謙遜は時に嫌味にも繋がるんだから」

「わ、わかった。……あ、あの、ボクのフォロワーのみんな、こんなボクを推してくれて、ありがとね///……ボク、すっごく嬉しい!」


 :おうよ!

 :これからも推し続けるから!

 :ずっと応援してる!

 :ファブゼロの声大好きだから、ずっと推す!!

 :それにしても案外100万人の壁は高いみたいだね

 :↑それ思ってた

 :確かに前のフォロワー数の伸びやばかったからな。あのままの勢いでいけば100万人もあっという間だと思ってたけど

 :たしかに思ってたよりも伸びがゆるやかになってるな

 :最近とかのフォロワー数の増え方を見てると特にな


「だってよファブちゃん。そこんところ実際どう思ってんの?」

「んー、正直なことを言うと、あんまりまだこの90万人のフォロワーがいることすら実感が湧かないんだよね。だから、あまりなんとも言えないけれど。でもそもそもの話が100万人からフォローされるって、とっても難しいことだからね。その分、達成した時には凄いことだし。だから、ボクとしてはむしろ今の状況が好ましいかも。だってあっという間に100万人達成しましたー。よりも、頑張って如何に色んな人に楽しんでもらえるかを試行錯誤して配信して、それで時間をかけて100万人達成した方が、きっとボク的にはとっても気持ちのいい結果になるから」

「……す、すごいねファブちゃん。ちゃんと考えてて、おねーちゃんは今無性にファブちゃんの頭をなでなでしたいよ」


 :煩悩が顔出してるぞまおりんwww

 :せっかくファブゼロが天使みたいな声で良いこと言ってたのにww

 :台無しやww

 :ちなむとワイ、もう既に脳内で小動物みたいな天使がまおりんに頭よしよしされてる妄想余裕で再生済み



 ……………………


 ………………


 …………



 かれこれ二時間ほど『まおりん』との雑談コラボ配信をしたボクは、今、ベッドの上で枕に顔を埋めて。足をバタバタとしながら羞恥心に悶えていた。


 ボク、結構恥ずかしいこと言ってたよね。

 めっちゃ長文だったと思うし。


「うがぁああ!!なんでボクという奴はあんな恥ずかしいことを堂々と、べらべらと熱く語ってしまったんだ!確かにあの時はまおちゃんやフォロワーのみんな温かくて、それが嬉しくって舞い上がってたけど!それにしても限度があるでしょー!?」


 恥ずかしい。

 イタイ奴って思われてないと良いなぁ。


 ピロン♪


 スマホの着信が鳴る。

 画面には汐凪さんからメッセージが届いたことを知らせる通知が表示されていた。



『今日の配信見たよ。まおりんとは凄い仲良くなれたんだね。お互いに親しそうな呼び方してたし。

まぁそんなことは置いといて、じゃん?

みんなには内緒なんだけどさ、あたしのお願い、聞いてくれないかな?』

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