第14話

「お、お邪魔します……」

「い、いらっしゃいませ……」


 カチコチに緊張するボクと旭川ちゃん。

 彼女の家に招かれ、前日まではウキウキと楽しみにしていたものの、いざ来てみたらこの様である。


 お互いがコミュ障ゆえに、家に呼んだ経験も呼ばれた経験も無い二人。


 そんなボクたちの、オフコラボ配信が今始まる。

 しかもなんと、フォロワーさんたちにはコラボだと告知していないドッキリ配信である。



 ……………………


 ………………


 …………



「お前たちごきげんよう!我が名は山茶花さざんかサンカ!今宵は町に弾丸の雨が降るだろう!!わーはっはっはー!!」


 コメント

 :敬礼っ!

 :(`・ω・´)ゞ

 :ゞ

 :ゞ

 :ゞ


「今日もFPSで赤の宴を始めようぞ!!」


 :待ってました!

 :お嬢!

 :初見です。ロリ巨乳が見れると聞いて


「ばっ!??ロ、ロリ巨乳って言うな!」


 :???

 :ロリ巨乳は褒め言葉では?

 :ロリ・褒め言葉、巨乳・褒め言葉

 :ほな合体させても褒め言葉やないかい


「えっ?そうなの??ほ、褒められてるの?わたし」


 :草

 :ちょっろwww


「ふ、ふん!褒めてるならよかろう!我は褒められて伸びるタイプだからな!」


 :さっき一人称「わたし」になってたことすら気づいてなさそう

 :すごいすごーい

 :よっ!ロリ巨乳!!

 :なおここまではテンプレの模様


「(ちょっ、サンカちゃん!ロリ巨乳はべつに褒め言葉でもなんでもないよ!コメントに騙されないで!?)」←ぎり聞き取れてしまうほどの小さな声

「ん!?やっぱりお前たちは我を騙していたのか!」


 :え?

 :今の声だれだ?

 :ちょ、お嬢うるさい

 :お嬢静かにして!

 :今お嬢以外の声が……

 :しかもなんか凄く聞き覚えのある声

 :天使みたいな?

 :てんし?

 :ま、まさか、なぁ?

 :え、うそでしょ?


「あー、、、。ほんとはもっと視聴者さんたちを驚かせる入り方するつもりだったのに。まぁ仕方ないか……」


 :ふぁーwww

 :こ、この声は!!

 :もうかわいい


「おっほん!……お前たちごきげんよう!!我が名はファブリーズ・ゼロキャノン!!今宵はサンカの根城でパーリーナイトとしゃれこもーぞ!」


 :神回きちゃー!!!

 :こーれ神回確定演出です

 :「おっほん」たすかる

 :咳払いすらかわいい


「ちょ、こらー!ファブゼロ、わたしの挨拶パクらないでよ!!」

「いや、前からこの挨拶すっごい良いなぁと思ってたんだよね。かっこいいよね。これサンカちゃんが考えたの?すごい、天才だよ!!」

「え、え、え?………ふ、ふへへ///……ふふ、あーはっはっは!そうだろうそうだろう!かっこいいだろう!ファブゼロは我と同じで感性が良いから特別に同じ挨拶をすることを許してやろう!!」


 :www

 :チョッロww

 :オタク笑いが出てますよお嬢!

 :ファブゼロさんお嬢の扱い方かんぺきでワロタ

 :でも正直こういうところお嬢かわいくて好き

 :↑激しく共感


「それで、もう分かったと思うが今日は我とファブゼロのコラボ配信だ!わーはっは!どうだ驚いただろう?」

「しかも普通のコラボじゃないよー。オフコラボだよー!」


 :は?てぇてぇ?

 :こりゃ驚いた

 :いつもてぇてぇの波動は唐突なんでさぁ

 :オフコラボとかキマシタワー不可避やん


「よしよし。視聴者たちの反応も上々!それじゃファブゼロよ、今日は何をやるのか言ってもらってもよいか?」

「わかった!今日はね、サンカちゃんの家で一緒にお風呂に入ります!!」

「ちょっ!?え、ちょ!??ファブゼロしゃん!そういうことじゃなくて、この配信で何をやるのかってこと!!」


 :大草原不可避

 :さっそくキマシタワー!

 :てぇてぇ

 :このあと一緒にきゃっきゃうふふしながらお風呂に入るんか、、、てぇてぇ


「あ、そっかそっか。ごめんねサンカちゃん」

「わ、わかればよい」

「それで今日の配信は、ボクが手作り料理をサンカちゃんに振る舞って感想をいただこうと思いまーす!!」


 :ボクっ娘でしか得られない栄養素がある

 :なんだそれ、てぇてぇ

 :ファブゼロの手料理。上手くても下手でもどっちにしろワイらからしら美味しいな

 :ぶっちゃけお嬢が羨ましい


「お友達の手料理。た、たのしみ……」


 :ちょwwお嬢www

 :素が出てるww

 :お友達できてよかったね(泣


「それじゃあ早速つくるから、台所借りるね?」

「う、うむ。つなぎは我にまかせておけ!もう材料は事前にファブゼロが買って来てくれたから、すぐに料理姿がみれるぞ!………ふへへ///」


 :おじょー!!

 :ほんとに家に呼べる友達できてよかったねー(泣


「ふ、ふん!お前たちは残念だったな!こーんなに可愛いファブゼロのエプロン姿も、家庭的な面も生で見ることが出来なくって!!」


 :くぅ~、俺も見たい!

 :ファブゼロって声だけじゃなくて見た目もかわいいんか

 :あたしも見たい!というか見る!!(意地でも)


「よし。それじゃあ料理が出来上がるまでファブゼロのかわいいところを一つずつ言っていくとしよう!まずは胸がおおき―――」

「ちょっとサンカちゃん!?それ可愛い関係ないでしょ!??」



〇  〇  〇

次回まで配信回が続きます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る