第47.5話「リアの本」
――ここはとある森。
この森を尊重する巨大な大樹は、ドリアードという木の精霊の住処でした。
ある日、いつものようにドリアードがお花に水をあげていると、一体のトレントがじっとドリアードを見つめていました。
そのトレントは他とは違い、人にそっくりの姿をしていました。
「どうしたの?」
ドリアードはトレントに寄り添いました。
「僕もお花を見てていい?」
トレントは、恐る恐るドリアードの顔を覗きながら訊きます。
「いいよ、一緒にそこに座ろっか」
それから二体は、毎日お花を観察するために約束の場所へ集まり、お話をしながら笑い合って、徐々に仲良くなっていきました。
そんなある日、突然森に邪悪な魔物が現れました。
その魔物は、草木を荒らし、ドリアードの住処である大樹まで破壊してしまったのです。
しかし、少し暴れたら魔物はすぐにどこかへと去っていきました。
トレントは心配で約束の場所へ駆け付けました。
だけど、そこには誰も居ません。トレントは何日も、何ヶ月も、何年も待ちました。それでも約束の場所にドリアードは来ませんでした。
「復讐してやる……!」
その日から、トレントの目は魔物としての邪悪さを取り戻し、森を襲った魔物を殺そうと力を求めて旅に出たのでした。
前編・完
「なんだこれ。前半と後半の雰囲気全然違うじゃん。急に怖ぇよ。それになに、後編あるの、続編渡されてないよ?」
ドリアードから貰った本を読み終えた俺は、とりあえず部屋の引き出しに仕舞って、最近書き始めた日記の続きを開いた。
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