第10話 俺は竜殺しになれるかもしれない②
「う、うぐ、ぐあぁああああああ!!!」
目の前で身体がぐにぐにと変形していく。鱗が、尻尾が、角が形成されていく。
「はぁ……はぁ……」
目の前には、二足歩行の竜がいた。サイズは人間と同じだが。
「驚いただろう。普段は買い取った血を飲んで人間に近づけているのだがね。気を抜くとすぐにこれだ。話しにくいし、手先は不器用だしで全くもって不便だよ」
「か」
「おや? 声も出ないかね。まあ無理もない。こんな醜いものは見た事がないだろう」
「かっけー……」
「は?」
「へ、変身だ」
「いや、厳密に言えばこの姿が真実で、さっきのが変身していた姿となる」
「す、すごい、すごすぎる」
変身ヒーローは夢だ、俺もできるならなりたい。
竜変身、ニアドラゴン!! とか言いたい。
「一生ついていくよ博士!!」
「ハカセ? なんだそれは」
「研究者の事をそう呼ぶんだ」
「まあ、君がそう呼びたいならそれでも良い。君は竜を殺すために竜の事が知りたい。それで違いはないね?」
「そうだ。俺は1年後に現れる竜を殺す」
「ん? 1年後? 1年後ってなんだね?」
「1年後、俺の村に竜が来る」
「何でそんな事が分かる?」
「俺の仲間に未来から戻ってきた奴が居るんだ」
「……ニア君」
肩をすごい力で掴まれた。あれ? めちゃくちゃ怒ってないか。
「そういう事は早く言ってくれ」
「いたたたた!? 悪かった、悪かったから俺の肩が砕ける!?」
「脆いね君。まあ良い、出現タイミングが分かってるなら話は別だ。竜の脅威はその性能もさることながら、いきなり出てくる事にもある。高速移動どころか瞬間移動をした記録すらある。これは1000年に1度の機会だ。竜の出現が前もって分かる事などありえない。これがどれだけ凄い事か君には分からないだろうね。本当にありがとう!!」
怒られたり、礼を言われたり忙しいな。
「博士、これからどうする? 座学か? 実験か?」
「悪いが事情が変わった。これから私は一年がかりの計画を始める。君に構っている暇はたった今消滅した。だが、一緒に来る事は認めよう。きっと竜の知見は身につくだろう」
「見て聞いて覚えろって事か、まあその方が早いかもしれないな」
「そうだ、君の両親と仲間にも挨拶をしよう。1年預かるわけだから筋は通そうじゃないか」
「あー、そうなるのか」
「そうなるとも、さあ急ぐぞ。時間などいくらあっても足りない」
※※※
高次元にて。
「……あれ誰だっけ」
「お前がノリで作った人竜だろ。まさかここでつながってくるとは思わなかったが。何せ前だとあと5年くらいで死んでたから。イベントにも登場してなかったな」
「あー、そんな事も、あった、ような?」
「あったんだよ。で、どうなんだ少しは勝算が出てきたんじゃないか。専門家がやる気になったぞ」
「んー、これでも50%ってところかな。しかも犠牲を出しながら」
「完勝するには戦力が足りないのか」
「足りない。全然足りない」
「じゃあ、あとはどれくらいあればいけるんだ」
「そうだなあ、最強騎士は無理だとしても。4番手くらいを連れてくればいけるかも」
「4番手の騎士? それって……」
「んっふっふ〜、そうだよ。前回パーティーメンバーの父親、刀騎士モンドだ」
「あの親父、剣の鬼になって息子に討ち取られる奴だろ。そんなのに助けを求めて無事で済むのか」
「ところが今はまだ剣鬼じゃないんだな。あれが剣鬼になるのは今から半年後に妻を亡くしてから。今は普通に序列4位の助っ人なんだなあこれが」
「だとしてもツテがないだろ。どうやって助けを求めるんだよ」
「さあ? そうなれば勝てそうってだけでどうなればそうなるのかは知らないよ」
「お前……」
「楽しみだなあ、どうなるんだろう」
▶︎第十一話「俺は大人の本気を見るかもしれない」に続く
【人竜】
気まぐれで生み出された生命。人ではなく、竜でもない。そして性別すらもない。同族など存在せず、一生を孤独と迫害の中で生きた。
その最期は半ば自死であり、心は先に死んでいた。あるいは、心さえ無事ならば。唯一無二の何かになれたかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます