第18話 メーデー
種族:ハイディング・バット
HP:3243 MP:3567 パワー:1230 体力:3333 敏捷:2111 知力:54 魔力:4667
スキル:隠蔽 幻術魔術 風魔術 威嚇
ハイディング・バッド、要するに蝙蝠か。こいつ、ただでさえ風魔術は見にくいのにさらに隠蔽まで使ってくるのか。
「来てるの」
不可視の刃が飛んでくが、気配察知でなんとか避け続ける。このままじゃ、魔力を消費するだけでジリ貧だ。
『しっかり掴まれよ』
トップスピードで上へ下へと最小限の動きで避けながら、進んでいく。
流石にビビったのか、コウモリが弾幕をさらに増やしてくるが、コア数を使い気配察知を最大まであげる。さらに、リフレクション・タートルを倒したことで手に入れた、魔力察知を装備する。
見える! 見えるぞ!
竜巻を放ってくるが、それも織り込み済みだ。
『行け、シロナ!』
「"バニシング・スラ、ぐっ」
『シロナ!』
あと一歩のところで後ろから斬撃が飛んできた。
『———セイクリット・ヒール』
「ありがとうなの」
『気配察知には反応はなかったぞ』
また、普通の斬撃が来るが今度は当たる前に避けたはずなのに、なぜか当たった。
スキルをもう一回確認する。えっと、風魔術と隠蔽は使った。威嚇ではないから、幻術魔法か?
なるほど、幻術魔術の斬撃を隠蔽された斬撃の後に放つことによって、避けるタイミングをずらしているのか!
くそ、見える斬撃と見えない斬撃を同時にたくさん放ってくるから判断しにくい。見える斬撃は偽物だと思ったら本物の時もあって、見えない方も幻術魔術だったり、本物だったりする。
「マスター、このままじゃ魔力を消費するだけなの」
『だよな〜。仕方ねぇ、スナイパーライフルになるしかないのか』
諦めて、おとなしくライフルになる。
「いっくよ〜! ばきゅん」
ドスンッ
コウモリの巨体が地上に落ちた。
『やっぱ魔力消費がすごいなぁ。あと三分の一ぐらいしか残ってないぞ』
「仕方ないなの。あのままだったらこっちがやられてたかもしれないなの」
『流石にもう出てきたりしないよな』
「あとは雑魚を殲滅して、サリアさんと隊と合流するだけなの」
本当にそれだけだといいが……
下で冒険者たちが相手していた魔物を狩り、さらに向かってきた魔物を切る。数が多くてなかなか疲れるなぁ。
ズシン
「何匹いるなの〜」
ズシン
『もう強い魔物いそうにないし、一気に魔術で殲滅するか?』
ズシン
「マスター、なんか地面から何か聞こえるなの」
『気配察知には何も引っかかってないぞ』
突如地面に亀裂が入る。
「お前ら! 離れろ!」
「なんだなんだ?」
中から、出てきたのはメカメカしい象だった。ツノがとても立派な、マジでデカい象だ。今までで1番でかい。マンションぐらいのサイズあるんじゃないだろうか。
「あいつデカすぎるだろ!」
「お終いだ! こんなの勝てるか!」
「おい嬢ちゃんも逃げるんだ」
象が前足をあげ、地面に叩き下ろす。すると同心円状に広がるように鋭い岩が地面から盛り上がり次々に冒険者は刺されていった。
「マスター! 早く回復させてあげないと!」
『いや……もう死んでるぞ』
今ので半分以上の冒険者がやられた。本当に規格外の破壊力。
「みんな逃げるなの。私が時間稼ぎをするなの!」
「でも、嬢ちゃんは……」
「私は大丈夫なの! いいから早く!」
「待ってろ、今ギルマスを呼んでくるからな!」
「マスターあれ勝てるかな」
『ちょっと無理かも。やれるだけやってみるか』
種族:グレイト・ファング・エレファント
HP:——— MP:——— パワー:——— 体力:——— 敏捷:——— 知力:——— 魔力:———
スキル:———
解析が効かないだと。もしかして、自分と相手のレベルが違いすぎて見れないのか?
魔力もほとんど残ってないし、いけるのか? いやでも、時間稼ぎぐらいはできるかも。
『シロナいくぞ!』
とりあえず象の付近まで飛び、剣で攻撃をしてみる。
「———"エンチャントアイス"」
「———"フリージング・スラッシュ"」
剣で氷塊魔術の属性を俺(剣)につけて攻撃する。これが多分1番剣技の中で1番強いと思う。
「ていや!」
シロナの剣技が炸裂したが、全く傷一つついていなかった。
『ノーダメージってマジかよ』
「こっちに気づいてるわけでもないの」
魔力がないから、とっておき4つ目も使えないし、あとできることと言ったら残り少ない魔力を全て注いでスナイパーライフルを打ち込むことぐらいか。
一応逃げれる分だけの魔力は残しておく。
『多分スナイパーライフルで打ち込んでも倒せない。だから足とかを狙って少しでも機動力を落とすんだ』
「こんなのが町に行ったら絶対に被害が出るの」
『あぁ。助けが来るまでは耐えるぞ』
銃口に光が溜まる。象も流石にやばいとおもたのか、こちらに体を向ける。
「いくなの!」
空気を切り裂くような大きな音が聞こえ、極太の光線は超高速で狙った場所へと飛んでいった。
あたりが土煙で覆われてよく見えない。
「確実に当たったはずなの」
『時間稼ぎぐらいにはなったか』
「なんでなの? 絶対外してないのに」
あたりが晴れて現れたのは、全く無傷の象だった。
そう、確かに当たったのだ。しかも、俺たちが今までやってきた中で最も高い攻撃力だったはずだ。
だが俺は、魔力探知で見ていた。防御結界が構築されていたのを。
『シロナ! 攻撃が来るぞ!』
危険察知が次の攻撃はやばいと言っている。
"結界構築" "アイシクルウォール" "フレイムウォール"
分割思考を使いありとあらゆる、防御魔術を張り巡らせた。さらに、俺は形状変化でシロナを包むように球体となった。
象がの前に大きな魔法陣が浮かぶ。周りの大地が切り取られたかのように、浮かび上がり圧縮され円錐状になる。まるでドリルかのように回転し始め、こちらに飛んできた。
『ぐうううう』
「マッマスター!」
『はああああ』
「ここから出してなの!」
『いいからそこで待ってろ! 任せろ絶対耐えて見せる』
フレイムウォールが突破され、アイシクルウォールも突破された。残りは結界だけだ。魔力がどんどん減っていく。俺は全神経を結界構築に集中させた。
結界にヒビが入る。そしてとうとう割れた。
そのまま、岩のドリルは俺に当たり、俺を突き破らんと、どんどん回転する。
まだか、まだなのか。耐久力がゴリゴリ減っていく。
『クソおおおおおおお!』
絶対にシロナだけは守る。
残りの耐久力が100を切った。残り90、70、50、30、10、9、8、7、6、5、4、3、2。
周りの景色がモノクロになり、スローモーションのように時が流れていく。
今までのシロナとの思い出が頭の中でフラッシュバックされる。走馬灯ってやつか。なんで、前世の記憶じゃないんだろう。そうか、こっちの世界の方が俺にとって楽しかったんだ。
「誰か、マスターを助けて……」
「任せなさい。"アビサルフレイム"」
深淵の炎によって、象の放った攻撃は粉砕された。
「サリアさん!」
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