第17話 一難去ってまた一難
『敵の数が多いから、広範囲攻撃系の魔術がいいだろう。流石に剣で一体ずつ倒していくわけにはいかないからな』
「りょーかいなの! 紅蓮の焔よ敵を殲滅せよ"アレイション・フレイム"」
シロナの頭上に大きな火球は、あたりを燃やし尽くしながら魔物に向かっていく。そこらの魔物なら近づいただけで、消し炭だろう。
「これでもまだ残ってるなの」
『なんだあれ、亀みたいだな』
種族:リフレクション・タートル
HP:5000 MP:2100 パワー:3232 体力:687 敏捷:100 知力:32 魔力:3430
スキル:リフレクション 硬質化 魔力探知 治癒魔法Lv.7 身体強化魔法Lv.6
治癒魔法に身体強化魔法って。え、こんな見た目しててまさかの支援系? あれ、なんか嫌な予感がしてきた。
「マスター! さっき倒した敵が!」
嫌な予感は的中してしまった。リフレクション・タートルが淡く光ったと思ったら、先ほど魔術で倒したゴブリンやオーク、コボルトがどこからともなく再生し始めたのだ。
「グゥゥゥ」
さらに、支援魔法を使ったのだろうか。見た目にさほど違いはないが、復活した魔物は明らかにステータスが上がっている。
『シロナ、あいつが元凶だ。あいつをやらないとキリがないぞ』
「そこを退くなの!」
片っ端から、魔物が襲いかかってくる。まるで、リフレクション・タートルを守るかのように。
シロナは数で押されて、ところどころダメージを喰らっている。
「うっ。なかなか近づけないなの」
『任せろ、激流よ敵を覆い尽くせ"レイジング・ストリーム"』
突如、魔物の右側から、とてつもない激流が発生し魔物たちを飲み込んでいく。
『今だ!』
シロナがあらかじめ、詠唱していた魔術を発動させる。
「"アブソリュート・ゼロ"!」
リフレクション・タートル目掛けて、絶対零度の吹雪を放つ。すると、いきなりリフレクションタートルが甲羅の中に素早く入った。
甲羅の中に入ったぐらいじゃ、高レベルの氷塊魔術は防げないぞ。っとそう思った瞬間、甲羅が虹色に光り輝いた。
「うわっ」
七色に光り輝く甲羅に魔術が当たった瞬間、跳ね返ってきたのだ。
『大丈夫か!』
「少し前髪が凍っちゃったなの」
『なるほどこれが
「周りを囲まれたなの!」
『くそ、いつの間に。厄介な』
万事休すか……
グサッ
「うおおお」
魔物がどんどん切られていき、一本の道ができる。そこから、現れたのは、
「こいつらは俺たちに任せろ」
「冒険者さんたちなの!」
「すまねぇ。こっちも魔物を片付けるのに手間取っちまった」
「こいつらは俺たちが相手をする、嬢ちゃんはこいつを頼む!」
『シロナ、今のうちにやるぞ』
「はいなの!」
リフレクションが反射するのはおそらく魔術だけ、つまり物理攻撃であの甲羅をなんとかしなければいけない。
「"バニシング・スラスト"!」
試しに一点突破の突きで攻撃してみるが、少しだけヒビが入ったぐらいだ。
『剣じゃ無理そうか』
「めちゃくちゃ硬いなの。手が痺れたなの」
『攻撃力が足らないな。だけど銃だと跳ね返されるし……』
「———"アブソリュート・ゼロ"」
急にシロナが魔術を発動させる。あぶねぇっ! もうちょっとで当たるとこだった。
『シロナ何やってるんだ! 魔術は効かないぞ』
「マスター、あそこ見て!」
『甲羅の光にヒビが……そうか! 一定以上の攻撃しか反射できないんだ』
「もっと攻撃力のある魔術を使えば」
『リフレクションを破壊できるかも!』
今日もうちの子は天才です。
『焔よ敵を穿て"フレイムアロー"』
「絶対の温度の前に凍れ"アブソリュート・ゼロ"」
おぉ、ひびが入った。
『———フレイムアロー』
「———アブソリュート・ゼロ」
『———フレイムアロー』
「———アブソリュート・ゼロ」
流石に魔術の連続攻撃に耐えられなかったのか、虹色の光が割れて消えた。
『今だ!』
「"ハンドレット・スラッシュ"」
シロナが連撃を放つと猛攻に耐えきれなくなってきたのか、甲羅の中からリフレクション・タートルが出てきた。
シロナは大きく跳躍し、俺はマグナムになる。
「私たちに勝つなんて、1000年早いの」
2つの閃光が正確にリフレクション・タートルの頭を撃ち抜いた。
「討伐完了なの」
「うおお。マジでやったぞ!」
「すげぇな!」
「よっしゃーーー!」
「さすが、マイレディーだ」
冒険者たちも片付いたのか、口々に声をかけにくる。おい、最後になんか聞こえたぞ。ぜってぇパルだろ。よし! あとでボコす。
『む、シロナ空から来るぞ』
「また〜〜?」
一難去ってまた一難。さっきの戦いで魔術打ちまくったから、魔力も半分を切ってきた。
『ここでスナイプしたら魔力が心許ない。できるだけ魔力をセーブしておきたい』
「りょーかいなの!」
『空中戦と行こうじゃないか!』
早速、シロナを乗せて飛行型魔物の方に向かう。すると、気配察知が反応した。
『危なっ』
不可視の攻撃を放ってきたのだ。先っぽが欠けちゃった。こりゃあ前回のシームルグ戦ほど上手くいかねぇだろうな。
「近づこうとすると斬撃が来るの」
『遠すぎて攻撃が当たらん。ライフルを使うしかないのか。でも魔力消費がなぁ」
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