第9話 なんちゃって説明会
「うぷ。お腹いっぱい」
『まさかあの量を全て平らげるとは……』
「美味しかったの」
『それはよかった』
「マスターこの後どうするの?」
『何かやらなければいけないことがあったような……』
「う〜ん」
『う〜ん』
「情報収集なの!」
『情報収集だ!』
***
ということでまたやってきました、冒険者ギルド。
もちろん、どこで調べればいいのか聞くためだ。
「あの〜」
「また会いましたね、シロナさん。本日はどういったご用件で」
「調べ物をしたいの」
「それなら2階に資料室がありますよ」
「ありがとうなの」
***
『ここか』
「ここなの」
中は思ったより広く、本棚や机、椅子が所狭しと置いてある。
「何をお探しかな?」
でたー! 図書館にいる、テンプレ老人司書だ。
「おじちゃんの名前は?」
「おっとすまない。名乗り遅れた。私はアルフレリックという。ここで司書をやっておる。そちらは?」
「私はシロナっていうなの」
「そうか、よろしく頼む」
気のいい。おじいちゃんって感じだったな。
さっそく。この世界についての情報を集めるために、アルフレリックに聞く。
「それなら向こうの棚がいいと思うぞ」
「ありがとうなの」
シロナにページをめくってもらいながら、一緒に読む。
そういえば俺、文字読めなくね? と思ったけど問題なく意味を理解することができた。
そんな感じで、ここ数日間は朝から夜まで本にかじりついて、宿に戻りまた朝に来る。そんな生活を送ったわけで、かなーり大変だったが少しこの世界についてわかったことがある。
簡単にまとめると、
昔神々が民に与えた高度な技術、ロストテクノロジー。それによってこの世界は昔、とても栄えていたらしい。こんな中世みたいな感じではなく、日本よりも優れた文明だったそうな。だが、何かのせいで滅んでしまったらしい。栄え過ぎた文明が滅ぶなんて、アニメや映画ではよくある話だよな。
で、そのロストテクノロジーは完全に消えたのか? というとそうではない。しっかりと残っているのだ。
それがダンジョンや魔物、そしてアーティファクトだ。
まずダンジョンとは、いわゆる古代文明の遺跡だ。ダンジョン内にいるガーディアンを倒さない限り、魔物を出し続けてしまう。魔物は自然発生するのではなく、ダンジョンによって作られているらしい。
S級ダンジョンのガーディアンを倒すことでロストテクノロジースキルというものを手に入れることができるんだとか。何ができるかは誰も知らない。だってS級ダンジョンはクリアされてないからな。ただ、S級ダンジョンにいけば、シロナの両親の手がかりを手に入れれるかもしれないし、噂によるとロストテクノロジースキルを手に入れることができたなら、何でもできるとかなんとか……。まぁ行く価値はあるよな。ほかにも、ダンジョンにはお宝があったりだとかするらしい。
まるで、生物に見える魔物も実はコアという動力源によって動いているらしく、それが無くなるまで餓死などで死ぬことはない。倒すには、大きなダメージを与えるもしくはコアを破壊するしかない。
そんな魔物に対抗するための道具、それがアーティファクトだ。アーティファクトを使うことによって魔術を行使することができる。魔術は科学的な法則に基づいて行われるらしい。何もないところから火や水が出るのではなく、魔力をエネルギーとしてアーティファクトが出しているのだ。
意外とファンタジーっぽくないな。どっちかというと近未来に近いな、この世界。
今ではロストテクノロジーを再現することはできないが魔物のコアからアーティファクトを作ることはできる。コアはロストテクノロジーでできているからな。
もしくは、ダンジョンから発掘されたりもするらしい、それをレジェンドアーティファクトとという。古代文明の再現不可能なアーティファクトだ。現在で作られたものとはまるで違う、めっちゃ強いらしい。とても珍しいから、世界でも見つかっているのは両手で数えられるくらいらしい。
まぁ、魔力やアーティファクトがあっても、人それぞれの適性があったりなかったり。それがスキルとして表れていて、対応したスキルとアーティファクトがなければ、魔術は行使できないらしい。
ちなみに、魔物はアーティファクトがなくても使える。
魔力はこの世界のエネルギー。まぁ電気的なものだろう。
ちなみに、俺のことについてはほとんどわからなかった。スピリットアーティファクトなんて書いてなかったし、アカシックレコードについてもわからなかった。
ていうか、世界って神様いるんだな。もしかして俺をこんな体にしたのも、その神様かもな。
『じゃあ、当面の間はS級ダンジョンをクリアできるほどの実力を手に入れるために修行するしかないか』
「がんばるの!」
『でも、これ相当危険だぞ。S級ダンジョンはいまだにクリアされてないとか。ダンジョンに挑んで帰ってこなかった人もいるみたいだし。シロナ、本当にいいんだな?』
「確かに、危険なことはわかってるの。でも、やっぱり私、お母さんとお父さんに会いたいの。それに私にはマスターがついてるの! たぶん行けるの!」
『分かった。それならとことん付き合ってやるよ』
「ありがとうなの、マスター!」
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