第6話 冒険者シロナ
ドアに入ると、少し開けた場所に出た。運動場みたいだな。
俺たちのほかにも、大人が4人いる。
「おい、なんでこんなところにガキがいるんだ?」
「どうせお遊びだろ」
「子供が合格できるほど簡単じゃないからな」
いかにも最初のほうに主人公にちょっかい出して負けるチンピラAみたいなやつだな。
『シロナ、俺が前言ったことを覚えているか』
「うん。”もし、ちょっかいかけられても無視しろ”なの」
『そうだ。絶対に相手にしたらいけないからな』
うわぁ、話しかけてきたぞ。
「おい」
「ん……?」
「何でここにいるんだよ」
「冒険者になるため」
「ちげぇよ。なんでお前みたいなガキがいるんだ? っていう話だ」
「そうだぞ! ここはお遊びする場所じゃないんだ」
「帰れ帰れ」
取り巻きが横から言ってくるのがテンプレ感すごいな。
「いやなの」
「何をこいつ」
「一回教育してやるよ」
『ア゛ァ? おめぇうちの超絶ケモミミ美少女シロナちゃんになにするってぇ? 表出ろやゴラァ』
「ちょっとマスター! 自分の言ったこと思い出してなの」
「そこまでだ!」
「はいっ」
「チッ。覚えておけよ」
チッ。あいつら助かったな。それにしても去り際の捨て台詞が小物感満々だったぜ。
「私が今回の試験官、アレキサンダーだ」
「一応B級冒険者をやらせてもらってる」
「おい。あれが雷電のアレキサンダーか」
「うわっ本物だ」
「マジかよ」
「静まれ!」
ふーむ、B級となると結構強い部類なのか? しっかし、雷電ねぇ。なかなか中二心くすぐられるな。
有名人みたいだし。ステータスを見てみるか。"解析"
名称:アレキサンダー
年齢:35
種族:人間
レベル:35
HP:232 MP:156 腕力:122 体力:153 敏捷:132 知力:100 魔力:103 器用:95
称号:雷電
スキル:雷魔術Lv.9 剣術.Lv.7 火魔術.3 筋力操作 回復速度上昇Lv.1 気配察知Lv.6 状態異状耐性Lv.1
装備品:雷竜の角剣 雷竜の皮鎧
マジかよ。ステータス全負けじゃん。
「マスターあいつ強いの?」
『めちゃ強いぞ。気を付けろ』
「これより、試験を始める。ここで、君たちの行ってもらうのは模擬戦だ。武器はそこから選んでくれ。一応すべての武器は非殺傷性にはなっているが、けがなどは保証しないためそこを理解してほしい」
「防具やアーティファクトなどはそのままで構わない。あくまでも戦闘能力を確かめるための試験だ」
じゃあ、俺も手伝っていいのか。
「それでは、シロナ君から来てくれ」
『頑張ろうな』
「きっと大丈夫なの。マスターと私がいれば最強!なの」
『おう!』
シロナは木刀を取り、アレキサンダーの前に向かう。
「よろしく頼む」
「お願いしますなの」
とうとう始まった。
「そちらから来てくれ」
『最初から本気で行くぞ』
「うん」
まずホークアイを発動させ、目を強化。
そして相手に火球の弾幕が飛ぶ。
「無詠唱だと!」
俺が裏で発動してるだけなんだけどね。
ちなみに、火球はおとりだ。気配遮断と脚力上昇を発動し、相手の後ろに回り込む。
「からの~"疾風斬り"」
剣技のなかで一番素早く切りつけることのできる技だ。
「やったなの?」
『あ、それは言ってはいけないフラグランキングトップ3』
土煙の中に人影が見える。
「危ない危ない。感が当たったか」
アレキサンダーは、剣を後ろに回し防いでいた。
「むぅ」
「手を止めちゃいけないよ"ミドルスパークリング"」
「"フレアダイナマイト"」
危機察知のおかげで何とか相殺できたがこいつなかなかやるな。
「マスター、でかいの決める」
『おう!』
「――――"フレイムソード"」
『――――"フレイムソード"』
魔法陣が空中に多数発生し、そこから炎の剣が現れる
「中等魔術を多重詠唱だと!」
これがとっておき1つ目。同時詠唱だ。
シロナと俺で同時に魔術を発動することで単純に威力アップもできるし、ほかの魔術と組み合わせたりもできる。
「っぐ、躱しきれない」
『一気に畳みかけろ』
「うん!」
炎の剣をよけながら、中心を突っ切て行く
「"竜の鉤爪"」
アレキサンダーの胴体を斜めに切りつけた。
「グハッ」
ドサッ
アレキサンダーが膝をつくようにして倒れた。
『あれ、起きないな? もしかしてやりすぎた?』
「死んじゃったの? マママ、マスター!?」
『とりあえず、HPを確認しないと。"解析"』
名称:アレキサンダー
年齢:35
種族:人間
レベル:35
HP:12/232 MP:156 腕力:122 体力:153 敏捷:132 知力:100 魔力:103 器用:95
称号:雷電
スキル:雷魔術Lv.9 剣術.Lv.7 火魔術.3 筋力操作 回復速度上昇Lv.1 気配察知Lv.6 状態異状耐性Lv.1
装備品:雷竜の角剣 雷竜の皮鎧
『ギリ生きてるぞ!』
「ふぅ~なの」
職員さんがやってくる
「ちょっとアレキサンダーさん、すごい音がしましたけど本気出さないで下さ……え?
ちょちょちょなんで倒れてるんですか!」
「やっちゃったの」
『やっちゃたな』
どうしよ、これで冒険者になれないかも、ていうか下手したらこの街に入れなくなるかもしれないぞ。
***
あの後少し受付で待っててくれと言われたので、10分ほど待ってるとさっきの職員さんが来た。
「ギルドマスターがお呼びです。どうぞこちらへ」
『やっべ、これはやべぇやつだ』
「絶対怒られるやつなの」
『俺たち金持ってないけど、慰謝料払えとか言われたらどうしよ』
「マスタ~~~~」
『シロナ~~~~』
二階に上がり、扉の前で職員さんが扉をノックする。
「お連れしました」
「入ってください」
部屋の中はとても高そうな家具が置いてあり、部屋の中心には机とそれを取り囲むようにして椅子がある。
その奥には
「あなたは朝助けてくれた……」
「私がギルドマスターのサリアよ。また会ったわね」
そう、朝俺たちを助けてくれた女性だった。
「あの。ごめんなさいなの。朝助けてもらったのに」
「いやいや、いいのよ。だってあれは、試験だもの。全力でやってもらわなくちゃ」
「怒ってないの?」
「怒ってない怒ってない。むしろ子供にコテンパンにされてるアレキサンダーが情けないわ」
「本当に面目ない」
ふと後ろを見るとさっきまでのことが噓かのように全快しているアレキサンダーが部屋に入ってきていた。
「アレキサンダーさん、ごめんなさいなの。私のせいでケガさせてしまったの」
『シロナのせいじゃなぞ。俺が全力で行こうって言ったから』
「いやいや誤らないでくれ。私が弱かったそれだけだよ」
「まぁまぁ、その話はこれくらいにして。あなたいったい何者なの? 中級魔法を無詠唱で発動したり、更には多重詠唱まで、しかも中級剣術まで使うそうじゃない。とても、子供にできることだとは思えないわ」
「師匠どうする?」
『そうだな、あんまり悪目立ちするのは今後どんな影響が出る変わらないからな。とりあえず隠すのが最適だろうな』
「ただの狐耳少女ですなの」
「ふ~む、あくまで隠し通すつもり?」
「何のことかさっぱりなの」
「まぁいいわ」
「それよりも私冒険者になれるの?」
「当たり前じゃない。B級冒険者をボコボコにするほどの戦力を見逃すほど馬鹿じゃないわよ」
「でも規定通り、Eランクからになるけどいいわね」
「わかったの。やったぁ~」
『よくやったぞ、シロナ』
「それじゃあほかに聞きたいことはあるかしら?」
「マスター何かある?」
『そうだな、今夜の宿の場所と魔物の素材を買い取ってもらえるか聞いてみてくれ』
「おすすめの宿を教えてほしいの」
「それだったら、ギルドを出て右側にいったところにある宿がおすすめよ。なんたってお風呂が広くて、とてもいいのよ」
「あと魔物の素材を買い取ってほしいの」
「下の受付で買い取りをしているわ」
「ありがとうなの」
「一応、目立ちたくない感じなら、試験を受けてた3人とここにいる私たちの間であなたのことはとどめておくわ」
「ありがとうなの」
俺たちはサリアの部屋を出た。
「えへシロナちゃんだっけあの子かわいいわね」
なんかサリアの声が聞こえた気がするが……まぁいいか。
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