第4話 シロナの修行

前書き

 

 シロナちゃんのステータスです。

名称:シロナ

年齢:9歳

種族:白狐族

レベル:5

HP:40 MP:65 腕力:22 体力:20 敏捷:23 知力:20 魔力:12 器用:34

称号:アーティファクト使い

スキル:聞き耳Lv.4 気配察知Lv.2 読み書きLv.5


共有しているスキルは除きます。


————————————————————————————————————


『なぁなぁ、S級ダンジョンって昔からあったんだろ』

「うん。お父さんたちが生まれる前からあったなの」

『そんなに昔からあるのに未だに一つも攻略されてないんだろ? 本当に攻略可能なのか?』

「多分難しいと思うなの、でも絶対にやってみせるなの」

『そうか』


グゥゥゥゥゥ


「お話ししてたらお腹空いたの〜」

『じゃあ飯にするか』


 ご飯作れるのかって?

ッフそんなの当たり前じゃないか、料理なんて前世で料理できる系男子として女の子をキャーキャー言わせていた俺からすれば、チョチョイのちょいさ☆

※料理スキルのおかげです。


 まずは、収納して置いたプレイン・ウルフを解体スキルで食べれるところと食べればいところに分ける。

皮や骨は一応捨てない。金になるかもしれないし。


 そして採集スキルで香草やらなんやらを集めて、プレイン・ウルフの肉にのっける。これで置いとけば、獣臭も取れるだろう。そして、肉を待ってる間に火の準備をする。シロナに木の枝を拾ってきてもらい、火魔法で火をつける。


 初めての魔法だ。ワクワク。えーと何が使えるんだ?


 火魔法Lv.2:ファイヤースパーク、ファイヤーボール


 とりま、ファイヤースパークと念じる。

すると小さな火花が飛び、枝に火がつけた。

おおー本当に出た。これぞ異世界の醍醐味だよな。


 そして香草で包んだ肉を念力で持ち上げながら火の上で焼く。

徐々にいい匂いが広がり、シロナも早く食べたそうに、よだれを垂らしている。


 いい感じにやけ上がったところで、香草を剥がす。うん。我ながらいい出来栄えだ。

さっすが、前世で料理できる系男子の俺だな!

※料理スキルのおかげです。


「じゅるり。たべていいなの?」

『まだダメだ。しっかり川で手を洗わないとダメだぞ』



「ちゃんと洗ってきたの〜」

『よし。食べていいぞ』

「わーい♪」

『こらこら。もうちょいゆっくり食べなさい』

「こんなに美味い料理食べたの初めてなの〜」

『そんなに美味いのか。じゃあまた作ってやんよ』

『町に行ったら食料とか調味料もあると思うから、もっと美味いものが作れるかもしれないな』

「早く町に急がないと」


 なんか目的が変わっているような気がするんだが……


 俺はシロナが飯を食ってる隙に俺は寝床を作る。

まず、形状変化で斧になりせっせと木を伐採する。そして、建築のスキルを使うとあら不思議

「何もなかったところにこんなログハウスが」

「マスターすごいの」

『ってもう食べ終えたのか』

「ごちそうさまでしたなの」

『お粗末さまでした』

『そろそろ暗くなってきたし寝てもいいぞ。見張りは俺がしとくから、安心してぐっすり寝てくれ』

「マスターは寝ないの?」

「あぁ。なんせこんな体だからな。寝たくても、寝れないんだ」

「じゃあシロナも起きとく」

『育ち盛りだからしっかり寝ないとダメだぞ』

「だってマスター1人だから寂しいでしょ」

『大丈夫だ。なんたってこの体になってから、数日は経ってるからな。もう慣れたさ』

「う〜。じゃあシロナが寝るまで一緒にいて」

『はいはい。わかったよ』

 

 俺たちはログハウスの中へと入り、寝床にシロナが俺を抱くような体制で横たわった。

前世だと危ない絵面だが、転生した俺はこんな体だし。怪しい考えなんて全く湧き出ない。むしろ、清々しい気分だ。てか、性別があるのかすらわからない。いやーでもこんな美少女と一緒に寝れるだなんて、転生してよかったと思う。


***


 あれから、シロナに俺のスキルとかの説明をし、シロナは寝てしまった。


 今日はいろんなことがあったから、疲れているのも無理ないか。


 でもシロナが俺のことを気遣ってくれて、嬉しかったな。この体になってから、初めて会えたのがシロナで本当に良かった。


 よし決めたぞ。俺はシロナを守って、シロナの夢を絶対に叶えさせてやる!


 俺はそう心に固く誓うのだった。


***


 そろそろ日も上がってきたしな。シロナを起こすか。


『シロナー。そろそろ朝だぞ。起きろー』

「うにゅ。まだ起きたくないなの〜」


 やっぱ、可愛すぎる。起こしたくないが、俺は心を鬼にして念力を使いシロナの体をゆする。

『シロナさーん朝ですよー』

「うう。ふぁぁぁ。マスターおはよぉ」


 かわええ。じゃなくて、


『ほら、とりあえずこれ食べて』


 俺は、朝拾っておいた、リンゴもどきを渡す。料理スキルでしっかり食べれることがわかってるので、毒はない。

『それで今日はどうするんだ』

「えっと、とりあえず魔物をいっぱい狩って、修行するの」

『俺がいるから大丈夫だと思うけど、魔物から攻撃を喰らったりしたら、とっても痛いぞ』

『それこそタダじゃ済まないこともあるかもしれない。それでもやるか?』

「うん」


 即答だった。強い子だな。俺がこのくらいの歳の時だったらこんなことはできない。いったいどれほどの強い思いがあるのだろうか。


『わかった。やるからには俺がビシバシ鍛えてやる』

「お願いしますなの」


 さっそく俺たちは、南側にあるオークがよく出る場所に向かった。

 

 もちろん狙いはオークだ。最初にしては難しすぎるんじゃないかって?

大丈夫。俺を装備している間はステータスも上がるし、スキル共有の効果で、俺が持っているスキルをシロナも使うことができる。それに、あいつら移動速度とか遅いし、いざとなれば逃げることもできるだろう。


「マスター、なんかいるの」


『やっと見つかったか』

「今から戦うなの?」

『フッフッフ。ここで倒すのはまだまだ二流だぜ』

「というと?」

『ここから奴の後ろをつけるんだ。すると、住処に行き着くはずさ』


 そう、これは俺が効率よくオークを狩るために考案した。

名付けて、オークホイホイ だ。


「マスターすごいの」

『そうだろ⭐︎』

「戦闘は任せろ。なんたって、俺は多分伝説級のアーティファクトだからな」

「頼もしいの」


 あの横穴があいつらの巣か。意外と近かったな。

『よし準備できたか?』

「ばっちし」

『じゃあ行くぞ!』


 俺たちは中にいるオークにバレないよう、慎重に進んだ。

この巣は、今までの中で1番デカかった。こういうのは大体、強いボスがいるもんだが、進むか?

いや、シロナもいるし、引き返すべきじゃないのか?


『なぁシロナ、ここなんかやばそうだから引き下がるか?』


 あくまで本人の意思を尊重する。もし行くなら、俺が最大のサポートをしてやればいい。

「私は行きたいの。早く修行して強くなりたいの」

『分かった』


 話している間に、どうやら本丸に到着したようだ。


「マスター」

『ああ』


 俺は形状変化で剣の形になった。


「ていや」


 さっそく、俺たちにまだ気づいていないオークの頭が飛ぶ。


「ブヒッ?」


 気付かれたようだ。俺たちを狙った水球が飛んでくるが、シロナがそれをサイドステップで躱す。


「すごいなの。攻撃が遅く感じるの」

『剣術スキルを共有してるからな』


 そして、間合いをつめて一刀両断。


『シロナ、囲まれたぞ。いけるか?』

「まかせてなの。"スピンスラッシュ"」


 シロナが回転し、一瞬にして周りにいたオークが切り裂かれる。


「"鎌鼬かまいたち"」


 飛ぶ斬撃が後ろ側にいたオークに当たる。上半身と下半身がお別れ状態になってる。なかなかグロイ。


『あっという間だったな』

「どうだったマスター?」

『初めてにしては上出来だと思うぞ。よくやったな!』

「えへへ」


 褒められて照れているのだろうか。可愛い。こんな笑顔見たら世の中の男子全員は、鼻血出して気絶するだろうな。よかった、アーティファクトで。


「マスター何か聞こえるの」

『まだいたのか?』


 すると奥から、今までの比じゃないくらいデカいオークが出てくる。3〜4メートルぐらいありそうだ。

初めて見る奴だな。"解析"。


名称:――――

種族:オークキング

HP:200 MP:60 腕力:150  体力:80 敏捷:21 知力:50 魔力:32 器用:17

スキル:戦鎚術Lv.4 瞬間再生Lv.5 危機察知Lv.3 物理攻撃耐性Lv.3 回復速度上昇Lv.1 眷属召喚Lv.1 威圧Lv.2 指揮Lv.1


 うわー、やっぱいたかボス的な奴。巣がデカかったのも頷ける。初めての戦闘なのに、運が悪いな。


「いくなの、マスター」

『おう』


 動きはそんなに速くない。だが、あの斧を一撃でも喰らったら、きっとお陀仏だろう。


『しっかり相手の攻撃を見るんだ』

「うん」

 

 とりあえず牽制として鎌鼬かまいたちを打つが瞬間再生によってすぐに治っていってる。なかなか厄介だな。

『シロナ、一撃必殺で決めるぞ』

「りょーかい」

 

 斧の横薙ぎ払いを飛んでかわし、俊足を発動してキングオークの懐へ入り

「"竜の鉤爪"」

 剣術スキルの中で一番攻撃力がある技だ。

オークの腹に三本の深い傷ができた。再生はされなかった。つまり……


「やったぁ」

『すごいぞ。初めてでここまでやるだなんて!』


 やはりうちの子は天才なのではなかろうか?


「マスターのおかげなの。マスターのスキルがなかったら倒せなかったの。もっと修行するの!」


 おまけに天狗にもならず、もっと精進しようとしている。大事だから2回言わせてください。


『うちの子は天才だと思う』

「ん……?」


とりあえず全て回収して、解析。よっしゃ新しいスキルがいっぱいだぜ。


***

 

 次の日も次の日も、俺たちは狩って狩って狩りまくった。

時にはキモい虫を、時にはオオカミの群れを、スライムに食べられそうになったこともあったな。

おかげで、スキルも増えステータスも上がった。

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