第2話 第一村人発見!

 ブォーーーーーーーーーー

 何の音かって?

 もちろん空を飛んでるのサ。


『アイ キャン フラーーイ!』


 あれから三日間。もちろん何もしていなかったわけではない。悩みに悩んだ結果。

『考えても戻れるわけじゃなくね?』 

 そう前向きに考えることにしたのだ! 

(決して現実逃避しているわけではないよ。うん。ホントダヨオレウソツカナイ。)


 それでとりあえずせっかくの異世界を満喫しようと思い、自分のスキルやらスキルやらをいろいろ試してみた結果わかったことがいくつかある。


 まず、念力だがこれは自分にも使えるらしい。俺が今飛んでるのもそのおかげだ。


 だが、スキルの使用には魔力を使うのでずっとは飛べない。ちなみに念力だと大体1秒間で減るから最大で5分ぐらいだな。

 一度魔力が0になってしまったことがあるが、謎の倦怠感のようなものが生まれてスキルが使えなくなってしまった。


 しばらく待つと魔力が回復していくのがわかる。大体30秒に1回復って感じかな。


 俺がいた研究所的な建物は外周20メートルぐらい。学校の教室ぐらいのサイズだった。

外から見てみるとやはり壁が崩れてボロボロになっていて、数十年たっているようだった。


『あれ? でも俺は傷一つないきれいな状態だったが?』


 まぁいい、とりあえず今は初めて研究所の近くから出て、空を飛びながら周辺の調査をしているところなんだが……


『人っ子一人いねぇ』

 そう、人どころか、生物一匹も見つかっていないのだ。おっと、そろそろ魔力が切れそうだし休むか。

生身で空を飛ぶっていうのはなかなか楽しいものだ。感覚がほとんどないので何も感じないが初めての体験をするのはいつもワクワクする。


カサッ


ん? 人影が洞窟に入っていくのが見えた気がする。


『まさかまさか。人がいるのか?』


 落ち着け落ち着け深呼吸だ。って呼吸できねぇよ! ただ接触するにしても慎重に行動しないとな。もしバレて捕まったりしたら、どうなるかたまったもんじゃない。だって俺スピリット・アーティファクトとかいう明らかにRPGの最後の方とかに出てくるような名前だし。いやこれで、ただの空飛ぶ便利なサイコロとかだったら俺を転生させたやつをとっ捕まえて、ミンチにしてやる。


 よしそれじゃあ魔力も溜まったことだし、行きますか。


 俺はゆっくりと転がるようにして、洞窟の中に入った。


「――――――」

「―――――」


 ここだと何を言っているのかわからないな。だが会話しているのか? 少なくとも二人以上はいるようだ。

 

もう少し進むと少しひらけた場所に出た。


 そこにいたのは

『でけぇ』


 そうファンタジー定番の敵キャラのオークだった。 


 マジか,期待して損した。やっと人に会えるかと思ったのに……。ほんと見事なフラグ回収だな。

とりあえず解析。


名称:――――

種族:アンダーリング・オーク

HP:75 MP:13 腕力:23 体力:13 敏捷:12 知力:12 魔力:28 器用:10

スキル:棒術Lv.3 建築Lv.2 採集Lv.2 解体Lv.1 料理Lv.2


名称:――――

種族:アンダーリング・オーク

HP:65 MP:13 腕力:29 体力:15 敏捷:12 知力:16 魔力:28 器用:13

スキル:棒術Lv.4 建築Lv.2 採集Lv.1 解体Lv.2 料理Lv.1


 どうやら、同じ種類によっても個体差が出るらしい。

こいつらどうしたものか。幸いまだ俺には気付いてないみたいだし。自分のスキルを試すためにも殺っちゃうか。

 

 本当は無駄な殺生はしたくないのだが、これからどんなことが起こるかわからない。自分のスキルやスキルをここで練習して戦闘にも慣れておくべきか。


『あれ? でも俺どうやって攻撃すればいいんだ?』


 急いで何かないかとスキルやスキルをあさっていると…… 


『形状変化? これで剣の形になれないのか』


 俺は頭の中にロングソードを思い浮かべながら、スキル"形状変化"を発動した。


 おお! やればできるもんだな。どんどん自分が変形していき、あっという間にロングソードになった。


『オラオラー』


 さらに念力を発動しオークの胸をめがけて加速する。

 

 グチャ


 生々しい肉を切る音がして一体目のオークは倒れた。


 二体目のオークが異変に気づき近寄ってくる。

『クックック。俺に気づいていないなんてなバカめ』


俺は回りながら、遠心力をのせて二体目のオークの心臓に飛び込んだ。


 シャキン ドサッ

 『ほら見てください、こんなに綺麗にスパッと綺麗に力入らず。こちらの商品なんと今だけ特別価格40000円

さらにオークの頭もおつけしちゃいます』


なんてバカなことやってるが、自分でも思ったより威力が高くて引いてしまった。


 まぁなにはともあれ、これで試せるぞ。

『収納』

 すると二つのオークの死体が光になり、それが俺の中へ吸収されていった。


 スキル"再現"が発動しました。

 スキル"自己進化"が発動しました。


名称:――――

装備者:なし

種族:スピリット・アーティファクト

攻撃力:49(剣状態 +42)

魔力:350

耐久力:170

称号:

スキル:念力Lv.2 形状変化Lv.2 収納 解析Lv.4 再現 自動修復 自己進化〈コア数:13〉 装備者ステータス上昇(小) 装備者自動回復(小) 装備者スキル共有 念話 アカシックレコード干渉権限Lv.3 棒術Lv.7 建築Lv.4 採集Lv.3 解体Lv.3 料理Lv.3


 よし。ちゃんとオークのスキルが手に入った。ステータスもだいぶ上がってるな。料理とか解体とか何に使うんだよって思うけどそれよりも、コア数ってなんだ?


コア数:相手のコアを吸収することができる。

    自己のスキルのレベルを上げたり、既存のスキルを新たなスキルへと進化させることができる。


よし探索に戻るか。


***


 あの後、何匹かオークが多く集まっている(ダジャレじゃないよ)洞窟を見つけ、殲滅したり

なんか高っぽいやつを串刺しにしたり、めっちゃキモいハエ的なやつに追いかけられたり、植物に擬態した敵に魔力吸われて死にかけたりしたが俺は元気だ。

 

 苦労した甲斐あってステータスは結構強くなった。


名称:――――

装備者:なし

種族:スピリット・アーティファクト

攻撃力:80(剣状態 +75)

魔力:600

耐久力:390

称号:オーク・スレイヤー 一級建築士

スキル:念力Lv.6 形状変化Lv.5  収納 解析Lv.7 再現 自動修復 自己進化〈コア数:42〉 装備者ステータス上昇(小) 装備者自動回復(小) 装備者スキル共有 念話 アカシックレコード干渉権限Lv.3 

棒術Lv.Max→棒聖術Lv.1 建築Lv.Max 採集Lv.7 解体Lv.8 料理Lv.7 火魔法Lv.2 剣術Lv.6 弓術Lv,5 ホークアイLv.2 夜目Lv.2 魔力自動回復(小)


 どうやら、スキルのレベルが上がる条件は

①スキルをたくさん使う

②同じスキルを手に入れる

ことらしい

 今回の1番の収穫はやはり、火魔法だろう。この世界にも魔法があったなんて、いやー見つけた時は二度見したね。

俺はこういうのを求めてたんだよ。この探索が終わって、あの研究所に戻ったら試してみるか! 実に楽しみだ。


 ちなみに火魔法や弓術や剣術はオークから手に入れた。同じオークという種類の中でも職業が決まってるらしい。


 

ていうかこんな人外魔境みたいなところに人はくるのだろうか。






 ここ数日間飛び回っていたおかげで大体の地形は理解できた。


 

 まず、研究所から東の方(この世界の太陽が昇る向きが東なのかは、わからないが)には大きな山脈がみえた。結構遠くからみたがエベレスト以上にありそうだ。いつか行ってみたい。

 西には大きな渓谷があった。底が見えなかったから結構な深さはあるだろう。一応念力で飛行しながら、行くこともできそうではあったが、魔力が足りるか心配だったため、行かなかった。

 南の方は森林地帯だな。オークが多く(ダジャレじゃないよ)生息しているから、俺の狩場となっている。


 そして今飛んでいるのが北側なんだがずっと平野が続いている。全く敵が出てこない。

流石にあいつらもこんな分かりやすい所に出て、他の敵にバレることを恐れているのか。


『っと奥の方に敵発見』


 狼だろうか。なんかでかいな。しかも何かを追っているようだ。ここからだと良く見えないな。


 さっき休憩したばかりだから、魔力は割とある。もっと多く魔力を"念力"に注げば速くなるか?


 俺はいつもより強く"念力"と念じてみた。すると


『力加減ミスったぁ、早すぎだって〜〜〜』


 保有魔力はどんどん減っていってるが、予想以上のスピードが出た。


 すぐに追いつき俺はオオカミが追っかけてるものを視界にとらえた。


 そうそれは少女だったのだ。ここに来て初の人間。少し感動してしまった。


 しかもその頭には……


『ケモミミだとっ』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る