いつの間にか、アーティファクトに転生していていました~ケモミミ少女と共にロストテクノロジーを求めて旅をする~
春夏秋冬
第1話 アーティファクトになってしまった
ここはどこなんだ?
まぶしい光に光に目を細めながら、あたりを見まわした。朝霧が立ち込める中、太陽が昇るとともにその美しさが際立つ。空はピンクやオレンジ色に染まり、まるで幻想的な世界にいるような気分になる。
反対側に目をやると、月が沈もうとしている。二つの月がゆっくりと沈む様子は、まるで別世界にいるかのような不思議な感覚を覚える。これほど圧倒される景色を見るのは初めてだ。ん? 月が二つある。
待て待て。一回状況整理をしよう。たしか俺は、VRゲームをしようとしてVRギアにセットして……。
おかしい、それ以降の記憶がない。思い出そうとすると頭痛がする。
『セットアップ完了』
『これよりOSを立ち上げます』
『
『うわっ! 喋った』
頭の中から声がする。まさかこいつ……直接脳に語りかけて……じゃねーよ。どこだここ?
『内部データ解析中……』
『プログラムの最適化を行います』
『これより、セーブモードに移行します――』
『ちょいちょい待って、ここはどこなんだ』
『ヘイ? ちょっと聞いてる?』
返事がない。人工音声のような声だった。うーーむ。俺疲れてるのかな? ゲームのUIもないし、こんなにリアルなわけない。
取り敢えず体を動かしてみる。
『体の感覚がおかしいな。手足の感覚がない。温度も感じない。目の感覚もない』
って、目の感覚ないのにどうやって見てるんだ。なぜか視点は360°動かすことができる。
恐る恐る自分の体を見てみる。
『……なんということでしょう。あんなにムキムキでナイスガイなイケメンだっだおれがサイコロに……』
そう白を基調とした、実に近未来なデザイン。一つずつの面の縁には水色のラインがあって、いいアクセントになっている。しかもロゴ? だろうか、ところどころに謎の文様があり、実に高級感がある。
そう俺の体は正二十面体のサイコロ的な奴になっていた。
これが自分の体であるとなぜか理解でき、不思議と落ち着いていた。
『まさか……転移か? いや、元の体がないから転生か』
俺は、謎の台のようのものに乗っていて、辺りは謎の機械に囲まれている。何かの研究所だったのだろうか? 植物が所々に根を張っており、人がいなくなって何年か経っているようだ。
異世界だよな。月が二つあるなんて、どうみても"地球"では考えれないことだ。
ラノベかよッッッ。てか普通転生するなら人間だよな。なんだよサイコロって! 見たことねぇよ。こんな転生の仕方してるやつ。
せめて、生物であってくれよ……まぁいい。喚いていても何も変わらない。
『転生といえば、チート能力がつきものだよな』
ないのか?なんかいい感じの。そうだなぁ、ステータス閲覧みたいな。そうだよな、やっぱりそんなご都合な展開なんてあるわけ……
『スキル〈解析〉を発動しますか』
おぉっ、さっきの声の人だ。さっきの声は幻聴ではなかったらしい。ていうかスキルがあるのか!
ということで"発動"と念じてみる。
表示されたのは自分のステータスのようだった。
名称:――――
装備者:なし
種族:スピリット・アーティファクト
攻撃力:5
魔力:300/300
耐久力:150/150
称号:
スキル:念力Lv.2 形状変化Lv.2
技能:収納 解析Lv.4 再現 自動修復 自己進化 装備者ステータス上昇(小) 装備者自動回復(小) 装備者スキル共有 念話 アカシックレコード干渉権限Lv.3
なんかいっぱいある。ステータスは……低いのか高いのかわからん。取り敢えず、スキルとか個別に詳細が見れそうだから見てみるか。
念力:ある程度距離が離れていても、その対象に力を加えることができる。
形状変化Lv.2:自分の形状を変えることができる。
収納:別空間に物質を収納できる。生きている物などは収納できない。
解析Lv.4:観測したものの情報を開示する。解析したいものを、収納することによって精度が上がる。
再現:解析した物のスキルを自分のものにすることができる。
自動修復:完全破壊されない限り、自身を修復し続ける。
自己進化:自分を進化させることができる。
装備者ステータス上昇(小):装備者のステータス全てを10上げることができる。
装備者スキル共有:装備者と自分のスキルを共有し、使えるようにする。
装備者自動回復(小):装備者のHP、MP、スタミナを回復速度を少しだけ上げることができる。
念話:指定した者と言語を超えて意思疎通ができる。
アカシックレコード干渉権限:世界の情報又は真理の一部を見ることができる。
どれも強そうだ明らかにただのサイコロじゃなさそうだ。実に中二心あふれる仕様だ。名称が不明なのはどうしてなんだ? スピリットアーティファクト?
まぁ、わからんからいいや。そのうちあの謎の声が教えてくれるだろ。
てか、俺まだ前世を謳歌しきってないんだよ。死・ん・で・な・い・の。わかる?
まあ不思議と未練のようなものはない。ないったらないのだ。唯一、あるとするならば、親にハードディスクの中身を見られてないかが心配だ。誰か風呂に沈めてくれてないかな。
まあ、転生は全然いいのだ。ただのモブオタだった、俺からすればむしろ憧れていたから、文句はない。ないのだが……
『それにしても……無生物って、ひどくない? ねぇ神様おれなんかした? 異世界に転生するならせめて生き物にしてくれよ』
いやだっていろんなところを旅行してみたいし、飯も食いたい、寝ることもできるか怪しいし、こんな体だと移動もままならないじゃん。
それに、彼女いない歴=年齢の俺からしたら……
『一生賢者確定じゃねぇかーーーーーーー』
『はぁ……』
やっぱり未練しかねぇ。戻れないかなぁ。
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