大気圏突入!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後

燃え尽きるハンパンツァを拡大投影しながら、バルフィンドは一人ごちる。


「俺への意趣返しだったのか?ユリ・・・ん?」


百合?


「名前が、思い出せん。・・・たしか、古の言葉で”おまえ”を指す単数形人称だった気がする・・・ゆあ、か?」


圧縮大気を重力機関のパワーサプライ系に脈動負荷を強制することで起こる高周波チャタリングを利用し弾け飛ばしつつ(めたくそ必死で名前を叫びながら情感シーンに参加するゆとりありませんでした感を演出描写すんのがめんどくてすいませんでした解説)、ザイオン機群より先行した位置で敵機ゾカより奪ったD型装備を展開したルフィは、目前に敵の総数を捕えながらリーゼの手の中にあるガンを撫でていた。


「カイリーの離脱は確認したが・・・なんにせよ、半分は残っちまったな」


バルフィンドの頭には、既にユウは欠片も残っていなかった。






バラバラに砕けながらはるか後方へと流れ去ってゆく巨大なリーゼを目にし、ナミエは漏らす。


「・・・あれ?あのロボ・・・おっきな逆ハリネズミみたいな戦闘機てユウ乗ってるやつじゃないの?」


ナミエは命の入荷状況を確認する。


来てないな・・・


「太陽の系にある限り、あたしの魔・・・神性から逃れるなんて出来ないハズだけど」


振り返る様に昏い宙を見る。が、既に眼下の地表より明るい青へと変わっていた。



「ユウ、あんた・・・何をする気なの?」



高校へと進学後に知り合ってから一年と半年、ナミエは友人に初めて未知の不気味さを感じていた。



その頃、ソクブランも無事に大気圏へと突入していた。


「最後のコクピットシェル、無事に回収しました」


キャプテンシートでバリドロムが頷く。


「うむ。かなり拾えたな」


「艦長、督戦科からです。敵捕虜の数ですが」


セリアから既に艦の乗務員数に数倍する数が告げられる。


「ああ・・・とりあえずB区画へ・・・既に移送済みか」


切り離し可能な汎用区画へと三人を1単位として小分けに収容してるという報告だった。


「G区画、ドライバ全ての通信手段を物理(斧感)隔離。電磁気、エア、ガス他全ての分子構造物より絶縁完了しました」


「うむ。通信・・・交渉手段が問題だが」


生身の人間を送るしかない。

しかも入出の度にかなりキツい三重の検疫を受けさせねば。



セリアが立ち上がる。


「艦長、私に任じて頂けませんか」


「・・・美しい女性には酷な任だぞ」


「かまいません。この身を鬻ぐことで僅かでも艦長のお役に立てるなら」


バリドロムの目の光は全力でワシ個人に鬻いで欲しいと願っていたが、年齢による諦観なのか、開いた口は個人総資産の主張ではなく依頼の念押しを告げるのみであった。


一報、セリアは性的には眼中にないとは言え、戦隊の最高権限者に”美しい”など言われて照れたノリで雑なコトバを紡いでしまったことを後悔しつつ、艦長と自分の言葉を反芻するうちに彼が警告した情事他の凄惨さを想像するに至り慄然、全身の体毛を逆立て震えながらブリッジを出、砕けるヒザを叩き叩き督戦部へと出頭するのだった・・・・・



「で、でかい・・・どこまでも・・・これが大地かよ」


降下中は青と白の斑、ただの背景にすぎなかった大地。


呟く兵士は、眼下に巨大な質量を持つ物体として迫ってくる地上に圧倒されていた。


人間、いや、生命など歯牙にもかけぬと太陽を公転する惑星たち。

そのうちの一つ、自分たちのルーツをもつ大地へと彼らは到達した。


そんなザイオン兵士達を待ち受けるように、碧く深いジャングルより次々と発射発進されてゆく膨大な戦闘機群。


広大な暗黒の宇宙空間を住みかとする彼らは大気の海の底で溺れることなく本分を果たせるのだろうか。




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この作品のヒロインとして配置したハズのキャラをすっかり忘れてたのでちょいちょいと稼働させていきます。クールなうっかり美女として多角的需要をもつ高品質IPとして大事に育ててゆきたいなあとおもいましたまる

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