天☆才
うつらうつら、とひとしきり男の後酔いに耽ると、醒める間を繋ぐように給仕されたケーキセットを紅茶・・・
「コーヒーにして。深煎り・・・やっぱエスプレッソ茶碗でちょーだい」
喉を焼くほどに苦い液体でアプリコットのタルトを頂く。
僅かずつ流れ出るモノでシーツを汚しながら(塞げ)、あと一人食えば妊娠できるかもしれない・・・という予感をなんとなく覚えた。
新しく用意されたものから白い
「ブラ入り?・・・まぁいいや」
重力機関だの人型宇宙戦闘機だのと一緒にグラビゼーションによるブラフリーが実現されてはや数年、なんでこんなレトロなモン・・・あ、ちくび対策か。
気付けばおb・・・お姉さま方が整列していた。
「メイクはいかがなさいますか」
こちらが視線をむけたタイミングで申し出てくる。
うーん、いらな・・・あ、サンダルか。
「爪だけお願い」
四人が進み出、あたしの両手両足夫々へ侍り寄り数十秒で作業を終え離れる。
ターコイズに薄いラメか。
ピンクにして欲しかっ・・・あ、マジョーラだ。
ラメの七色の反射が美しいグラデーションを作る・・・キレイじゃんコレ。
「ありがとう」
慇懃に黙礼するのみのお姉さま方を後に部屋を出る。
みんな白人だった・・・気おくれするやろ!
地上に出ようとエントランスに降りたあたりでポーチを部屋に忘れたことに気づく。
部屋戻ったら黄猿のツメ磨かされてご機嫌斜めなお姉さま方の差別感情大噴射罵倒謝肉祭に突入するような気がしてうじうじとイジケながらそのまま外に出てしまう。
支配人がスッと寄り、部屋に忘れたハズのフリフリファンシーポーチを差し出してきた。
「あ、ありがと」
なんかいいニオイがついてる。
「パフューマが、シャワー後に・・・と」
小指の先ほどの使い切りスプレーを一緒に渡される。
男の匂いついたままだった・・・あ、ポーチの香りはその為につけてくれたんだ。
「フフ、黄猿の小娘が!なんて笑ってなくて?」
「御身を前に、私共にそのような余裕はありません」
ひー、いきなり偉い人になった気分!
でもうさんくさ・・・
「ふーん・・・じゃあお弁当くれつったらすぐ出してくれる?」
じゃあ、は一体何に掛かってんねん・・・とブスムーブでイジワルしてしまう。
「どうぞこちらを」
麻(風)の肩掛けトートが差し出される。
「マジかよ・・・ありがと。行くね」
うーん、彫りの深い人種に傅かれるとめたくそ気分いい!
中身確認したら貧乏くさいかなとそのまま離れる。
大通りからワキ路地に入りいくつか角を曲がった後、トートの中身を見る。
ササの葉?に包まれた・・・おにぎり?に、竹の水筒。
そしてコレはあの天にも等しい大聖者が好んだと言われる伝説の果実・・・
「・・・バナナか!」
白人・・・たかが女子高生への悪戯にどんだけ金(バナナ一本二兆円くらいの価値)と命(バナナ一本三族皆殺し以上の重罪。採取に至った因子を心理・行動・来歴に社会背景も含め徹底的に洗われる)かけんのよ!嘲る系差別ユーモアに全振りすんな!!
繊細なのか大胆なのか、嘲弄なのか微妙な応援なのかわかんないバナナをもぐりながら街をフラつく。
こんなヘロッとしたワンピ一枚とサンダル生足で歩いてんのにナンパも拉致もレイプも無い。
「つまんなー・・・ん?」
裏路地をイライラと歩き回っていると、ゴミの山・・・膝位の高さだけど・・・に阻まれた。
飲料食品などのゴミがほとんどだ。
上から落ちてきたのか、と見上げると丁度良く古い建物の真ん中・・・五階ほどにある窓からゴミが放り出された。
舌打ちし、跳ぶ。
反対の建物の壁を蹴り、窓へ取り付き中を覗く。
「外に捨てんな。食うよ?!」
真昼にあって暗い部屋の中、此方に背を向けてエアコムのお化けに包まれてる太ったおっさん(仮)に言い放つと、めたくそ素早くコチラを向いた。
「なっ、・・・窓から女の子が?!」
「なんつー
マジ臭い。
なんなんコレ・・・水たまりで死んでたネズミとか、生乾きの・・・
「あ、すんません・・・俺、脚が腐ってるんで」
「うー、土足でも入りたくない・・・うわ、足元ぶにょってる」
辛うじて見えている敷布団の馴れ果てのような空間へ足を下ろす。
高下駄っぽいサンダルだけど、湿った感触と共にほぼ埋まってしまった。
・・・ん?脚がなんだって?
「えー!あんたの脚の匂いなの?!この生乾きになったマン・・・ドブみたいな刺さる臭気は!」
男の脚は半分以上膨れたハラに埋まって見えないが、ひざ下は黒ずみ滲出した腐肉汁でてらてらと光っていた。
「・・・帰ろ」
窓に手をかけ足を上げようとすると、男が突然土下座した。
「お願いです!僕とセックスしてください!」
「はぁあああ!?嫌よバカお断りよ!つか殺すよ?!?!」
聖人繋がりで膿で膨れ上がった疱瘡を口吸いで洗浄する伝説を連想したけど窓からゴミ捨て奴にンなコトする義理なんざねーですわ。
「お願いです!僕はもう死ぬけど未だ童貞なんです・・・せめて、死ぬ前にせめて!一度だけ、ほんの一度だけあなたのような美少女とまぐわいたい・・・お願いです!」
徹頭徹尾おまえの都合だけじゃん!・・・と思いつつ、ブヨブヨした男の縋るようなまなざしに窓に掛けた右手から力が抜ける・・・美少女・・・童貞か・・・でもこんな実際的に腐ってる男と汚部屋で寝れる?御免だろ!
もう殺そう、と振り上げたコブシが光と共に現れた骨ばった大きい男の手で優しく包まれる。
思わず向く。
そこには光に包まれたアフロが立っていた。
彼は目を閉じ、首を数回ゆっくりと振る。
そしてゆっくりと汚部屋を主を指さしてあたしを向き、やさしく笑った。
「アフロ・・・あなた」
光に包まれたアフロは笑んだままゆっくりと頷くと、眩げに目を細めた。
「さっさと成仏しろよこのタマ無し野郎がッ!!!」
あたしは既に空になってたトートバックでアフロの幻影をおもっくそ掃き散らかした。
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主人公が逃れえぬ苦境に陥った時さっそうと顕れる過去に散った親友達!
この演出をやりたいがためにアフロを退場させました!!めたくそ泣ける!!!ダバーーーーーー!!!!!!!!!!
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