みそ汁(六)
パート上がりの母ちゃんが屋根裏部屋に入ってきた。
母ちゃんはしばらく、水槽を注視したあと、「どうしたの、タカル?」とおじちゃんに声をかけた。声をかけられても、おじちゃんはぴくりとも動かなかった。でも、母ちゃんに向かって、なにか話しているようだった。母ちゃんは、ときおり、うなづきながら、おじちゃんに話しかけていた。
「それでいいのね? じゃあ、母さんに伝えておくわ。母さんにも、パソコンとスマホのパスワードを教えていないらしいけど、そのまま、処分してもいいのね。……そう、なら、そうするわ」
姉弟の会話を中断させて、私は泣きながら、「おじちゃん、もっと、つまらない話や訳の分からない話を聞かせてよ!」と訴えた。それに対して、おじちゃんは、最後の力を振り絞って、右の鋏を上にあげた。
翌日の朝、バアバが水槽を確かめると、おじちゃんは水に浮いていた。
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