布テープ・ガール(二)

 makeはつくる、化粧は化ける、イチカ、おまえもそろそろ、お化粧をする年頃だな、とおじちゃんがしみじみと言った。

 「まだ、早いわよ」と私が答えると、でも、マニキュアくらいは塗ってるんじゃないのかい、友達とかさと、おじちゃんが質問をしてきた。

「さあ、どうかしらね、友達の指なんてみたことないわ」

 むかし、おいちゃん、指のささくれがひどくて、同僚から透明なマニキュアを塗ったらどうかと言われて、試したことがあるんだ、その残りがあるから、試しに塗ってみたらどうだいと、ザリガニが勧めてきた。私はまだ、そういうことに興味がなかったし、おじちゃんの残りを使うのにも抵抗があったので、「また今度ね」とやんわりと断った。

 それに対して、おじちゃんは、まあ、いいやと言ったのち、イチカ、となりの倉庫から、キテレツ大百科スーパーベストを持って来てくれ、メリーはただのともだちが聴きたくなったと言ってきたので、私は「はいはい」と言いながら、机の右横にある、狭い入り口から倉庫の中にもぐりこんだ。

 倉庫の中は薄暗く、部屋の右側におじちゃんの荷物、左側に私や母ちゃんの荷物が置かれていた。私の荷物は、私が子供の頃につくった工作や何やらで、捨てられずに、段積みされた収納ケースに保管されていた。

 倉庫の左の壁に並べられているカラーボックスから、私はキテレツのCDを探した。

 おじちゃんのせいで、古い曲ばかり聴く日々である。まあ、嫌じゃないけど。

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