第6話 ケリ
もう、すっと砂が手のひらから、落ちていく。
そろそろ、君とのケリを付けるころなんだろう。探してた歌が手に入った。
君も、そろそろ、予想してたころだ。
もう、街を歩いていても、君の姿を探したりしない。歌を歌うときも、君に歌うのは、多分、そう。サヨナラの歌だろう。
こんな、手紙を書いちゃったら、ひょっとして、完全に終わってしまうかもしれない。ちょっと、勇気の必要なことだ。
でも、苦しくて、苦しくてたまらない。一人で、考えること。君の顔を思い出すこと。離れてる君のことを心配すること......。
すべてが虚しすぎる。
君のためになんて、生きてかない。もう、まっぴらだ。
君のことばがわからない。想像して、点と点を結んで、探しあてようとしたが、見つからないんだ。
目に見えないものを探すのなんて、少年のすること。
そろそろ、見つからないものは、見つからない、とケリをつけるころ。
君が再び、目に見えることばを与えてくれるまで、もう、探さない。
君のことは、もう探さない。
嘘をつくだなんて、自分がそのひとより、優位な立場にいるときだけ。
Party is over.そう言って、ぼくは、静かに玄関のドアに鍵をかける。
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