第12話 怪盗バルムント

 大商会の会長ムドアの屋敷内には多くの傭兵たちが巡回しているが、幾つか立ち入りを禁止されている場所がある。商会長やその家族、従者などの寝室もその一つだ。


(……成程。彼らの部屋から侵入して、俺たちを襲うつもりだな)


 壁をすり抜けられる賊は音も立てず容易に彼らの部屋へと浸入する。寝入っている者たちはそれに全く気付けない。外の廊下で見張っている傭兵たちも同様だろう。ドア越しであそこまで巧妙に気配を消されては、仮に僅かな闘気に気が付けたとしても住人たちとの判別は困難だ。


(だけど、最初から外側で見てれば丸わかりなんだよなぁ)


 まさか賊も敷地の外からずっと見られているとは思うまい。


(さて、ステアたちが襲われる前にそろそろ倒してしまうか……ん?)


 そういえば館内で賊を倒すと騒ぎになるので、わざわざ外に出ていた事を今更ながらに思い出す。急いで賊の下へ向かおうとするも、奴は奇妙な行動に打って出た。メイドの寝室に侵入すると何故か箪笥を漁り出したのだ。


(おいおい、あいつパンツ盗んでいるぞ)


 まさかの下着ドロボーである。数枚ほど盗んで満足したのか、今度は二階奥の方へ壁を抜けて進んで行く。そっちには確か金庫部屋があった筈だが……


 そこまできて、俺は自分が思い違いをしている事に気が付いた。


(あ、こいつ怪盗の方だ!)


 俺やステアを狙った賊ではなく、まさかの大本命が来てしまったのだ。成程、壁抜けできるのなら怪盗を名乗るのも納得だ。


 だがネタが割れればいくらでも対処可能だろう。折角なので俺はもう少し奴を泳がせておいた。


 金庫部屋には窓が一切なく、隣の部屋は会長の部屋しか存在しない。つまり強固な入り口の扉だけを集中して見張っていれば盗まれる道理もないだろう。きっと傭兵たちはそう考えてドアの前で見張り続けているのだ。


 だが既に怪盗はその金庫部屋へと浸入してしまった。金庫部屋には窓が一切無いので俺もこの先は中の様子を伺い知ることは出来ないが、僅かな闘気だけは辛うじて捕捉し続けている状況だ。


 果たして鉄級の傭兵団にこれが気付けるか……


(さて、奴が出て来るとしたら……こっち側かな?)


 相手が壁抜けできると知っていれば逃走ルートも容易に想像できる。きっと奴は建物が多いルートを選ぶだろう。万が一傭兵たちに追われても、怪盗の方は壁抜けで一直線に逃げられるからだ。


 俺は先回りして、建物の密集地帯近くで気配を殺しながら様子を伺った。



 そして数十分後、予想通り怪盗はこっちの方へと移動を開始した。館の方はまだ騒ぎになっていない。どうやら傭兵たちは怪盗に全く気が付いていないようだ。


 怪盗は住宅街の壁を何度もすり抜けて広場へとやってきた。そのタイミングで俺も姿を現す。


「よう、怪盗バルムント! お宝は盗めたか?」

「なっ!?」


 まさか見つかるとは思いもしなかったのだろう。まんまと安易なルートを選んでくれたものだ。


「大人しくお縄につけ。お前には生死問わずの捕縛依頼がかけられている!」

「くっ! お前は……ケルニクスだな!!」

「え? 俺の事知ってるの!?」


 何故怪盗が俺の名を知っているのだろうか?


「調べたからな! 共和国の英雄、白獅子ヴァン・モルゲンを卑怯な騙し討ちで暗殺した少年奴隷兵、”双鬼”ケルニクス! お前の所為で危うく今回の計画が台無しになるところだったんだぞ!!」

「え? えーと……なんで?」


 謂れの無い非難を浴びた俺は思わず怪盗に問い質した。


「お前の首を狙った賞金稼ぎが、ずうううっと館を見張ってたんだよ! お陰で俺はオチオチ盗み入ることもできやしねえ!!」

「えぇ……」


 どうやら昨日の賊も館の外でずっと俺たちを見張っていたようだ。それを事前に察知した怪盗は今まで手を出せずにいた、という裏話らしい。


「ようやくその邪魔者もいなくなった! おまけに夜間もクソ真面目に外の巡回していた四人組傭兵団の姿も消えた! だから今日が絶好のチャンスだと思って忍び込んだというのにぃ!!」


 うん、その四人組の傭兵団にも覚えがある。俺が適当言って唆した“暁の勇ある戦士団”のことだろう。きっと今頃彼らは俺の説得? で今夜は先輩たちに警護を任せてぐっすり眠っているに違いない。


 彼らには大変気の毒な事をしてしまった。


「お、俺は悪くないだろ!? 寧ろお前をサポートしてやってる側じゃねえか!」

「うるせえ!! テメエなんかに捕まって堪るかぁ!!」


 そう告げた怪盗は懐から何かを取り出すと、それを地面に叩きつけた。直後、辺り一面煙で視界を遮られた。


「煙幕か!? また古風な真似を……!」

「あばよ!!」


 白煙に乗じて逃げるつもりだろう。だが、そうはいくか!


「闘気が漏れてるぞ!」

「なにっ!?」


 逃げる怪盗の方角を俺は正確に掴んでいた。それに建物のある方に逃げる事は想定済みなので、気配が無くても容易に先回りして道を塞ぐ事ができた。


「観念しろ!」

「くっ、誰が……!」


 男は直ぐに別の方向へ切り替えて全力で走り出す。そっちは建物も全くない岩山の方角だ。そちらへ逃げてくれるのなら問題ない。こちらも追いかけやすくなる。


 そう思ったのだが、なかなか怪盗に追いつけないでいた。


(思ったより足が速い。それにこいつ、かなりの闘気使いだ!)


 隠れる事を諦めた怪盗は闘気を一気に高め、脚力を強化して更にギアを上げた。俺も闘気を使って奴の後を追う。


「くそっ! これならどうだ!」


 怪盗は再び何かを取り出すと、今度は俺に向けて投げつけた。それを思わず剣で斬り落とすと――――


「ぐぁっ!?」


 ――――突如雷光がほとばしり、全身が痺れてしまった。


「へへ、そいつは電撃玉さ! そのまま眠ってろ!」


 どうやら雷の神術が籠められた使い捨ての魔道具だったようだ。似たようなモノを帝国軍も保有していたな。


(かなり高価な物だろうに……あの野郎、だいぶ盗みで儲けてやがるな!!)


 妬ましさもあり、俺の怒りは更に増した。電撃とは言っても俺の闘気でほとんど抵抗レジストできたので、ちょっとビリビリしただけだ。イージー、イージー!


 スピードを緩めずそのまま怪盗を追い続ける。


「嘘だろ!? あれ喰らって追って来れるのかよ!?」

「もう怒ったぞ! 足の一本でも貰うからな!」


 俺は走りながら右の剣に闘気を籠め、風斬かざきりを発動させる。


「うわっと!?」

「なにぃ!?」


 だが今度は俺が驚いた番だ。怪盗が後ろから放った風斬りを回避したのだ。かなりの速度で放った筈で、まさか避けられるとは思いもしなかったのだ。


「い、今のは一体何だ!? すっごく恐ろしい何かが……!」


 怪盗も風斬りの原理までは理解していないようだが、直感でも働いたのか本能的に回避したみたいだ。


 それにしても、コソ泥にしてはかなり優秀な闘気使いだ。


「面白い! 今度は避けられるかな?」

「うわぁ! 助けてぇえええ!!」



 俺と怪盗の鬼ごっこは一時間くらい続いた。




「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

「はぁ、はぁ……ようやく……追い詰めたぞ!」


 怪盗を岩場の袋小路に追い詰めた。さすがに岩山まではすり抜けできないのか、奴はこれ以上逃げようとはしない。地面でも何でも透過できる能力ならお手上げだったが、どうやら幸運の女神は俺へと微笑んだみたいだ。


「た、頼む! 見逃してくれ!! 金なら半分渡す!」

「え? マジで!?」

「へ?」


 まさか俺が金であっさり釣られると思わなかったのか、怪盗が間抜けな声を出す。


「あ、いや……今の無し! 俺が金に釣られると思うなよ!」

「ええ…………」


 慌てて取り繕ってみたが、怪盗は胡散臭そうな顔をしていた。


「こ、この盗んだ金は貧しい孤児たちに寄付してるんだ! そりゃあ、俺もちょっとは頂いてるが、贅沢な生活はしてねえ! 俺は決して邪な思いで盗賊家業をしているわけじゃあねえんだ!」

「……じゃあパンツは?」

「ムラムラして盗みました、ごめんなさい」


 怪盗は綺麗な土下座で素直に謝った。


「俺に謝られてもなぁ。それにお前を捕まえるのが仕事なんだよ」


 どこか憎めない奴だが、見逃す選択肢だけはあり得ない。それにこいつを突き出せばボーナス確定だ。


(うん、絶対見逃せないな)


「あ、あの商人はとんでもない極悪人なんだ! そうでなければ俺もターゲットには選ばねえ!」

「……具体的には? どう悪人なんだ?」

「あいつは違法奴隷を扱っている! これが証拠だ!」


 男はさっき盗んできたのか、隷属の首輪を二つ投げて寄こした。地面に捨て置かれた首輪を俺はじっくりと観察する。


「……確かに、この首輪にはどこの国の許可印も無いな」


 隷属の首輪には国や公的機関の許可印が何処かに必ず刻まれていなければならない。国際法でもそう定められている。それが全く無いこいつは明らかに違法な奴隷拘束具だ。しかもかなり強力そうだ。


 その筋に詳しい一級奴隷士の俺が言うのだから間違いはない。


「あの男は女児を攫って奴隷にし、楽しんだ後に売り飛ばす最低の屑野郎だ! だから俺はあいつから金を盗もうとしたんだ!」


 どうしよう、かなりこの男に肩入れしたくなってきた。


(違法奴隷商人、許すまじ……!)


「……他にも証拠はあるのか?」

「今は俺の対策で証拠隠滅のつもりか、ムドアの野郎は手持ちの奴隷全てを手放している。だが、あの屋敷の地下には奴隷の監禁部屋がある。そこになら物証も沢山残っている筈だ!」


 俺たち傭兵はムドアたちの私室の他に、地下室にも行くなと厳命されていた。これはまさか……マジ話か?


 俺は暫く考え込んでから口を開いた。


「……お前、えーとバルムントと言ったか?」

「……その名は偽名だ。俺はシュオウだ」

「そうか、シュオウ。お前に一つ、提案がある」


 俺は怪盗バルムント改め、シュオウにある提案を持ち掛けた。








「怪盗バルムントを捕らえたというのは本当か!?」


 俺は縄で縛ったシュオウを依頼主であるムドア会長に突き出した。


「ええ、貴方の金庫部屋に保管してあった金や物品も既に盗まれていますよ」

「な、なんだとぉ!?」


 慌ててムドア会長は金庫部屋の中を確認した。


 中には貴重な品々が数多くあり、さすがに全てをすぐには確認しきれないようだ。それでも幾つか品物が無い事が分かり、ムドアはシュオウこそ怪盗バルムントであると信じた。


「確かに……このコインに皿も私の持ち物だな。君ぃ! よくやってくれたよ!」

「いえ、礼には及びませんよ……じゃなかった。ボーナスさえ貰えれば問題ないですよ」

「うむうむ。勿論報酬は支払おう! いやぁ、なかなか見どころのある若者だな!」


 違法奴隷で儲けているだけあって、ムドアの金払いは随分と良さそうだ。


「ただ、ちょっと問題がありまして……」

「ん? 何が問題だというのだね?」

「ここではちょっと……」


 怪盗を一目見ようと傭兵たちが集まり出してきたので、俺は人目をはばかってムドアと一緒に近くの部屋に入った。そこで改めて話の続きをした。


「実はこいつも盗まれていたようですが……」


 俺はそう告げると奴隷の首輪をひとつ・・・差し出した。


「こ、これは……!?」

「それ、どこの刻印もないですよね?」

「き、貴様……! そうか、知ってしまったか……」


 さっきまでの人の良さそうな表情とは打って変わり、ムドアは冷たい視線で俺と拘束されているシュオウを睨みつけた。これがムドアの本性という訳か。


「不可抗力ですよ。俺も見たくて見た訳じゃあない。そこでご提案なんですが……この男の処分、如何なさいます?」

「……どういう意味だ?」


 ムドアは俺の事を疑るような目で観察していた。


「確か怪盗バルムントの捕獲は生死問わず、でしたよね? 殺しても構わない訳ですが……それなら最初から首を取って来いと依頼する筈です」

「……何が言いたい?」

「ムドアさんはもしかして、なるべく生かして捕まえるよう、被害者の貴族たちに催促されていたんじゃありませんか?」

「――っ!」


 怪盗バルムントは恐れ多くも貴族たちにも手を出し続けていた大盗賊だ。プライドの高い貴族たちがこの男をただ殺すだけで満足するとは考えられない。故に生け捕りも視野に入れての依頼なのだろうと俺は最初からそう思っていたのだ。


 俺を奴隷に落としてくれた貴族も、元ご主人のブタ野郎も似たような思考の持ち主であった。俺をさっさと殺さず、長い間苦しめようと働きかけていたのだ。


(どうもこの手の悪党というのは、弱者を弄ぶのが好きなようだからな……)


 俺のその読みはどうやら当たっていたらしい。


「そ、その通りだ。だが……!」

「そう、そのまま貴族たちに怪盗を差し出せば、貴方が違法奴隷に手を染めている事実がこの男の口から露見しかねない。だからそこで提案です。こいつを奴隷にしませんか?」

「な、なに? いや、そうか……っ!」


 ムドアは気が付いたようだ。この男を奴隷にして、自分の事を他人に漏らさないよう条件に盛り込めばいい。その後で貴族たちに差し出せば全てが丸く収まるのだ。


 見たところ、この隷属の首輪は奴隷の言動すらも縛れるくらいに強力な高級品だ。ただし、完全に違法品ではあるのだが……


「私には口止め料として、ほんの少しだけ報酬を上乗せして頂ければ幸いです。如何でしょう?」

「……ふふ、ふはは! 君ぃ、気に入ったぞ! お主も悪よのぉ」

「いえいえ、会長様ほどではありませんよ」


(うわぁ……マジであるんだな、この様式美……)



 ムドアは急いで奴隷契約書を作成し、シュオウの首に隷属の首輪を嵌めた。



 内容は以下の通りだ。


 一つ、奴隷は主人の情報を絶対に漏らしてはならない


 一つ、奴隷は主人の許可なく逃走してはならない


 一つ、奴隷は主人に危害を加えてはならない


 一つ、奴隷は20年の刑期を終えるか、全ての被害者に許しを貰えれば、奴隷身分から解放される



 以上の内容だ。


 さすがの奴隷も無制限に命令できるほど便利なモノではない。盗みを働いた罪では精々このくらいの縛りが限度らしいのだ。だがどうせ貴族たちはシュオウを許すつもりも無く、彼は散々嬲られたあと、連中の手によって処刑される運命だ。ムドアの秘密もそのまま彼と一緒に闇へと葬られる訳だ。


(んー、多分俺の方にも口封じの暗殺者とか送ってきそうだよなぁ)


 それならそれで返り討ちにするだけだ。




 俺はムドアと別れて部屋を出た。


 退出する前、ムドアは「私の専属傭兵にならないか?」としつこく勧誘してきたが、俺はそれを丁重にお断りした。断った時の奴の表情から察するに、間違いなく口封じの刺客を放ってくるだろう。


 だが、それはこちらも同じこと。


(どうせ貴様は絶誅ゼッチューコース確定だ! せいぜい最後の一日を楽しむんだな)


 ムドアにはあとで絶対に天誅を下す。ただしその役目は俺じゃあない。


 もう二度と会わないであろう男に背を向け、俺はステアたちの下へと戻った。








 無事依頼の報酬を色付きボーナス込みで受け取り、俺たちは意気揚々とこの町を去った。


「本当に楽な依頼だったな」


 エータが呆れたように呟いた。


 彼女らは今回、ほとんど食って寝ての日々を過ごしていただけだ。護衛の警戒ですら他の傭兵たちに分担してもらえたので、エータも随分と身体を休められたようだ。


「ええ、怪盗も捕まえてボーナスも貰えましたし、ケルニクスに感謝ですわ!」

「ケルニクス、グッジョブ!」

「それほどでもありますね!」


 馬車はそのまま北の検問を超え、無事にホルト王国へと入った。俺の提案でちょっと早いが今日は国境近くの町で一泊することになった。




 その日の深夜


 俺は彼女らに一言告げ、町の外に出た。


 人目の付かない場所でひたすら人を待つ。やがて目当ての人物が息を切らせながらやってきた。


「はぁ、はぁ……ちょっとヘビー過ぎやしないか?」

「わざわざ近くの町で待ってやったんだ。闘気使いなら走ればすぐの距離だろ?」


 現れたのは怪盗バルムント……シュオウであった。


「それで、約束は?」

「果たしていなきゃあ、俺はここには来られないだろう? ムドアはきちんと始末したさ、ご主人様」

「よし、上出来だ!」


 何故、奴隷に落ちた筈の男がここにいて、主人である筈のムドアを殺せたのか、仕掛けは実に簡単であった。


 シュオウは確かに奴隷となった。ただし、ムドアの前に既に俺の奴隷となっていたのだ。




 俺は誰よりも奴隷に詳しいと自負している。


 闘技場時代、奴隷剣闘士の先輩と仲良くなった。そのパイセンは脚に隷属の首輪を嵌めていたので、気になった俺はその理由を尋ねたのだ。


「ああ、これか? 俺の首が太いからって脚に嵌めやがったんだ。そういやぁ知ってるか? 首輪は二つ目を嵌めても無効なんだぜ? 前に別のご主人様が間違えてなぁ。二つ目の首輪を腕に付けたんだが、一つ目を脚に付けていたのを見落としてて、それでなぁ…………」




 首が太い先輩曰く、首輪は原則一人一つまで。二つ目を装着して契約を結んでも、いかにも契約したかのような光り輝く演出はあるが、契約内容は最初の首輪が優先されるという……まぁ、ちょっとした小ネタだ。


 俺は今回その法則を利用させて貰った。


 俺は既にシュオウの服の下、足に首輪を付けて奴隷にしていたのだ。服の裾で隠していたのでムドアは気が付けないでいた。これが一流の奴隷商人であれば、まずは全裸にひん剥いて必ず全身をチェックする。それを怠った結果が奴を死へと招いたのだ。


 ムドアも急いでシュオウの口を塞ぎたかったのか慌てていたのだろう。そこら辺は少し賭けだったが俺たちは見事奴を騙す事に成功した。



 実際にシュオウに掛けられていた契約内容は以下の通りである。


 一つ、奴隷はムドアを殺害後なら町を自由に出ても良い


 一つ、奴隷は盗んだパンツを洗濯して返すこと


 一つ、奴隷は主人の課されたステアの護衛依頼に協力すること


 上記三つの依頼が達成されるか、5年の刑期で奴隷身分から解放される



「三つ目の条件以外は全て達成してきた」

「え? マジで洗って返したの!? むしろ、もう要らないじゃないのかなぁ」

「テメエが条件に出したんだろうが!!」



 そんなわけで下着ドロボーが仲間に加わった。

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