第49話 最終結果
いよいよ総選挙の最終結果発表が始まった。メンバーたちはステージから離れたひな壇に全員座っている。中継に映るKIPメンバーたちは緊張しているように見えた。
32位から発表が始まる。まずは25位までの4th選抜だ。早速、KIPメンバーが呼ばれた。
『30位 KIP 浅田えり!』
2期生の選抜メンバーがランクインだ。速報にも25位に入っていたが最終結果もやはり入ってきていた。こうなったら、糸島ルカもランクインするしかない。
そして、すぐに次のKIPメンバーが呼ばれる。
『27位 KIP 島田美玲!』
2期生現センターもランクイン。速報21位で最終結果も見事にランクインだ。
「2期生二人入ったね」
吉川が心配そうに言う。
「ああ。だが、ルカっちはまだ上に居る。大丈夫だ」
俺は不安を隠しながらそういった。
ステージでは2期生の喜びのインタビューが始まった。続いて24位から17位までの3rd選抜の発表が始まった。
だが、20位になっても糸島ルカの名は呼ばれない。
速報12位で、最終結果は相当落としているはず。
「そろそろ呼ばれないとまずい」
俺がそういったときだった。
『18位 KIP 糸島ルカ!』
「よっしゃー!」俺たちの歓声が響いた。ついにルカっちはランクインを果たした。しかも、二期生2人よりも上だ。センター奪回の条件は整ったと言える。
画面では糸島ルカが深々とお辞儀をしていた。そして、スピーチが始まる。
『KIPのルカっちこと糸島ルカです。応援してくださったみなさん、本当にありがとう! ハッピーだよ!』
糸島ルカは深々とおじぎをした。
会場のファンから「ルカっちー!」の声が飛ぶ。
『去年はランクインできなくて、そんな自分に悔しくて……。だから、18位なんて夢みたい。すごい。すごすぎるよ、みんな!』
糸島ルカの目には涙があった。
『でもね、自分はこの順位に追いつけてないなって思ってる。歌もダンスも未熟だし……。他のメンバーに勝っているところもない。でも、一つだけ自信があるところがあるよ。それは、上手じゃなくても私らしく全力でやること。みんなには、この全力が届いたかな』
いつも全力のルカっち。だから俺たちの胸に響いてるんだな。
『これから、もっともっと練習して、実力をつける!。そうしたら、次は……選抜を目指したい! だから、みんな、ついてきてください。今日は本当にありがとう!』
俺と吉川は涙ぐんでいた。
「やったな……」
「うん。ルカっち、選抜、目指すって」
「ああ。次は大変だな」
「うん、頑張ろう」
俺と吉川は共に手を取り、見つめ合っていた。
「おーい、2人の世界に入ってるぞー」
「私たちもいるから、自重してね」
「「は!?」」
兄たちの声に、俺と吉川は慌てて手を離した。
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