第36話 タイミング
ダースさんは最後の作戦の説明に入った。
「もう一つ大事なのは投票のタイミングです」
「タイミング。つまり速報にあわせるか、最終投票にあわせるかってことね」
速報は投票開始から24時間以内の票だけを集計し、すぐ発表される。唯一の中間発表だ。
「ネット上では様々な議論がされていますが、速報を重視しないといけないというのが今の流れでしょうね。速報でランクインしないとなかなか投票対象とみなされません。速報圏外からランクインする割合はかなり少なく、前回の後藤桃は例外的なものです」
「なるほど。確かに私たちも速報を見てから投票対象を決めようとしていました」
「ですから、速報にはランクインしないといけません。しかし、速報で票を使いすぎると後からの伸びが足りなくなります。速報では上位に居たものの最終結果では大きく落ちるメンバーも居ます」
「確かに」
「このバランスをどうするか、が大事です」
速報は確かに大事だが、その後の伸びも欠かせないということだ。
「今回、それについては俺に考えがあります」
俺はずっと考え続けていたことを皆に打ち明けた。
「手持ちの票を全て速報に投入する。つまり、速報全力です」
「え!?」
他の3人が驚いてこちらを見た。
「新田君、聞いてた?それじゃ、後で伸びがなくなって最終順位は大きく落ちちゃうよ」
「うん、分かってる。だけど、まず速報に入らないと、ルカっちは見向きもされない。何が何でも速報に入ってルカっち陣営が本気だってところを見せたい」
「そうだけど……」
「それに、それを見てから資金を提供したい人も現れると思うし、ポスターによる俺たちの『熱さ』が速報という結果でさらに伝わっていけば、支援も増えると思う。正直、この作戦に自信が無かったけど、ダースさんの策と組み合わせれば絶対いい結果が出ると思います。どうでしょうか?」
ダースさんはじっくり考えているようだった。
「うん、いいかもしれないな」
「ダースさんまで!かなりのギャンブルですよ」
「確かに。最初に全て使っちゃうのはかなりのギャンブルだ。でも、それぐらい他の陣営と違うことをやらないと勝利はつかめないと思うよ」
「ペルも賛成!どうせやるなら派手にやろう!」
「分かった…。恐いけどやってみるしかないね」
吉川も賛成した。
こうして、俺たちの作戦は決まった。
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