第35話 次の作戦

 ダースさんは次の作戦の説明に入った。


「あとは具体的にどう投票数を増やすかです。そのためにはCDが必要になります」


「ですね」


 総選挙でもっとも主流なのはCD付属の投票券を買うことだ。


「今日、握手会の列を見て、他のメンバーとの違いを感じませんでしたか?」


 他のメンバーとの違い……。吉川が言う。


「ルカの列はどちらかというと年齢層高めのファンが多かったですね。総選挙でランクインした後藤桃の列は年齢層低め。あれ?年齢層高めの方がお金はあるのでは……」


「そうなんです。普通に考えたらそうなんですが、実際には後藤桃の方が票が入っている。これはなぜかというと、お金だけがあっても投票できないからです」


「え!?」

「確かに……」


 俺はよく分からなかったが吉川には分かったようだ。俺に教えてくれる。


「私ね、50票ほど入れたんだけど、CDを開けて投票券を出し、シリアルコードを入力するってのが大変で……。パソコンがあれば良かったんだけけど、うちにはないから全部スマホで長いコードを入れたんだ」


 なるほど。票数が多ければ多いほど手間と時間がかかる。


「年齢層高めのファンは仕事を持って忙しい人が多い。お金があって多数のCDを買えても投票する時間が無いのです」


「確かに」


「どうせ投票できないならたくさん買うのを止めようとなってしまいます」


 そういうことか。であれば……


「投票は俺たち時間があるファンにまかせてもらえれば…」


「そうです。CDを買う人、投票する人、と役割を分担するのです」


「そうか。とにかくCDを買ってもらい、あとは俺たちが投票を行うということにすれば、自分では投票する暇が無い量のCDを買ってもらえる」


 これは現実的に投票数を増やせそうだ。


「わかりました。これは絶対にやりましょう」


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