第22話 新しい風
「二期生?」
二学期も終わりに近い日の昼休み、奥山正樹から出た言葉に聞き返す。
「ああ。今ニュースサイトに出てる。KIP二期生、来週から公演開始だって」
「二期生って……なんだ?」
「あのなあ」
「そっか、新田君が公演見始めたときって既に二期生オーディション終わってたしね」
吉川実香が口を挟む。要するに今居るKIPのメンバーに加え、さらにメンバーを追加する。それが二期生らしい。総勢12名で今までと違った新しい公演を行うらしい。
「二期生って必要か? 今の一期生だけでいいだろう」
俺は素朴な疑問を口にした。
「分かってないな。今は一期生だけで公演をやっているからスケジュール的にきついんだよ。ほぼ毎日だからな。いずれ無理が来る」
確かに一期生だけで毎日公演をやっててすごいなと思っていたが、それはどうやら長く続けることは難しいらしい。
「二期生公演を入れて一期生と交互にやっていけば、体力も半分で済むだろ」
「確かにそうだが……。でもそうなると一期生の公演は半分になる訳か」
「そうだよ。倍率上がるかもな。でもその分、一期生は外仕事に行ける」
外仕事、つまりテレビや雑誌などのメディアに出たりなど、KIP主催以外の仕事だ。
「確かにそれは必要だな」
「二期生はまだ倍率は低いだろうし、俺も二期生公演見に行こうかな、新しい推しができるかもしれないし。お前も行くか?」
「いや……俺は一期生だけでいい」
「ま、お前はルカっち一筋だからな」
「……まあな」
確かに最近は糸島ルカが出演する公演しか見に行っていない。出ない公演も行ったことはあるが、何となく物足りないのだ。
「でも、二期生もいいメンバーいるぞ。例えばネットニュースに上がったこの子」
といって奥山がスマホを見せる。
「高森プロデューサーが10年に一人の逸材と言ったとか。こういうすごいメンバーが入れば、KIPも安泰だな」
確かに、ルカっちたち一期生も逸材揃いだが、これに二期生のすごいメンバーが加わればさらに人気も上がるだろう。KIP全体の人気が出ないとルカっちの人気も上がっていかない。二期生は敵では無いのだ。
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