NTRTA(ネトラレタイムアタック)②真実もRTA篇
俺の好きだった、結婚まで約束した幼馴染の彼女…が、親友とラブホから出てきたのを見た。
俺は…ラブホの入口で遭遇した高校時代の友人の女が幼馴染2人に襲い掛かりそうになったので、その女を、女の車で拉致した。
整理してみたが、自分でも何言ってんのか分からない。
ただ、俺はドラマの主人公みたいにサクサク物事を処理出来ないんだと思う。
あの状況で、ただショックだけ受けて少しも動けなかった自分を、車を運転しながら振り返っていた。
「フゴーっ!フゴゴーッ!!!」
その襲い掛かりそうになっていた女が後ろで騒いでいる。
目出し帽がズレ、その上から俺が口にネクタイを嵌め込んでいる。
何か様子がおかしいので河原沿いの道路に車を停めた。
ネクタイ猿轡を取ると激しい口呼吸を始めた。
「ハァーッハァーッ…無太郎!殺す気なの!?私がアレルギー性鼻炎なの知ってるでしょ!?口塞いだら息できないんだよ!?何でこんな事するの!?」
目出しの位置が眉毛になっている為、ハの字になっているのは分かるが…俺が今、頭を整理しているのにアレルギー性鼻炎の話をぶち込まれた。
「散華…お前は何がしたいんだ?」
聞いた後思ったが、別に散華が何しようがどうでも良かった。何でこんな事するのは俺の台詞。
そして俺は今、決めなきゃいけない事が山程…
「厶?そうね、とりあえず…手を縛ってるの外してくれる?それともそういうプレイなの?後、散華じゃないし…」
そうですね、目出し帽被ってるもんね。
俺は少しイライラしながら目出し帽を取った。
「あ!正体が!?バレてしまったなら仕方無いわ、私の正体は貴女の昔馴染の…」
「いや、どうでも良いけど各世と貴哉がラブホから出てくるの見てどう思った?俺は…どうすれば良いと思う?さっきからうどん屋になろうとしか頭に出てこないんだけど…」
一応同じ秘密を共有してしまった散華に聞いてみる。
具体的に話さないとすぐ話が脱線するからな。
「結婚式ドタキャンして、地方でうどん屋になった方が良いと思うよ?私はほら…秘密あるから。しかも許せる秘密なんだよ。でも場所はちゃんと言ってね?3年とか探すの無理だから」
何の話してんだコイツは…
ヴイイイイイイイイイイイイイイイイ
誰だ、携帯鳴ってんの…俺か!?各世!?
しかし、俺ではなかった。目の前の散華が携帯に出た。
「はいもしもし、母さん?え?車返せ?なんでよ、今夜は無太郎をNTRするから使うって言ってたでしょ?うん…うん…分かったよ…でもちょっとは手伝ってよね、じゃ後で」
「母さん、車返せって…5分ぐらいで来るって…はぁ…嫌になっちゃう」
無太郎をエヌティーアールってなんだよ…
いや、そんな2人でドライブしてたのに急に実家で車使う事になったみたいなノリで言われても…
〘午後10時05分02秒 うどんが出来るまで3分〙
5分どころか3分ぐらいで来た…散華のお母さん?
散華のお母さんは初めての見た、ちょっとガタイが良いけど綺麗な人だった…え?50手前だよな!?
化け物か?20代にしか見えないんだけど!?
それより…母娘揃うと…何か見た事あるな…アレだ…対◯忍だ…エ□ゲの…同僚のエロゲ好きから説明された…アレのパッケージにそっくりだ。
何があって興味無いから詳しく知らんけどヒロインの紫色の人と金髪の姉妹だっけ?
この人達、アレにソックリだ…うわぁ…
「厶!?君が散華の?噂はかねがね聞いている。相当なNTR耐久狂なんだって?ウチの旦那どころじゃないらしいな。イカれている。」
「それより母さん。私、ウ◯コしたいから無太郎逃げない様に見張ってて。無太郎っていつも私がウ◯コしているうちに逃げるから」
さっきからNTRってなんだ?それより何で散華の母さんと2人きりって?なんの罰ゲームだ…
よく見るとお母さんは手にお湯の入ったカップうどんと、その上にコンビニの唐揚げを持っている。
またうどんか…今日は何か誘導が酷い。
「厶?今日のオレの夜食だからやらんぞ?」
いや、いらんし…
「いや、あの、見た所…箸あるんですか?袋貰ってないみたいだし箸が…」
「え!?箸!?ホントだ…手…もしくは枝…か…」
「あ、じゃあ昼使わなかった割箸があるのでどうぞ…」
「ありがとう!優しいな、君なら安心して散華を嫁にやれるな」
散華を嫁って、なんの冗談だ。後、ちょろ過ぎる。
「このうどん、5分のやつだから後3分ぐらいで出来るんだよ。箸が取りに行ってたら死んでたな。君は良い奴だ」
「はぁ…そんなンスカ…」
夜食で麺が伸びたら死ぬんかこの人。
「しかしなぁ…君は…人が良いのか悪いのか…10年近く、よくNTR耐久なんてやるな。旦那も延ばしに延ばして半年だったぞ?カップラーメンみたいに3分でケリつけられないのか?」
「さっきからNTRってなんですか?そんな薬みたいのやってませんよ」
「いや、君は散華と同じ歳だから25だろ?君は高校の時から、下手すりゃ中学の時からずっと幼馴染に寝盗られっぱなしのまま「チクショウ!」とか「悔しい!」とか言い続けてるんだろ?そういうのが良いって言う人はいるらしいけど…そろそろ人の道に戻ってはどうか?と大人のオレは思うぞ?」
え?寝盗られ?何が?
「うどんだって流石に10年近く放置したら腐る。散華はとうやらオレ、オススメの結婚式に逃亡ざまぁをしたいみたいだけどさ、アレはNTRじゃないからな。NTRの方はうどん屋じゃないからな、海外だっけか?まぁ勘違いだよ、散華は馬鹿だから。オレはハッピーエンド好きだしな。散華は副業で拷問担当してるけどSM嬢じゃないしな、まぁ実は対魔忍より良いか」
なんか訳分からない事を言ってるが、途中聞き捨てならない事を言った。
「ネトルって寝盗るって…え?今日とか最近…じゃなくて?」
「え?はい?何が?」
「お母さん、今言いましたよね?俺、10年ぐらい前から寝とられてるって」
何か汗がブワァっと出た散華のお母さん…
「分からない、オレは、何も…分からない、何も言ってない…」
「教えてくださいよっ!まさか!?俺は…俺は高校からずっと裏切られて!?」
そんな馬鹿な…そんな訳無い。高校だと俺が何回か嫉妬して騒ぐたびにしてないって言って…いや、何よりも貴哉だ…アイツずっと…アイツ…
俺は気づけば散華のお母さんの方を揺すっていた。
「よっよせ!揺するのも母娘丼も!うどんがこぼれるし、母娘丼は鳥と卵!母親は旦那がいる!やめろお!分かった!もううどん食うから!ちょっと固いけど食うから!」
「無太郎!何やってるのっ!?お母さんは駄目だって!」
〘午後10時07分秒 俺の人生を一分で〙
そうだ、散華なら知ってる筈だ!何で言わなかった!?いつから俺は!
河原に備え付けている簡易便所まで行きドアを開けようとすると向こうからも必死に抑えてくる。
散華は鍵をかけないで手で抑えるスタイルという他人に迷惑をかけるスタイルでトイレに入る。
「ちょっ!?無太郎!そういうの早いって!?トイレでなんて駄目だって!待って!和式だから!洋式スタイルに変えるから待って!」
ドアを押すのをやめるとドアがバタンと閉まったが、オ・レの目的はドアを開ける事じゃない。
「知ってたのか!散華は昔から各世が貴哉と出来てるの…知ってたのか!?何で言わなかった!?ずっと!ずっと俺は!!ずっと…」
ドアがキィーっと開き、和式便所に逆向きで座る対魔忍(妹)と同じ格好の散華が涙目で口を尖らせ呟いた。
「だって無太郎…アンタ言うなって言ったじゃん…私と各世との関係を考えろって…」
え?余りの衝撃の姿に何を言ってるのか良く分からない…俺が言った?
「だからさ…明らかに各世が浮気してるのに何も言わないから…ウチのお父さんがそういうの高校の時好きだって母さんから聞いたから…ずっと待ってたんだよ?」
そういうの好き…?
「俺は…今…今日初めて知ったんだが…」
ポチャーン
散華は驚いた顔で出すものを出しながら口に手を当て震えていた。
「う、嘘!?無太郎って死体だらけの銃弾飛び交う戦場で鼻歌歌いながら『良かった、病気の子供は居なかったんだ』とか言うタイプ!?」
そのタイプではないのは間違いないが…皆…知ってたのか?
公然の事実みたいに言われたが?
俺は何で…どうして…どうして?
ポチャーン
「同棲してるのに…てか大学入ってから全然やってないでしょ?それに無太郎は基本、午前様で夜に帰るでしょ?夕方からいつもあいつ等ズッコンバッコン、明らかに違和感アリアリで2人で家にいて、無太郎帰ったら二人でお迎えって気付かない訳無いし…だからさ、もう各世はざまぁするだけかなって。結婚式やるって言った時、バックれざまぁしたいからここまで我慢してたんだなって、ろくに動画撮影とかしてないから復讐スタイルじゃなくてバックれかなって…だからうどん屋の話を何回もしたの。私の事好きでしょ?私も無太郎の事…好きだし…でもきっかけが…だからかなって…」
ポチャーン
「いや、そんな訳…そんな…うわあああああ!!」
俺は駆け出した。何処に?何処でも良い…ここでは無い何処かへ。
各世とは…上手く言ってると思っていた。
―もう絶対勘違いさせないから、だから信じてよ―
嘘だったのか?
―無太郎とは昔からいるから安心するんだよ―
あれも全然嘘だったのか?
―この家で無太郎と子供を育てて貯金して、私達の家を買いたいね―
これも全部嘘だったのか?
―結婚式は…一番キレイなドレスを着て無太郎を…―
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「待ってっ!無太郎!行き先教えて!待ってよ!」
「ウオウ!?びっくりさせるなよ!?」
悲痛な叫びを逆向き和式スタイルで出す散華。
そして視界の隅に散華のお母さんがびっくりしながらうどん食ってる…
俺は…俺は…各世を信じて生き続けた俺は…俺は何だろう…?
もうどうでも良い人生、何もなくなっちまったから。
「えぇ!?それうちの車だよ!?君、待って!怒られるのオレだから!あ、うどんが…」
俺はさっきまで乗ってたハイエースに乗り込む。
もうわからない、想像する自分の未来から各世を消すと、未来が真っ暗で何も見えないんだ。
だから俺は走り出した。車で。
俺は携帯の電源を切り、国道に乗って、高速に乗って…行ける所まで行こうと思った。
走り出して数時間…トラック運転手御用達の夜中や明け方までやってる、高速のパーキングのうどん屋に着いた。
また、うどんか…と思いながら食ったうどんは美味かった。
「親父さん、ここバイト募集してる?」
「してないよ」
言ってみただけだよ、でも断られた。
何もかも上手くいかないなと思ったが、とりあえずうどんの食器を片付けて、外に出るとハイエースの側に警官がいた。
「ちょっとちょっと、君、高梨無太郎さんですよね?このハイエース乗ってた?」
「はぁ、なんですか?」
〘午前07時01分14秒 強姦、窃盗の疑いで身柄確保〙
※コンテストの日付を見間違えて8日だと思っていた作者は拷問された方が良い。短編なので頑張って終わらせます。
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