乙女の重き愛#2

異様な闇が渦巻く反転世界リバーサルワールド


この異様な世界の中でも、ある箇所だけ異常な光景が広がっていた。


塵となった試作機ステラの残骸が大きな山となっていたのだ。


そしてその山の頂上に佇む謎の者――


Desperado


その姿はまるで世界の破壊者だ。





「……」


「まだ"プロトタイプ"とはいえ、恐ろしく凄まじい戦闘力ですね、試作機ステラとはいえ、彼等プレイヤーの戦闘データを組み込ませた、AI搭載の自律稼働型を簡単に撃破するとは」


Desperadoの戦闘データをタブレットですけれど見ていたニムトは、興味深げにデータを見ていた。


するとタブレットから誰かの声が聞こえてきた。


「より強く、より速く、人間の頭脳と機械の体を越えた存在になるには、試作機ステラと幾ら戦闘を続行しても意味がない、まだまだ【マスターブレイン】には程遠い」


その機械独特の音声と男性の声が掛け合わさったかのような声の正体、それはDesperadoであった。


Desperadoはそう言いながらも、次々と現れる試作機ステラ達を一撃で葬っていた。


「えぇ、ですので近々貴方には、プレイヤーの皆様が一同に介するパーティー会場へ、サプライズゲストとして登場してもらいます」


「13番目の……"背徳の聖霊獣アバター"として――」





【6月6日 17:20 p.m. 東京都――港区】


5月も終わり、本格的な夏にむけて日に日に暑さが増してくる今日この頃。


こんな暑い日に人々で溢れている東京の港区に、制服姿のラミィと正樹が歩いていた。


本当は休みの筈であったラミィだったが、正樹が所属している陸上部が大会に出場していたのだが、1人欠員が出てしまい、急遽正樹が運動神経抜群なラミィを連れてきていたのだが……


「あぁ神よ、どうしてこんなロクデモナイ男に可愛い女の子が寄って来るのでしょう、どうかこの私に救いをお与えくださいませ」


「お前寺の子だろ?キリスト教を受け入れて良いのか?」


「今は多様性の時代なんだよ」


「だったら俺がモテるのも認めろよ」


歩き様すれ違う女性達に、あの人イケメンじゃないと言われるラミィを見て、ぐぬぬと歯ぎしりする正樹。


寺の坊さんの子供という事もあって、堅苦しいのか中々にモテない。


そんな正樹だが、何故ラミィは彼女を作らないのか疑問に思い聞いてみる。


「選り好みしなきゃ、まぁ出きるんだろうけど、中々理想のタイプがいないんだよな」


「……お前、ほんと特な人生してるよな」






その後2人は別れ、ラミィは帰路へと着こうとしたのだが――


「――ッ!?(来たか!?)」





それは突然やって来るのであった。

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