第6話 双魚と双子の狂奏曲

ピスケスとジェミニのプレイヤー#1

「ハァ……ハァ……ここまで来れば大丈夫か?」


試作機ステラもプレイヤーも感知してない、ここなら安全」


先の激戦をくぐり抜け、2人は何とか戦場から離脱していた。


HPは2700……どうやらこのゲームには、自動で体力が回復するどころか、回復アイテムすら無い鬼畜使用のようで、痛みは若干収まりつつあるが、疲労だけは収まらない。


今は、だいぶ離れた建物の中に隠れている。


もっとも反転世界リバーサル・ワールド内である為、この歪んだ建物が建物と呼べるかどうかは分からないが、取り敢えず壁に背を預けて座る。






「申し訳ないマスター、私にもう少し力があれば」


「そんなことねぇって、今は……お互い生き残れたことを喜びあおう……ッ!?」


「どうした?マスター?」


「あぁ!?いやぁ!何でもない!!です!!」


ラミィの目線の先には、先の戦闘で胸部の装甲が破壊され、中の布地が破けて露になっている――


たわわな見事なメロンが2つ映っていた。


元々露出がある装備をしてはいたが、正直目のやり場に非常に困る。


なのにレオーは彼の思っていることに全く気づかず、それどころか心配そうに見つめながら、上半身を彼の目に近づけさせる。


体は疲労していても別の部分は元気百倍になりそうだ。


だからこそ彼は、気を紛らわす為にレオーから視線を外しつつ話しかける。





「そっそう言えば、俺達を襲ってきたアイツ、いったい何だったんだろうな?」


レオーが一旦自分から離れたことで、自分の自分が暴走せずに済んで一安心する。


そんな彼の気持ちは露知らず、レオーは答える。


「私にもわからない、確実に言えることは、アレは――」


「"私達よりも強い"ということ」


間違いない、そしてあの禍々しい瞳、思い出すだけども体に震えが走る恐怖。


もう2度と会いたくない程。


しかし、そんな彼のその気持ちを察してか、レオーは彼の頭を撫でる。


いきなりの行動に驚いていると。


「人は、頭を撫でられると心が落ち着くとデータにあった、だから……安心してほしい」


「ッ……恥ずかしいな、けど――」


「ありがとな」

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